毎月お金が振り込まれる投資信託があるって聞いたんです。めちゃくちゃ良いなと思って、NISAの商品検索で探したんですけど……ぜんぜん出てこなくて。私の探し方が下手なんですか?
探し方は合ってるよ。その前に聞きたいんだけど、「毎月お金が入る」って、どこが良さそうに見えた?
増えてるかどうかって、ずっと画面の中の数字じゃないですか。実際に振り込まれたら、やっと本物になる気がして。
そう思っていた人も多いと思うけれど、私もその一人です。数字が動くだけの時期って、手ごたえがないんだよね。
結論から言うと、毎月分配型はNISAでは買えません。つみたて投資枠でも、成長投資枠でも、です。
ただ、こねこが欲しかったのは商品名じゃなくて「毎月お金が入る感じ」のほうですよね。そっちは、今持っている投資信託から作れます。今日はその2つを、順番に見ていきましょう。
分配金そのものがよく分からない、という人は先にオルカンの分配金は再投資型と受取型どっち?を読んでおくと、この記事がすっと入ってきます。
この記事でわかること
- NISAのどちらの枠でも毎月分配型が買えないこと(制度の要件にそう書いてある)
- 分配金には2種類あって、片方は「自分が出したお金が戻っただけ」だということ
- その2種類を、公式サイトの数字の例で1円単位で見てみる
- 「非課税です」と言われる分配金の、ほんとうの意味
- 持っている投資信託から「毎月受け取る」を作る方法
まず事実。NISAのどちらの枠でも選べません
NISAには枠が2つあります。つみたて投資枠と成長投資枠。毎月分配型は、その両方から外れています。
つみたて投資枠のほうは、こう書かれています。
つみたて投資枠の対象商品は、(中略)長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するものに限定されており、上場株式やREIT、毎月分配型の株式投資信託や、公社債、公社債投資信託等は受け入れることができません。
(出典:日本証券業協会「NISAのよくある質問」Q4・2026年9月18日確認)
同じページに、その「一定の商品性」の中身として、まず3つが挙がっています。①信託契約期間が無期限または20年以上、②一定の場合を除きデリバティブ取引で運用しない、③毎月分配型でないこと。3つ目がそのまま答えですね。なお条件はこの3つで打ち止めではなく、このほかに、連動する指数や手数料の水準について内閣府告示で決められた条件もあります。
成長投資枠のほうも同じです。
①監理銘柄・整理銘柄に指定されている株式、②信託期間が20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等は対象から除外されており
(出典:同上)
金融庁のNISA特設サイトにも、同じ注記があります(「①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外」・金融庁「NISAを知る」)。
ちなみにつみたて投資枠で買える商品は、2026年9月16日時点で370本(金融庁「つみたて投資枠対象商品」。本数は同ページの「つみたて投資枠対象商品の概要について」(PDF))。世の中にある投資信託の数から見れば、かなり絞り込まれた棚です。
えっ、名指しで書かれてるんですね。そんなに悪いものなんですか?
「悪い」とは書いてないんだよ。書いてあるのは「長期の積立・分散投資に適した」という条件のほう。そこに合わなかった、という話。中身を知ると、けっこう納得できると思うわ。
そもそも、分配金はどこから出ているの?
ここが今日のいちばん大事なところです。分配金は、どこか外から振り込まれてくるお金ではありません。
投資信託の値段(基準価額)は、そのファンドが持っている財産をみんなで割ったものです。分配金を出すと、その財産がその分だけ減ります。だから分配金を出すと、その金額のぶんだけ基準価額は引き下げられます。その日の値上がり・値下がりとは別に、差し引かれる、という意味です。
外から足されるのではなく、中から取り出して配る。ここを押さえると、次の話が分かります。
分配金には2種類あって、見た目は同じ
資産運用業協会の用語集に、ちょうどいい数字の例が載っています。そのまま追ってみましょう。
10,500円で買った人が、700円の分配金を受け取ると
- 買った値段(個別元本):10,500円(何回かに分けて買った人は、その平均が個別元本になります)
- 決算日の基準価額:10,800円(300円ぶん増えた)
- 分配金:700円
- 分配後の基準価額:10,800円 − 700円 = 10,100円
10,100円は、買った値段の10,500円を400円下回っています。この400円が「元本払戻金(特別分配金)」。残りの300円が「普通分配金」です。
(出典:資産運用業協会 用語集「元本払戻金(特別分配金)」・2026年9月18日確認)
増えたのは300円だけ。それなのに700円配ったので、足りない400円は自分が出したお金から戻ってきた、というわけです。
700円入金された、と思っていたら、増えた分は300円。
缶コーヒー2本くらい、だよね。残りの400円は、財布から出したお金が財布に戻っただけ。でも通帳の見た目は、どちらも同じ「700円」です。
さらにこのあと、買った値段のほうが書き換わります。400円を差し引いた10,100円が新しい個別元本になる(同じ出典)。次の決算では、この10,100円を基準に、また普通分配金と特別分配金が分けられます。
気をつけるところ:「非課税です」の意味
元本払戻金(特別分配金)は非課税です。ここだけ聞くと得に聞こえますよね。でも非課税なのは、もうけではないから。自分のお金が戻ってきただけのものに税金はかけられない、というだけの話です。
一方の普通分配金のほうは、課税される側です。NISA口座で持っていれば日本の税金はかかりませんが、条件が2つあります。ひとつは、上場しているETFやREITの分配金は「株式数比例配分方式」で受け取る設定になっていること(それ以外の受け取り方だと20.315%が引かれます)。もうひとつは、外国の資産に投資する商品で現地の国に引かれる税金は、NISAでも戻ってこないこと(日本証券業協会「NISAのよくある質問」)。
受け取り方の設定の話はNISAの配当金、どっちで受け取る?、現地で引かれる分の話はNISAでも米国の10%は引かれる?にまとめてあります。
だから「長期の積立に向いた棚」から外れている
ここまで来ると、制度の言い分が見えてきます。
長い時間をかけて増やしたい人にとって、毎月お金を取り出す設計は、複利の効き方が変わってきます。しかも受け取った分配金のうち、どこまでが増えた分でどこからが自分のお金かは、明細を読み込まないと分かりません。「長期の積立・分散投資に適した」という条件に照らすと、そこが合わない。
ひとつだけ正確に書いておくと、制度が書いているのは「長期の積立・分散投資に適した」という条件までで、毎月分配型を外した理由そのものは示されていません。ここから先は私の読み方です。
ただ、これは「毎月分配型を持っている人が間違っている」という話ではありません。取り崩しながら暮らす時期に入った人にとって、毎月お金が入る形そのものは自然な希望です。合う・合わないは、その人がどの時期にいるかで変わります。
正直に言うと、私は分配金が出ていないタイプの投資信託を積み立てています。理由は単純で、受け取っても使い道が決まっていないから。増やす時期と、取り崩す時期は分けて考えたいんだよね。
「毎月受け取る」は、持っている投資信託から作れます
こねこが欲しかったのは、商品名ではなく「毎月お金が入る感じ」でした。それなら、今持っている投資信託を、少しずつ自動で売るやり方で作れます。定期売却という機能です。
楽天証券の例で見てみましょう。
迷ったらこれ:仕組みは「自動で少しずつ売る」だけ
- 売り方は3つから選ぶ ── 金額指定(1,000円以上1円単位。1回の金額は、そのときの評価額の50%までという上限つき)/定率指定/期間指定(最終受取年月を決めて等分する)
- 受け取る頻度は毎月・奇数月・偶数月・好きな月だけから選べる
- 受取日は1日〜28日のうち1日を指定(休日なら前営業日にずれる)
- 対象の口座にNISA口座も入っている(ジュニアNISAと未成年口座は指定できません)
順番に気をつけるところ
楽天証券では、同じ口座で積立の設定が動いている銘柄は、そのままでは定期売却に指定できません。片方の手で買いながら、もう片方の手で売る設定にはできない、ということですね。
つまり「積立をしながら毎月受け取る」ではなく、取り崩す時期になったら、その銘柄の積立を止めてから設定するという順番になります。条件は証券会社ごとに違いますし、改定もされるので、実際に設定するときは必ずご自身の口座の公式ページで最新の内容を確認してください。
(出典:楽天証券「定期売却サービス」・2026年9月18日確認。他の証券会社にも似たサービスがあります)
毎月分配型との違いは、どれだけ取り出すかを自分で決めることです。ファンド側が決めた金額が自動で出てくるのではなく、自分で「毎月1万円」と決める。増えた分と元本の区別も、売った記録としてそのまま残ります。
定額と定率でどちらを選ぶかは、受取額の安定と資産の持ちに直結します。ここは投資信託の取り崩しは定額と定率どっち?で1円単位まで比べてあるので、実際に設定する段になったら開いてみてください。
なお、NISA口座で売った分の枠は、その年のうちには戻りません。翌年に、買ったときの値段(簿価)のぶんだけ生涯の非課税枠(1,800万円のほう)が戻ります。ただし実際に買い直せるのは、その年の年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)の範囲までです(日本証券業協会「NISAのよくある質問」Q8・Q11)。しくみはNISAの枠は売ったら復活する?にまとめてあります。
今日やらなくていいこと
3つ、置いていってください
- 毎月分配型を探し直さなくていい ── NISAの検索に出てこないのは、あなたの探し方ではなく制度の側の話です
- 今日、定期売却を設定しなくていい ── これは取り崩す時期に入ってから開けばいい引き出しです。積立中なら、存在を知っておくだけで十分
- 家族が持っているファンドを調べに行かなくていい ── この記事は分配金のしくみの話で、誰かの持ち物をどうするかを決める材料ではありません
まとめ
今日はっきりさせたこと
- 毎月分配型は、つみたて投資枠・成長投資枠の両方から外れている(日本証券業協会・金融庁)
- つみたて投資枠の条件の3つ目が、そのまま「毎月分配型でないこと」
- 分配金は外から来るお金ではなく、中から取り出して配るもの。出した日は基準価額が下がる
- 公式の例では、700円の分配金のうち増えた分は300円、残り400円は元本の払い戻し。買った値段も10,100円に書き換わる
- 「毎月受け取る」だけなら、定期売却で持っている投資信託から作れる(積立中の銘柄は、その積立を止めてからの順番になる)
こねこが最初に言った「振り込まれたら本物になる気がする」。その気持ちは、たぶん誰にでもあります。ただ、本物かどうかを決めるのは振り込みの有無ではなくて、そのお金が増えた分から出ているのかどうかのほうでした。
毎月分配型がNISAにないのは、知っていれば怖くない話でしたね。今日はここまで。焦らずいきましょう。
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※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。税務上の取り扱いはご自身の状況によって異なります。具体的な判断は証券会社・税務署・税理士にご確認ください。投資判断はご自身の責任でお願いします。