こねこ
こねこ(投資1年目)

NISAは税金ゼロだと思ってたんですけど…「オルカンやS&P500も、中でアメリカに税金を取られてる」って書いてあるのを見てしまって。私、損してるんでしょうか?

トリ
トリ(管理人)

その「取られてる」って、どういうところが気になる?

こねこ
こねこ

金額より、知らないうちに引かれてたのが怖いです。自分が気づいてない穴が、まだ他にもある気がして…。

その感覚、私も最初にありました。知らなかった、という事実のほうが金額より怖いんだよね。

結論から言うと、引かれています。そしてNISAで持っているあいだは、投資信託でもETFでも取り戻せません

ただ、それは「投資信託が損な器」という話ではありません。むしろ器を乗り換えても同じ、というのが今日の中身です。

この記事でわかること

  • 米国株の配当は、現地で10%引かれること(証券会社の公式ページ)
  • 同じことが、オルカンやS&P500の投資信託の中でも起きていること(税率は投資先の国ごとに違い、米国分が10%)
  • 引かれた分を戻す制度はあるのに、NISAでは出番がないこと(理由は2つ)
  • 米国上場のETFに替えても、NISAなら結果は同じであること
  • 金額にすると、どのくらいの話なのか

まず事実。米国株の配当は、現地で10%引かれます

日本に住んでいる人が米国株の配当を受け取るとき、まずアメリカで10%が引かれます。残った金額に、日本で20.315%がかかります。

米国株式で得た配当所得は、現地で10%が源泉徴収された後、差し引かれた金額に対して日本で20.315%が課税されます。

(出典:楽天証券「外国税額控除」・2026年9月16日確認)

NISA口座で非課税になるのは、このうち日本の20.315%のほうだけです。アメリカの10%は、NISAでも引かれます。ここが「税金ゼロ」という言葉からいちばん抜け落ちやすいところです。

配当の手取りを1円単位で追った話は米国株の配当、手取りはいくら?にまとめてあります。

投資信託の「中でも」同じことが起きています

こねこが見つけた話は、ここです。

投資信託は、集めたお金でアメリカの会社の株を持っています。その会社が配当を出せば、受け取るのはファンドです。そのときにも、アメリカの税金は引かれます。

投資信託等が海外の資産に投資している場合、そこから得られる配当等に対して外国で課税が行われています。(外国所得税)

(出典:楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」・2026年9月16日確認)

つまり私たちの口座の外側、ファンドの中で先に引かれています。分配金を出さないファンドの場合は、取引履歴にも分配金のお知らせにも金額として出てきません(運用報告書には載ります)。見えないだけで、ちゃんと起きている。

なお、引かれる税率は投資先の国ごとに違います。米国が10%、中国も10%、アセアンの国は国ごと(同じ楽天証券のページに一覧があります)。オルカンのように世界中の株を持つファンドなら、国の数だけ税率があるということです。この記事では米国分の10%の話をします。

こねこ
こねこ

やっぱり…! じゃあ、それを取り戻す方法はないんですか?

トリ
トリ

制度そのものは、ちゃんとあるんだよ。ただ、私たちの持ち方だと出番が来ない。理由が2つあって、どっちも公式に書いてある。

戻すしくみはある。でもNISAでは出番が来ない

外国で引かれた分と日本の税金が二重にならないよう、2020年1月から「二重課税調整」というしくみが動いています。手続きは不要で、自動で適用されます。

ここからが本題です。この調整には、対象がはっきり決まっています。

理由1:調整されるのは「分配金」。その分配金が0円

二重課税調整の対象となるのは、外国資産(株式・不動産)に投資を行い、そこから生じた利益をもとに投資家に分配金を支払っている投資信託等です。

(出典:同上・楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」)

調整は、分配金を払うときの税金から差し引く形で行われます。ということは、分配金が出ていないファンドには、差し引く相手がいません。

そして、うちのブログでいつも話題にしている2本は、どちらも分配金が出ていません(オルカン=eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)も設定来累計0円・2026年9月16日確認)。

▼ eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の決算と分配金実績(税引前・1万口あたり)
決算日 基準価額 分配金実績
2026年4月27日 41,935円 0円
2025年4月25日 28,502円 0円
2024年4月25日 28,331円 0円
2023年4月25日 19,707円 0円
設定来累計 0円

(出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」・2026年9月16日確認)

分配金が0円である背景のほうは、オルカンの分配金は再投資型と受取型どっち?で運用報告書まで見ています。配る利益がないのではなく、配らない方針です。

理由2:NISA口座は、そもそも制度の対象外

もう1つは、口座のほうです。

ただし、非課税主体(公共法人等)や非課税口座(NISA 口座)、未成年者口座(ジュニアNISA 口座)……は二重課税調整の対象外となります。

(出典:同上・楽天証券)

日本取引所グループも同じ説明をしています。

ただし、対象となる投資信託等をNISA口座で保有されている場合は、国税分は非課税となり、外国との二重課税状態が発生しませんので、本措置の対象とはなりません。

(出典:日本取引所グループ「証券税制・二重課税調整(外国税額控除)について」・2026年9月3日更新/2026年9月16日確認)

確定申告で使う外国税額控除のほうも、同じ理屈で使えません。

国内で非課税とされた配当所得(NISA口座で保有している株式の配当金)については、二重課税となりませんので、外国税額控除の適用を受けることができません。

(出典:楽天証券「外国税額控除」・2026年9月16日確認)

これは証券会社の案内だけの話ではありません。国税庁も、外国税額控除の対象とならない外国所得税額として、NISA口座(非課税口座)の中の配当等にかかった分を挙げています(国税庁タックスアンサー No.1240「居住者に係る外国税額控除」・2026年9月16日確認)。

理屈としては筋が通っています。日本の税金を取られていないのだから、二重にはなっていない。だから戻す対象にもならない、というわけです。納得はするけど、ちょっと悔しい気持ちも残るよね。

「じゃあETFなら取り戻せる?」——NISAでは同じです

ここで多くの人が考えるのが、器の乗り換えです。分配金が出るETFなら調整されるのでは、と。

米国上場のETFについては、はっきり書かれています。

対象となるETFは東証上場商品です。海外取引所上場商品は対象外となります。

(出典:楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」・2026年9月16日確認)

VOOやVYMのような米国に上場しているETFは、二重課税調整のしくみの外側です。そしてNISA口座では外国税額控除も使えません。この10%に関するかぎり、NISAで持っているあいだは投資信託でも米国上場ETFでも扱いは同じということです(手数料や信託報酬、為替の手間といった違いは、また別の話です)。

海外ETFは分配金が自動で再投資されないという別の手間もあります。そちらは海外ETFの分配金は自動で再投資される?に書きました。

特定口座の人だけ、少し話が変わります

NISAではなく特定口座・一般口座で、普通分配金を出す東証上場ETFや投資信託を持っている場合は、二重課税調整が自動で適用されます(手続き不要)。ただし上場ETF・REITは、配当金の受け取りを株式数比例配分方式にしている場合に限られます。元本払戻金(特別分配金)は対象外です。

また米国上場ETFの配当は、その配当を総合課税か申告分離課税を選んで確定申告した場合に限り、外国税額控除を使う道があります。公式の説明では、控除できるのは所得から計算される「控除限度額」までで、引かれた全額が必ず戻るわけではありません。

住民税の扱いは、2つの制度で違います。二重課税調整で差し引かれるのは所得税(国税)だけで、住民税5%は対象外です(日本証券業協会「ただし地方税については、二重課税調整制度の適用はありません」)。いっぽう確定申告の外国税額控除には、所得税から引ききれなかった分を住民税から控除するしくみが別にあります。どちらも計算が細かいので、ご自身の口座でどう扱われているかは、証券会社・税務署・税理士に確認してください。

金額にすると、どのくらいの話なのか

数字にしてみます。ここは公表値ではなく、分かりやすさのための仮の計算です。

100万円ぶんの米国株のファンドを持っていて、その中に1年で1万円の配当が入ってきたとします。米国分の配当に引かれるのは10%なので1,000円。ファンドに残るのは9,000円です。

1年で1,000円。月に直すと83円です。缶コーヒー1本も買えないよね。

正直に言うと、私はこれを調べ直すたびに拍子抜けします。「知らないうちに取られていた」と聞いたときの動揺と、実際の金額が、まるで釣り合っていない。怖いのは金額ではなくて、見えなかったことのほうなんだよね。

しかも、米国で引かれる段階そのものを避ける方法はありません。米国の会社が配当を出す以上、日本から買う人は誰もが通ります。NISAで持っているかぎり、全員が同じ条件です(特定口座なら、確定申告で一部を取り戻す道が残ります。またADRや、会社の登記国・業態によっては税率が変わる場合があると楽天証券は書き添えています)。

迷ったらこれ:今日やることは、ありません

迷ったらこれ:積立の設定はそのままでOK

理由は3つです。

  • 器を替えても、この10%の扱いは変わらないから ── NISAで米国株に投資する場合、投資信託でも米国上場ETFでも、現地の10%は引かれ、取り戻す制度は使えません
  • 金額が動機になる大きさではないから ── 上の例で年1,000円。売って買い直す場合は、その手間や値動きの影響もいっしょに考えることになります
  • それでもNISAは日本の20.315%を消しているから ── 「ゼロではなかった」は事実ですが、効いていないわけではありません

例外は、特定口座で、外国の資産に投資していて普通分配金の出る商品を持っている人。条件に当てはまれば調整の対象になるので、年間取引報告書で自分の扱いを一度確認できます。

まとめ

今日はっきりさせたこと

  • 米国株の配当は現地で10%。NISAで消えるのは日本の20.315%のほうだけ
  • 同じ「現地での課税」は、オルカンやS&P500の投資信託の中でも起きている(米国分は10%。オルカンは米国以外も持つので、そこは国ごとの税率)
  • 戻すしくみ(二重課税調整)はあるが、分配金0円NISA口座は対象外の2つで出番が来ない
  • 米国上場ETFに替えても、調整の対象外+NISAでは外国税額控除も使えないので同じ
  • 仮に配当1万円なら引かれるのは1,000円。月83円

こねこが最初に言った「自分が気づいてない穴が、まだ他にもある気がする」。その不安に答えるなら、今日の穴は見えないけれど、ふさぐ道具がNISAの中には用意されていない、が答えです。知っておけば十分で、今日ここで何かを動かす必要はないですよ。

税金の話でもう1つ知っておくなら、日本側の手取りのほうです。米国株の配当、手取りはいくら?を読むと、10%と20.315%がどう重なるのかが1本の線になります。

今日はここまで。焦らずいきましょう。

▶ 次にどれを読むか迷ったら:迷いどころの地図(はじめての方へ)

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。税務上の取り扱いはご自身の状況によって異なります。具体的な判断は証券会社・税務署・税理士にご確認ください。投資判断はご自身の責任でお願いします。