オルカンの積立を設定していたら、「分配金コース」で受取型と再投資型を選べって出てきました。……どっちですか? ここで間違えたら何年も損する気がして、注文画面のまま止まっています。
結論、再投資型でOK。そのうえで先に安心してほしい事実がある。オルカンが今まで払った分配金は、設定来ずっと0円なんだ。つまり今のところ、どちらを選んでも口座に入ってくる金額は同じ。ここで止まっている時間のほうが、もったいないよ。
この記事でわかること
- 「再投資型」と「受取型」の違い(3行)
- オルカン・S&P500の分配金実績=設定来0円という事実(公式データ)
- 0円なのに、なぜコースを選ばされるのか
- 既定解と、その理由3つ
- 受取型を選んだほうがいい人/選んでも意味がない人
- あとから変える方法と、変えられない人
分配金の再投資がNISAの年間投資枠を使う仕組みは、こちらの記事で先に整理しています。この記事はその手前、「注文画面でどちらを選ぶか」に絞ります。
そもそも、この2つは何が違うのか
投資信託が決算日に利益の一部を投資家に配るお金が分配金です。その受け取り方が2つあります。
- 受取型:分配金を現金として証券口座で受け取るコース
- 再投資型:現金で受け取らず、決算日の基準価額で同じ投資信託を自動で買い増すコース
(出典:楽天証券「分配金について」・2026年8月30日確認)
違いは「現金でもらうか、そのまま買い増すか」だけです。名前は難しく見えますが、中身はこれだけと考えてください。
意外な事実:主要インデックスファンドの分配金は0円
ここが今日いちばん伝えたいところです。多くの人が想定している「毎年いくらかは分配金が出る」という前提が、そもそも成り立っていません。
| 決算日 | 基準価額 | 分配金実績 |
|---|---|---|
| 2026年4月27日 | 35,924円 | 0円 |
| 2025年4月25日 | 24,270円 | 0円 |
| 2024年4月25日 | 24,005円 | 0円 |
| 2023年4月25日 | 17,562円 | 0円 |
| 2022年4月25日 | 16,958円 | 0円 |
| 2021年4月26日 | 14,681円 | 0円 |
| 設定来累計 | — | 0円 |
出典は三菱UFJアセットマネジメントのファンド情報ページ(2026年8月30日確認)です。同じページで、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)も設定来累計0円と公表されています(S&P500のファンド情報ページ)。
オルカンの保有者は686万人です(2026年7月31日・同社お知らせ)。その全員が、これまで1円も分配金を受け取っていません。
ぜんぶ0円…! それって、儲かってないってことじゃないんですか?
逆だよ。同じページの設定来騰落率は+288.42%(2026年8月28日基準)。増えた分を配らずにファンドの中で運用し続けているから、基準価額のほうが上がっていくんだ。分配金0円は「配らない設計」であって、「稼げていない」ではない。ここを取り違えている人が本当に多い。
数字にすると
オルカンを100万円分持っていたとします。この8年間で口座に振り込まれた分配金は0円です。いっぽうで基準価額は設定来+288.42%になりました(出典:同ファンド情報ページ・2026年8月28日基準)。
配られなかったお金は消えたのではありません。ファンドの中で次の株を買う資金になり、基準価額に含まれています。
0円なのに、なぜコースを選ばされるのか
理由は2つです。
ひとつは、分配金を出すファンドが世の中にはたくさんあるから。毎月分配型や年2回分配型の商品では、コース選択が実際の入金額を左右します。証券会社の注文画面は全ファンド共通なので、分配しないファンドでも同じ質問が表示されます。
もうひとつは、将来も0円とは限らないから。運用会社は「運用状況によっては、分配金が支払われない場合があります」と明記しています。裏を返せば、支払われる可能性もゼロではありません。だから選択肢そのものは残されています。
既定解
特別な事情がなければ「再投資型」。理由は3つ
- いま選んでも結果は変わらず、将来に備えられる。分配金が0円のうちはどちらでも同じです。もし将来出たとき、再投資型なら自動で買い増しに回ります
- 受取型は「使ってしまう」導線になりやすい。現金が口座に入れば、それは積立の外に出たお金です。自分で買い直さないかぎり、その分は増える機会を失います
- 手数料も手間もかからない。再投資の買付に購入時手数料はかかりません(オルカンは購入時手数料無料のノーロード)
資産を育てる段階の人は、迷わず再投資型で先に進んでください。
正直に言うと、私はこの選択で悩む時間がいちばんもったいないと思っています。積立の成果を決めるのは、コース名ではなく「続けたかどうか」です。
受取型のほうがいい人/選んでも意味がない人
受取型が合うのは、分配金を生活費として使う段階の人です。年金の足しにしたい、配当で暮らしたい——そういう目的なら、現金で受け取るコースに合理性があります。
ただし注意点があります。
注意:オルカンで受取型を選んでも、現金は入ってきません
分配金が0円である以上、受取型にしても受け取れる現金は0円です。「取り崩したいから受取型」は、このタイプのファンドでは成立しません。
資産の一部を現金化したいなら、コースの変更ではなく売却(証券会社の定期売却サービスなど)で考えるほうが筋が通ります。売り時の考え方はこちらの記事で整理しています。
なお、VOOのような米国ETFは分配金を出す設計です。投資信託とETFのどちらで持つかで、この論点の重みは変わります。違いは投資信託とETFの比較記事にまとめました。
あとから変えられます(ただし変えられない人もいる)
いま決めきれなくても大丈夫です。楽天証券では、保有中の投資信託の分配金コースをあとから変更できます。手数料は無料です。
- 営業日の朝6時〜17時30分の申し込みで、当日分の分配金から反映されます
- 17時30分以降や休日の申し込みは、翌営業日の扱いになります
- 変更は全口数が対象です。一部だけの変更はできません
- 受取型・再投資型の両方を扱っているファンドだけが対象です
(出典:楽天証券「分配金コースの変更方法」・2026年8月30日確認)
NISA口座で変更できるようになったのは2025年6月から
意外に知られていませんが、NISA口座の投資信託は、以前は分配金コースを変更できませんでした。楽天証券がNISA口座での変更サービスを始めたのは2025年6月22日です(出典:楽天証券のお知らせ・2025年6月13日)。
そして今も変更できないケースがあります。
- 旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している投資信託:変更の対象外
- 購入した投資信託の受渡日が来ていない場合(NISA成長投資枠・つみたて投資枠は受渡日の翌日以降に申し込み)
- 代用有価証券になっている投資信託
旧NISAに残高がある人は、そちらのコースだけは動かせないと覚えておいてください。
まとめ
まとめ:3つだけ持ち帰る
- オルカンもeMAXIS Slim S&P500も、分配金実績は設定来累計0円。今のところどちらのコースでも受け取る額は同じ
- 0円は「配らない設計」であって稼げていないという意味ではない。オルカンの設定来騰落率は+288.42%(2026年8月28日基準)
- 既定解は再投資型。あとから無料で変更できる。ただし旧NISAで保有している分は変更できない
注文画面で止まっている人へ。ここは、時間をかけて悩むほどの分岐ではありません。再投資型を選んで、次に進んでください。
本記事は制度・仕組みの情報提供を目的としたもので、特定の商品の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。