| あなたの立場 | 選ぶコース | 理由 |
|---|---|---|
| これから積立を始める/資産を育てる段階 | 再投資型 | 分配金が出たとき自動で買い増しに回る。出ない間はどちらでも同じ |
| すでに再投資型で積立中 | そのまま | 変える理由がない。分配金0円のあいだ、コース変更で増える額は0円 |
| すでに受取型で積立中 | 急がなくてよい(変えるなら再投資型) | 分配金が0円なので、いま損は発生していない。次の決算までに変えれば足りる |
| 取り崩して生活費に充てたい | 受取型では解決しない | 0円なので現金は入ってこない。売却(定期売却サービス等)で考える |
| 旧NISA(一般・つみたてNISA)で保有 | 変更できない | 現在のコースのまま。新NISAで買う分だけ選び直せる |
分配金の再投資がNISAの年間投資枠を使う仕組みは、こちらの記事で先に整理しています。この記事はその手前、「注文画面でどちらを選ぶか」に絞ります。
この記事で確定させること
- オルカンの分配金実績=第8期まで0円・設定来累計0円(公式の運用報告書とファンド情報ページ)
- 0円が続く理由=運用会社が明記している分配抑制の方針。配る利益がないからではない
- 既定解は再投資型。そしてあとから無料で変えられる(変えられない例外つき)
そもそも、この2つは何が違うのか
投資信託が決算日に利益の一部を投資家に配るお金が分配金です。その受け取り方が2つあります。
- 受取型:分配金を現金として証券口座で受け取るコース
- 再投資型:現金で受け取らず、決算日の基準価額で同じ投資信託を自動で買い増すコース
(出典:楽天証券「分配金について」・2026年8月30日確認)
違いは「現金でもらうか、そのまま買い増すか」だけです。名前は難しく見えますが、中身はこれだけと考えてください。
意外な事実:主要インデックスファンドの分配金は0円
ここが今日いちばん伝えたいところです。多くの人が想定している「毎年いくらかは分配金が出る」という前提が、そもそも成り立っていません。
| 決算日 | 基準価額 | 分配金実績 |
|---|---|---|
| 2026年4月27日 | 35,924円 | 0円 |
| 2025年4月25日 | 24,270円 | 0円 |
| 2024年4月25日 | 24,005円 | 0円 |
| 2023年4月25日 | 17,562円 | 0円 |
| 2022年4月25日 | 16,958円 | 0円 |
| 2021年4月26日 | 14,681円 | 0円 |
| 設定来累計 | — | 0円 |
出典は三菱UFJアセットマネジメントのファンド情報ページ(2026年8月30日確認)です。同じページで、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)も設定来累計0円と公表されています(S&P500のファンド情報ページ)。
オルカンの保有者は686万人です(2026年7月31日・同社お知らせ)。その全員が、これまで1円も分配金を受け取っていません。
ぜんぶ0円…! それって、儲かってないってことじゃないんですか?
逆だよ。同じページの設定来騰落率は+288.42%(2026年8月28日基準)。増えた分を配らずにファンドの中で運用し続けているから、基準価額のほうが上がっていくんだ。分配金0円は「配らない設計」であって、「稼げていない」ではない。ここを取り違えている人が本当に多い。
数字にすると
オルカンを100万円分持っていたとします。この8年間で口座に振り込まれた分配金は0円です。いっぽうで基準価額は設定来+288.42%になりました(出典:同ファンド情報ページ・2026年8月28日基準)。
配られなかったお金は消えたのではありません。ファンドの中で次の株を買う資金になり、基準価額に含まれています。
0円は「配れなかった」ではなく「配らない方針」
ここが、この記事でいちばん確かめたかったところです。「0円」には2つの読み方があります。配る利益がなかったのか、利益はあるのにあえて配っていないのか。答えははっきりしています。
オルカンの交付運用報告書 第8期(作成対象期間 2025年4月26日〜2026年4月27日・2026年9月4日確認)には、分配方針がこう書かれています。
分配金額の決定にあたっては、信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針とします。
「たまたま出なかった」ではなく、最初から抑制する方針だと明記されています。同じ報告書は、配らなかった利益の行き先も書いています。
収益分配に充てなかった利益(留保益)につきましては、信託財産中に留保し、運用の基本方針に基づいて運用します。
そして、その「配らなかった利益」の大きさが数字で載っています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 当期分配金 | 0円(報告書の表記は「-」) |
| 翌期繰越分配対象額 | 25,924円 |
| (参考)第8期末の基準価額 | 35,924円 |
1万口あたり25,924円が、分配に充てられる額として翌期に繰り越されています。配る原資がなかったのではありません。あるのに配らず、ファンドの中で運用し続けている——これが「分配金0円」の中身です。
同じ第8期の成績は騰落率+48.0%(ベンチマークは+47.8%)、純資産総額は11兆2,877億円。稼げていないどころか、この期は指数を0.2ポイント上回っている。それでも分配金は0円。ここまで見れば、「受取型にすれば何かもらえるのでは」という発想が、そもそも成り立たないことが分かると思う。
次にこの選択が意味を持つのは2027年4月
もうひとつ、焦らなくていい理由を。オルカンの決算は年1回です。同じ報告書の推移表では、決算日が2022年4月25日・2023年4月25日・2024年4月25日・2025年4月25日・2026年4月27日と並び、期間分配金合計はすべて0円でした。
第8期の決算日が2026年4月27日でしたから、次に分配の有無が決まるのは2027年4月の決算です。今日コースを選ばずに1日悩んでも、その間に受け取り損ねるお金は1円もありません。
0円なのに、なぜコースを選ばされるのか
理由は2つです。
ひとつは、分配金を出すファンドが世の中にはたくさんあるから。毎月分配型や年2回分配型の商品では、コース選択が実際の入金額を左右します。証券会社の注文画面は全ファンド共通なので、分配しないファンドでも同じ質問が表示されます。
ちなみにその毎月分配型は、NISAでは買えません。理由と、分配金の中身の分け方は毎月分配型はNISAで買えないにまとめてあります。
もうひとつは、将来も0円とは限らないから。先ほどの分配抑制の方針には、報告書自身が「(基準価額水準や市況動向等により変更する場合があります。)」というただし書きを付けています。抑制は方針であって、約束ではありません。だから選択肢そのものは残されています。
既定解
特別な事情がなければ「再投資型」。理由は3つ
- いま選んでも結果は変わらず、将来に備えられる。分配金が0円のうちはどちらでも同じです。もし将来出たとき、再投資型なら自動で買い増しに回ります
- 受取型は「使ってしまう」導線になりやすい。現金が口座に入れば、それは積立の外に出たお金です。自分で買い直さないかぎり、その分は増える機会を失います
- 手数料も手間もかからない。再投資の買付に購入時手数料はかかりません(オルカンは購入時手数料無料のノーロード)
資産を育てる段階の人は、迷わず再投資型で先に進んでください。
正直に言うと、私はこの選択で悩む時間がいちばんもったいないと思っています。積立の成果を決めるのは、コース名ではなく「続けたかどうか」です。
受取型のほうがいい人/選んでも意味がない人
受取型が合うのは、分配金を生活費として使う段階の人です。年金の足しにしたい、配当で暮らしたい——そういう目的なら、現金で受け取るコースに合理性があります。
ただし注意点があります。
注意:オルカンで受取型を選んでも、現金は入ってきません
分配金が0円である以上、受取型にしても受け取れる現金は0円です。「取り崩したいから受取型」は、このタイプのファンドでは成立しません。受取型に切り替えるタイミングそのものは分配金を受取型に切り替えるのはいつ?で話しています。
資産の一部を現金化したいなら、コースの変更ではなく売却(証券会社の定期売却サービスなど)で考えるほうが筋が通ります。その定期売却で「定額」と「定率」のどちらを選ぶかは投資信託の取り崩しは定額と定率どっち?にまとめました。売り時の考え方はこちらの記事で整理しています。そもそも「売って作る」のと「配当でもらう」のでどちらが自分に合うかは、老後の生活費は取り崩し?配当?で比べました。
なお、VOOのような米国ETFは分配金を出す設計です。投資信託とETFのどちらで持つかで、この論点の重みは変わります。違いは投資信託とETFの比較記事にまとめました。
そして、米国株や米国ETFを持っている人には、もうひとつ似た名前の設定があります。配当を円で受け取るか、ドルで受け取るかです。こちらは投資信託のコース選択とは別物で、しかも触っていない人は全員ドル受取になっています。心当たりのある人は米国株の配当は円で受け取る? ドルで受け取る?を先に確認してください。
あとから変えられます(ただし変えられない人もいる)
いま決めきれなくても大丈夫です。楽天証券では、保有中の投資信託の分配金コースをあとから変更できます。手数料は無料です。
- 営業日の朝6時〜17時30分の申し込みで、当日分の分配金から反映されます
- 17時30分以降や休日の申し込みは、翌営業日の扱いになります
- 変更は全口数が対象です。一部だけの変更はできません
- 受取型・再投資型の両方を扱っているファンドだけが対象です
(出典:楽天証券「分配金コースの変更方法」・2026年8月30日確認)
NISA口座で変更できるようになったのは2025年6月から
意外に知られていませんが、NISA口座の投資信託は、以前は分配金コースを変更できませんでした。楽天証券がNISA口座での変更サービスを始めたのは2025年6月22日です(出典:楽天証券のお知らせ・2025年6月13日)。
そして今も変更できないケースがあります。
- 旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している投資信託:変更の対象外
- 購入した投資信託の受渡日が来ていない場合(NISA成長投資枠・つみたて投資枠は受渡日の翌日以降に申し込み)
- 代用有価証券になっている投資信託
旧NISAに残高がある人は、そちらのコースだけは動かせないと覚えておいてください。
なお、この「再投資型」という選び方があるのは投資信託の話です。同じ指数に連動していても、海外ETF(VYMやVOOなど)の分配金は楽天証券では自動で再投資されません。その違いと、自分で買い直すときの注意は海外ETFの分配金は自動で再投資される?にまとめています。
もうひとつ、分配金が0円だと関係してくる話があります。ファンドの中で受け取っている米国株の配当には、アメリカで10%の税金がかかっています。分配金が出ないと、その分を調整するしくみの出番も来ません。NISAでも米国の10%は引かれる?で出典つきで確かめました。
まとめ
まとめ:3つだけ持ち帰る
- オルカンもeMAXIS Slim S&P500も、分配金実績は設定来累計0円。今のところどちらのコースでも受け取る額は同じ
- 0円は「配らない方針」であって稼げていないという意味ではない。第8期は1万口あたり25,924円を配らずに繰り越し、騰落率は+48.0%だった
- 既定解は再投資型。あとから無料で変更できる。ただし旧NISAで保有している分は変更できない
はじめに、注文画面で指が止まっている人の話をしました。その指は、動かして大丈夫です。次に分配の有無が決まるのは2027年4月で、それまでどちらを選んでも入ってくる額は0円のまま。しかも間違えたと思えば、無料で変えられます。
再投資型を選んで、次に進んでください。
本記事は制度・仕組みの情報提供を目的としたもので、特定の商品の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。
