NISAで日本の高配当株を買ってみたんですけど、口座の設定を見ていたら「配当金受取方法」っていう欄が出てきて。3つ選べるんですけど、どれのままでいいんでしょう……?
その「どれのままでいいのか」って、いまどういう感じ?
触らなくても配当は入ってくるんだから、放っておけばいいのかなと。でも「NISAなのに税金が引かれる」って書いてあるページを見かけて、急に不安になりました。
そこ、気づけたのは大きいです。結論から言うと、NISAで日本の株やETFの配当を非課税で受け取れるのは「株式数比例配分方式」だけ。ほかの2つを選んでいると、NISAで買った株の配当でも20.315%が引かれます。ただ、直すのは画面の数クリックで済むんだよ。
迷ったらこれ:株式数比例配分方式にしておく
- NISA口座で日本の上場株式・ETF・REITを持つなら、受取方法は株式数比例配分方式(=証券口座で受け取る方法)。これ以外だと非課税になりません
- 銀行で受け取る設定(登録配当金受領口座方式)や郵便局で受け取る設定(配当金領収証方式)のままだと、20.315%が引かれます
- 変更は配当の基準日までに終わらせる必要があります。楽天証券は受付完了まで3〜4営業日かかります
- 投資信託(オルカン・S&P500など)だけを積み立てている人は、この手続きは要りません。今日やることはないです
- 米国に上場しているVOOやVYMの配当にも、この設定は関係ありません。理由は下で分けて書きます
この記事でわかること
- 配当金の受取方法は3種類。そのうちNISAで非課税になるのはどれか
- 設定を変えないままだと、いくら引かれるのか(金額で)
- いつまでに、どこで変えるのか
- 米国株・投資信託には関係あるのか、ないのか
投資信託の「再投資型と受取型どっち?」で迷っている人は、そちらは別の話です。先にオルカンの分配金は再投資型と受取型どっち?を見てください。この記事は、上場している株とETFの話に絞ります。
そもそも:配当金の受け取り方は3つある
日本の上場株式の配当金は、受け取り方を自分で選べます。楽天証券の画面では、この3つです。
| 呼び方 | どこに届くか |
|---|---|
| 証券口座でのお受取り(株式数比例配分方式) | 証券口座に直接入る |
| 郵便局等でのお受取り(配当金領収証方式) | 「配当金領収証」が家に届き、ゆうちょ銀行や郵便局で受け取る |
| 銀行口座等でのお受取り(登録配当金受領口座方式) | 指定した銀行口座に振り込まれる |
出典は楽天証券「配当金」のサービス案内です。名前は難しいけれど、中身は「証券口座に入るか、銀行に入るか、紙が届くか」の3択だと思ってください。
昔から株をやっていた人ほど、銀行で受け取る設定のままになっていることがあります。それ自体は間違いではありません。NISAを始めるまでは、どれを選んでも配当にかかる税率は同じだったので。(証券口座の中で配当と売却損を相殺してもらう扱いなど、税率以外の違いはあります。国税庁No.1476)
NISAで非課税になるのは、3つのうち1つだけ
ここが今日の本題です。
日本証券業協会は、こう書いています。NISA口座で買った上場株式の配当金等を非課税にするには、証券会社で受け取る「株式数比例配分方式」に変えておかないといけない、と。
そして「配当金領収証方式」や「登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式」を選んでいる場合は、非課税とはならず、20%の税率で源泉徴収される(復興特別所得税を含めると20.315%)とも書いてあります。
出典は日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」です。業界団体がわざわざ注意事項のページを立てているくらい、間違えている人が多いところなんですね。
「20%」と「20.315%」が出てきて混乱しますよね。20%は所得税15%+住民税5%のことで、復興特別所得税まで入れて実際に引かれるのが20.315%です。同協会の「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2024年12月・Q18/Q20)は、はじめから「20.315%の税率で源泉徴収されます」と書いています。この記事も、財布から出ていく20.315%のほうで通します。
楽天証券も同じことを書いています。株式数比例配分方式の説明に「旧NISA、NISA成長投資枠で配当金を非課税で受け取る場合には、こちらをご選択いただく必要があります」とあります(同・サービス案内)。
自分がどっちの枠で持っているか、先に見てください
楽天証券では、国内株式・国内ETF・REITは成長投資枠での取り扱いで、つみたて投資枠は投資信託が対象です(楽天証券・NISA商品ガイド)。楽天証券の人は、この記事の話は成長投資枠の話だと思ってください。
ただし制度の上では、つみたて投資枠の対象商品にも上場しているETFが入っています(日本証券業協会Q&A・Q4)。他の証券会社でつみたて投資枠のETFを積み立てている人は、その分配金も株式数比例配分方式でないと非課税になりません(同Q18)。取り扱いは会社ごとに違うので、ご自分の枠を見てください。
「NISAで買ったのに引かれてる」が起きる仕組み
配当金がどこへ届くかは、証券会社ではなく証券保管振替機構(ほふり)に登録された受取方法で決まります。銀行で受け取る設定になっていると、配当金はNISA口座を通らずに銀行へ回されます。NISA口座の外を通るので、非課税の扱いも乗らない。名義も銘柄も合っているのに税金が引かれるのは、このためです。
いくら引かれるのか、金額にしてみる
率のままだとピンと来ないので、金額にします。
かりに、NISAの成長投資枠で日本の高配当株やETFを100万円分持っていて、配当利回りが**3%**だったとします。年に受け取る配当は3万円です。
ここに20.315%がかかると、6,094円。手元に残るのは23,906円です。
年6,094円。1回1,500円のランチなら4回分だよね。これが設定ひとつで、持ち続けるかぎり毎年続きます。10年なら6万円。運用のうまい下手ではなく、画面の設定だけで決まってしまう金額です。
正直に言うと、私はこの手の「知らないと取りこぼす設定」がいちばん苦手です。頑張った人が得をするならまだ納得できるけれど、これは知っていたかどうかだけの話なので。
この6,094円は、条件を置いた計算です
利回り3%・100万円はこちらが置いた前提です。税率20.315%だけが公式の数字(日本証券業協会)で、金額はそこからの計算になります。ご自分の配当額に0.20315を掛ければ、そのまま出ます。
なお20.315%の内訳は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%です。国税庁は、2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得については復興特別所得税の税率が下がり、代わりに防衛特別所得税が源泉徴収されると案内しています(国税庁No.1330)。内訳は入れ替わりますが、上場株式の配当から引かれる合計はこれまでどおり20.315%です。
引かれてしまった分は、取り返せないのか
日本証券業協会は、配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式で受け取って課税された配当について、確定申告をすれば、総合課税を選んで配当控除の適用を受けること、または申告分離課税を選んで特定口座・一般口座で持っている上場株式等の譲渡損失と損益通算することができる、としています(同協会Q&A・Q20/Q30)。ただし、いったん課税された配当を確定申告で非課税に戻すことはできません(同Q18の注)。どちらの申告が有利かはご自身の所得や他の口座の状況で変わるので、税務署や税理士にご確認ください。
いつまでに変える?──基準日までに、3〜4営業日みておく
変更には期限があります。
日本証券業協会は「保有銘柄の配当基準日までに、手続を終了しておく必要があります」「この手続に要する日数は、証券会社によって異なります」としています(同ページ)。
楽天証券の場合、変更の受付完了まで3〜4営業日かかると書かれています(楽天証券・配当金の受取方法の確認および変更方法)。
つまり「基準日の前日に気づいて今日変える」は、間に合わない可能性が高いということです。基準日の1週間前には終わらせておく、くらいで考えておくと安全です。
楽天証券での変更の場所(PCサイト)
ログイン後、画面右上の「マイメニュー」→ お客様情報の設定・変更「申込が必要なお取引(信用、先物・オプション、FXなど)」→ 国内株式「配当金受取方法」と進みます。今の登録内容もそこで確認できます。変更が完了したか、またはエラーになったかは、後日メールとお知らせで届きます。
※画面の名称は2026年9月14日時点のものです。
意外なところ:一度変えると、全部の証券会社に効きます
ここは知らない人が多いところです。
日本証券業協会によると、証券会社で一度「株式数比例配分方式」を選ぶと、同じ証券会社や他の証券会社の特定口座・一般口座で持っている全ての上場株式の配当金等についても、自動的にこの方式になります。証券会社ごとに違う受取方式を選ぶことはできません(同ページ)。
たとえば「楽天証券だけ証券口座で受け取って、別の証券会社の分は今までどおり銀行で」はできない、ということです。
これは不便に聞こえるかもしれませんが、実際には安心材料でもあります。1社で直せば、全部そろうので。
選べない人もいます
2009年の株券電子化のときに信託銀行などにつくられた「特別口座」に株式がある場合などは、株式数比例配分方式を使えません(日本証券業協会・楽天証券とも明記)。心当たりがある人や、特別口座がどこにあるか分からない人は、取引先の証券会社に相談してください。
米国株の配当には、この設定は関係ありません
ここが、このサイトを読んでいる人に一番関係のある切り分けです。
VOOやVYMのように、米国に上場している株・ETFの配当には、株式数比例配分方式は関係ありません。 外国株式の配当金・分配金は、もともと楽天証券の口座で受け取る仕組みになっていて、源泉徴収後の金額が総合取引口座に入ります(楽天証券・外国株式の配当金について)。ほふりの受取方法の話ではないんだよ。
米国株で選ぶのは、別の設定です。円で受け取るか、米ドルのまま受け取るか。これは同じ「配当金受取方法」という言葉を使っていてややこしいので、米国株の配当は円で受け取る?ドルで受け取る?に分けて書いています。
ひとつだけ、関係する話を。米国株の配当には、日本の課税とは別に、租税条約によって米国で10%の課税があります(同・楽天証券)。NISA口座で受け取る場合も、この現地の分はなくなりません。国税庁も、非課税口座の中の配当にかかった外国所得税は外国税額控除の対象にならない、としています(国税庁 No.1240)。
なお楽天証券は、ADRや米国市場に上場する外国株式は、米国と相手国との租税条約によって現地の税率が違う、とも注記しています(同ページ)。この仕組みは米国株の配当金にかかる税金にまとめました。
東証に上場しているETFは、銘柄によって扱いが違います
東証に上場しているETFでも、「国内に上場している外国株式」「国内上場株式ETF(外国株式扱い)」に分類される銘柄は、配当金が権利確定日時点で登録されている出金先銀行口座に直接振り込まれる、と楽天証券が案内しています(同・サービス案内)。同じ「東証のETF」でも入り口が違うということです。
東証のETFをNISAで持っていて配当の扱いが気になる人は、その銘柄がどちらの扱いなのかを証券会社に確認してください。ここは銘柄ごとに違うので、まとめて言い切れないところです。東証上場と米国上場の違いそのものはS&P500のETFは東証と米国、どっちで買う?にあります。
投資信託だけを積み立てている人は、今日やることはありません
最後に、いちばん人数の多い人たちの話を。
オルカンやS&P500の投資信託だけを積み立てている人は、この手続きは要りません。日本証券業協会も「NISA口座で買付けた株式投資信託の分配金については、上記の手続は不要です」とはっきり書いています(同ページ)。
投資信託の分配金は、上場株式の配当金とは別の道を通ってあなたの口座に入ります。だから、ほふりの受取方法とは無関係なんです。
積立だけの人は、ここで読み終えて大丈夫。今日やることはないんだよ。
まとめ
まとめ:3つだけ持ち帰る
- NISAで日本の上場株式・ETF・REITの配当を非課税にできるのは株式数比例配分方式だけ。ほかの方式だと20.315%引かれます(日本証券業協会)
- 変更は配当の基準日までに。楽天証券は受付完了まで3〜4営業日。一度変えると他の証券会社の分もまとめて切り替わります
- 投資信託だけを積み立てている人と、米国に上場している株・ETFだけの人は、この設定は関係ありません
はじめに、こねこが「触らなくてもいいのかな」と言っていました。触らなくてもお金は届きます。届くけれど、NISAの非課税が乗るかどうかは、その設定で決まります。
自分がどれになっているかを見るだけなら、ログインしてマイメニューを開くだけです。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
本記事は制度・仕組みの情報提供を目的としたもので、特定の商品の売買を推奨するものではありません。税金の取り扱いはご自身の状況によって変わることがあります。判断に迷う場合は、取引先の証券会社・税務署・税理士にご確認ください。投資の最終判断はご自身でお願いします。