S&P500の積立、気づいたら評価額がけっこうプラスになってました。うれしいんですけど…「上がったうちに一回売って利益を確定したほうがいいのかな?」ってソワソワしちゃって。利確ってしたほうがいいんでしょうか?
これも本当に多い迷いだよ。先に結論を言うと、長期でお金を増やす目的で積み立てているなら、含み益が出ても基本は売らずに続けてOK。「上がったから売る」は一見かしこそうに見えて、実は自分でハードルを上げてしまう手なんだ。なぜそう言えるのか、順番に整理しよう。
この記事を読み終えると、次のことがわかるようになります。
この記事でわかること
- 「利確したくなる」気持ちの正体
- 積立で出た含み益を、基本は売らないほうがいい3つの理由
- 迷ったときの既定解(理由と、売っていい例外つき)
- 「暴落したら?」「目標額に届いたら?」への向き合い方
「利確したくなる」気持ちの正体
まず知っておきたいのは、利確したくなるのは、儲けたいからではなく「この利益が消えるのが怖い」からだということです。
画面の評価額がプラスになると、私たちはそれを「もう自分のもの」と感じます。すると今度は、その数字が減ること=損失のように感じられて、「確定させて安心したい」という気持ちが強くなります。行動経済学ではこれを「授かり効果」や「損失回避」と呼びますが、名前はどうでもよくて、要はソワソワの正体は"欲"ではなく"不安"ということです。
あ、まさにそれです…。増えたのはうれしいのに、減るのが怖くて落ち着かないんです。
その不安はごく自然なもの。だからこそ「気分」で決めずに、あらかじめ考え方を決めておくのが大事なんだ。売らないほうがいい理由を3つ見ていこう。
積立の含み益を、基本は売らないほうがいい3つの理由
理由1:複利は「売らずに持ち続ける」ことで働く
長期投資でお金が増える一番の力は「複利」です。増えた分もそのまま運用に乗せることで、雪だるまのように増える効果が期待できます。金融庁も、長期投資の効果として複利を挙げています(参照:金融庁「投資の基本(長期・積立・分散)」)。
ここで大事なのは、複利は「持ち続けている間」だけ働くということです。途中で売って現金にすると、その時点で雪だるまはいったん止まります。利確とは「複利のスイッチを自分で切る」ことでもあるのです。
理由2:売り時は「売ったあと」も当てないといけない
「高くなったから売る」がうまくいくには、実は2回タイミングを当てる必要があります。①いま売る(高い)②もっと安いところで買い戻す——この2つがそろって初めて得になります。
でも、買い戻すべき「安いところ」は、その時になっても分かりません。売ったあと株価がさらに上がれば、より高い値段で買い戻すか、上昇に乗れないまま現金で見送ることになります。買うタイミングより、売って戻すタイミングのほうがむずかしい。これは「高値づかみが怖い」と感じるときと同じ、タイミングは事前には当てられないという前提の裏返しです(参考:米国株が高値で買えない…と感じたら)。
理由3:売ると、再スタートのハードルが上がる
売って現金にすると、次は「いつ買い直すか」という新しい迷いが生まれます。人はいったん現金にすると、こわくてなかなか市場に戻せず、そのまま何年も現金のまま眠らせてしまいがちです。
さらにNISA口座の場合、売った年の非課税枠はすぐには元に戻りません(翌年以降に復活)。「利確して、また入れ直す」は、枠の面でもスムーズではないのです(NISA枠の使い分けはつみたて投資枠と成長投資枠の使い分けで整理しています)。
まとめ:基本は売らないほうがいい3つの理由
- 複利は「持ち続けている間」だけ働く(売ると止まる)
- 「売って安く買い戻す」は2回タイミングを当てる必要があり、現実には難しい
- 売ると再投資のハードルが上がり、NISA枠もすぐには戻らない
迷ったときの既定解
迷いどころの既定解(これでOK)
老後や10年以上先を目的に積み立てているなら、含み益が出ても利確はせず、そのまま積立を続けてOK。理由は3つ——①複利は持ち続けてこそ働く/②売り時は「買い戻し」まで当てる必要があり現実に難しい/③売ると再投資のハードルとNISA枠の制約が増える。
ただし、次にあてはまる人は「一部を売る」判断もありです。
- 数年以内に使うお金になった(教育費・住宅の頭金・車など、使う時期と金額が具体的に決まった)→ 必要な分だけ計画的に現金化してOK
- リスクを取りすぎて夜眠れない→ 儲けを狙う売りではなく、自分が続けられる比率に戻すための一部売却はOK
「上がったから売る」と「使う予定ができたから売る」は、ぜんぜん違うんですね。
そこが肝心。売っていいのは「相場が高いから」ではなく「自分の暮らしに理由があるから」のとき。前者はタイミング当てのギャンブル、後者は計画的なお金の使い方だよ。
「暴落したら?」「目標額に届いたら?」
暴落が来たら売るべき? これも基本は同じで、目的が長期なら慌てて売らないのが既定解です。むしろ下がっている時期は、同じ積立額でより多く買える時期でもあります(この感覚は高値づかみが怖いときの記事と裏表です)。
目標額に届いたら? 「老後資金〇〇万円」のようにゴールと使う時期を最初から決めていたなら、そこに近づいたタイミングで、値動きの影響を減らすために少しずつ現金や安定資産に移していくのは理にかなっています。これは「利確」ではなく「予定どおりの出口」です。
じゃあ私は、使う予定もまだ先だし…このまま積立を続けます!ソワソワしなくてよさそうです。
まとめ
「利確すべき?」への答え
- 利確したくなるのは"欲"ではなく"不安"。まず気持ちの正体を知る
- 長期が目的なら、含み益が出ても基本は売らずに続けるのが既定解
- 売っていいのは「相場が高いから」ではなく「使う予定ができた/リスクを取りすぎた」とき
- 暴落も目標到達も、あらかじめ決めた計画に沿って動けば慌てなくて済む
評価額のプラスは、あなたが続けてきたことの成果です。その数字を「守るために手放す」のではなく、「育て続ける」という選び方もあると知っておくだけで、上がった日も下がった日も、少し落ち着いて画面を見られるようになります。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買や売却時期を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。