※紹介する手数料・制度は執筆時点のものです。最新の条件は必ず各公式サイトでご確認ください。
新NISAでS&P500の投資信託を積み立てて1年経ちました。それで最近知ったんですけど、同じS&P500でも「ETF(VOO)のほうが手数料が安い」らしくて…。私、損してるんでしょうか? 乗り換えたほうがいいですか?
先に結論から言うね。今の積立は、そのまま投資信託で続けてOK。損はしていないよ。
ただ、その理由が大事なんだ。実は「ETFのほうが安い」という話、コストの計算そのものは合っている。それでも既定解が投信のままなのは、コスト以外のところに理由があるからなんだ。順番に見ていこう。
この記事でわかること
- 投資信託とETFのコストは実際どちらが安いのか(公式データで確認)
- それでも「投信のまま」を既定解にする3つの理由
- 逆に、ETFに向いている人はどんな人か
まず正直に:コストだけ見るとETFのほうが安い
この手の記事は「実はETFにも手数料がかかるんです」と話を進めがちですが、まずは数字をそのまま並べます。ここでは代表例として、投資信託はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、ETFはVOO(バンガード・S&P500 ETF)、証券会社は楽天証券を前提にします。
| 投資信託(eMAXIS Slim S&P500) | ETF(VOO) | |
|---|---|---|
| 買うときの手数料 | なし | 無料(買付手数料無料の対象15銘柄) |
| 持っている間(年) | 信託報酬 0.0814% | 経費率 0.03% |
| 売るときの手数料 | なし | 約定代金の0.495%(上限22米ドル)※NISAは0円 |
| 最低金額 | 100円以上1円単位 | 1株単位(※金額指定の積立も可) |
出典:楽天証券・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ファンド詳細/Vanguard公式・VOO/楽天証券・米国株式の手数料/楽天証券・買付手数料無料の海外ETF(いずれも2026年7月時点)
見てのとおりです。VOOとVTIを含む15銘柄は買付手数料が無料で、さらにNISAの成長投資枠なら米国株式・米国ETFの取引手数料は買いも売りも0円(楽天証券・NISA)。持っている間のコストも0.03%と、投信の0.0814%より低い水準です。
金額にすると、100万円を1年持ったときの差は約514円(投信814円 対 ETF300円)。「ETFのほうが安い」は、事実として正しいわけです。
えっ、じゃあやっぱりETFに乗り換えるべきなんじゃ…! 安いほうがいいに決まってますよね?
そこで止まらずに、もう一歩だけ考えたいんだ。年514円を取りにいくと、代わりに何を差し出すことになるのか。ここを見ないまま乗り換えると、節約したコストより大きいものを失うことがあるんだよ。
それでも既定解が「投信のまま」な3つの理由
理由1:つみたて投資枠は、ETFでは埋められない
新NISAには2つの枠があります。つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円です(金融庁・NISAを知る)。
このうちつみたて投資枠で買えるのは、金融庁が定めた基準を満たす投資信託等に限られます(金融庁・つみたて投資枠対象商品)。VOOのような米国に上場しているETFはこのリストに入っていないため、買うなら成長投資枠を使うことになります。
つまり、今の積立をそのままETFに置き換えると、つみたて投資枠120万円が空いたまま残るということです。年514円を節約するために、非課税で運用できる枠のほうを使い残してしまう——これでは本末転倒になりかねません。
理由2:分配金が、自動では再投資されない
ここが実務的にいちばん効いてくる差です。
- 投資信託:受け取った配当はファンドの中に積み上がっていきます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の直近の分配金は0円(楽天証券・ファンド詳細・2026年7月時点)。あなたは何もしなくても、複利が回り続けます。
- ETF:分配金は現金(ドル)であなたの口座に振り込まれます。放っておけば、それはただの現金です。複利を効かせたければ、自分で買い直す必要があります。
しかも、NISA口座の中でその分配金を再投資すると、買い直したぶんだけ成長投資枠を新たに消費します。投信の内部での再投資は枠を消費しないので、ここは静かに、しかし確実に差がつくところです。
理由3:差は年514円。手間と枠を上回らない
改めて、100万円あたり年約514円。もちろん残高が増えれば差も比例して増えますが、それでも理由1(枠を使い残す)と理由2(自分で再投資し続ける手間)を引き受けてまで取りにいく額かどうか、という話になります。
迷ったときの既定解
迷いどころの既定解(これでOK)
- 今の積立が「つみたて投資枠での投資信託」なら、そのまま続けてOK。乗り換える必要はありません。理由は3つ——(1)つみたて投資枠はETFでは埋められない (2)分配金が自動で再投資され、手間ゼロで複利が回る (3)コスト差は100万円あたり年約514円で、(1)(2)を覆すほどではない
- ただし、つみたて投資枠を使い切っていて、成長投資枠でも米国株を増やしたい人はETFが選択肢。この場合はどのみち成長投資枠なので、理由1が消え、保有コストの安さが素直に効きます
- 分配金を「使いたい」人もETF向き。再投資せず現金で受け取ること自体が目的なら、投信の内部再投資はむしろ邪魔になります
「安いほうを選ぶ」は、投資ではだいたい正しい。でも今回みたいに、安さの裏に手間や枠の制約がぶら下がっているときは、そこまで含めて見比べたい。
こねこちゃんの1年間の積立は、まったく損じゃなかったよ。
乗り換えるとき、いちばん気をつけること
もし将来ETFを買い足すなら、1つだけ注意点があります。
どのETFを選ぶかで迷っている場合は、VOOとVTIの違いで組入銘柄の重なりまで比較しています。
まとめ
まとめ:投資信託とETF、どっちで買うか
- コストは確かにETFのほうが安い(保有コスト0.03% 対 0.0814%=100万円で年約514円)
- それでも既定解は「つみたて投資枠での投信は、そのまま継続」。ETFでは つみたて投資枠を埋められず、分配金の再投資も手作業になるため
- つみたて投資枠を使い切った人・分配金を使いたい人はETFが選択肢になる
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。