※紹介する手数料・制度は執筆時点のものです。最新の条件は必ず各公式サイトでご確認ください。

🐱
こねこ(投資1年目)

新NISAでS&P500の投資信託を積み立てて1年経ちました。それで最近知ったんですけど、同じS&P500でも「ETF(VOO)のほうが手数料が安い」らしくて…。私、損してるんでしょうか? 乗り換えたほうがいいですか?

トリ
トリ(管理人)

先に結論から言うね。今の積立は、そのまま投資信託で続けてOK。損はしていないよ。
ただ、その理由が大事なんだ。実は「ETFのほうが安い」という話、コストの計算そのものは合っている。それでも既定解が投信のままなのは、コスト以外のところに理由があるからなんだ。順番に見ていこう。

この記事でわかること

  • 投資信託とETFのコストは実際どちらが安いのか(公式データで確認)
  • それでも「投信のまま」を既定解にする3つの理由
  • 逆に、ETFに向いている人はどんな人か

まず正直に:コストだけ見るとETFのほうが安い

この手の記事は「実はETFにも手数料がかかるんです」と話を進めがちですが、まずは数字をそのまま並べます。ここでは代表例として、投資信託はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、ETFはVOO(バンガード・S&P500 ETF)、証券会社は楽天証券を前提にします。

▼ コストの比較(執筆時点・楽天証券の場合/イメージ図)
投資信託(eMAXIS Slim S&P500) ETF(VOO)
買うときの手数料 なし 無料(買付手数料無料の対象15銘柄)
持っている間(年) 信託報酬 0.0814% 経費率 0.03%
売るときの手数料 なし 約定代金の0.495%(上限22米ドル)※NISAは0円
最低金額 100円以上1円単位 1株単位(※金額指定の積立も可)

出典:楽天証券・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ファンド詳細Vanguard公式・VOO楽天証券・米国株式の手数料楽天証券・買付手数料無料の海外ETF(いずれも2026年7月時点)

見てのとおりです。VOOとVTIを含む15銘柄は買付手数料が無料で、さらにNISAの成長投資枠なら米国株式・米国ETFの取引手数料は買いも売りも0円(楽天証券・NISA)。持っている間のコストも0.03%と、投信の0.0814%より低い水準です。

金額にすると、100万円を1年持ったときの差は約514円(投信814円 対 ETF300円)。「ETFのほうが安い」は、事実として正しいわけです。

🐱
こねこ

えっ、じゃあやっぱりETFに乗り換えるべきなんじゃ…! 安いほうがいいに決まってますよね?

トリ
トリ

そこで止まらずに、もう一歩だけ考えたいんだ。年514円を取りにいくと、代わりに何を差し出すことになるのか。ここを見ないまま乗り換えると、節約したコストより大きいものを失うことがあるんだよ。

それでも既定解が「投信のまま」な3つの理由

理由1:つみたて投資枠は、ETFでは埋められない

新NISAには2つの枠があります。つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円です(金融庁・NISAを知る)。

このうちつみたて投資枠で買えるのは、金融庁が定めた基準を満たす投資信託等に限られます金融庁・つみたて投資枠対象商品)。VOOのような米国に上場しているETFはこのリストに入っていないため、買うなら成長投資枠を使うことになります。

つまり、今の積立をそのままETFに置き換えると、つみたて投資枠120万円が空いたまま残るということです。年514円を節約するために、非課税で運用できる枠のほうを使い残してしまう——これでは本末転倒になりかねません。

理由2:分配金が、自動では再投資されない

ここが実務的にいちばん効いてくる差です。

  • 投資信託:受け取った配当はファンドの中に積み上がっていきます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の直近の分配金は0円楽天証券・ファンド詳細・2026年7月時点)。あなたは何もしなくても、複利が回り続けます。
  • ETF:分配金は現金(ドル)であなたの口座に振り込まれます。放っておけば、それはただの現金です。複利を効かせたければ、自分で買い直す必要があります。

しかも、NISA口座の中でその分配金を再投資すると、買い直したぶんだけ成長投資枠を新たに消費します。投信の内部での再投資は枠を消費しないので、ここは静かに、しかし確実に差がつくところです。

理由3:差は年514円。手間と枠を上回らない

改めて、100万円あたり年約514円。もちろん残高が増えれば差も比例して増えますが、それでも理由1(枠を使い残す)と理由2(自分で再投資し続ける手間)を引き受けてまで取りにいく額かどうか、という話になります。

加えて、ETFを円貨決済で買う場合は1米ドルあたり25銭の為替手数料が別途かかります(買うときも売るときも)。詳しくは[円貨決済と外貨決済、どっちで買う?](/posts/us-stock-currency-settlement-yen-vs-usd)にまとめています。表のコスト差は、この分だけさらに縮みます。

迷ったときの既定解

迷いどころの既定解(これでOK)

  • 今の積立が「つみたて投資枠での投資信託」なら、そのまま続けてOK。乗り換える必要はありません。理由は3つ——(1)つみたて投資枠はETFでは埋められない (2)分配金が自動で再投資され、手間ゼロで複利が回る (3)コスト差は100万円あたり年約514円で、(1)(2)を覆すほどではない
  • ただし、つみたて投資枠を使い切っていて、成長投資枠でも米国株を増やしたい人はETFが選択肢。この場合はどのみち成長投資枠なので、理由1が消え、保有コストの安さが素直に効きます
  • 分配金を「使いたい」人もETF向き。再投資せず現金で受け取ること自体が目的なら、投信の内部再投資はむしろ邪魔になります
トリ
トリ

「安いほうを選ぶ」は、投資ではだいたい正しい。でも今回みたいに、安さの裏に手間や枠の制約がぶら下がっているときは、そこまで含めて見比べたい。
こねこちゃんの1年間の積立は、まったく損じゃなかったよ。

乗り換えるとき、いちばん気をつけること

もし将来ETFを買い足すなら、1つだけ注意点があります。

S&P500の投資信託とVOOは、中身がほぼ同じものです。両方を持っても分散にはなりません。「投信を売ってETFを買い直す」のも、NISA口座では売った枠がその年すぐ復活するわけではないため、あわてて動く理由は乏しいです。買い足すなら、まず「自分の持ち物と何が重なるか」から確認してください。

どのETFを選ぶかで迷っている場合は、VOOとVTIの違いで組入銘柄の重なりまで比較しています。

まとめ

まとめ:投資信託とETF、どっちで買うか

  • コストは確かにETFのほうが安い(保有コスト0.03% 対 0.0814%=100万円で年約514円)
  • それでも既定解は「つみたて投資枠での投信は、そのまま継続」。ETFでは つみたて投資枠を埋められず、分配金の再投資も手作業になるため
  • つみたて投資枠を使い切った人・分配金を使いたい人はETFが選択肢になる

※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。