こねこ
こねこ(投資1年目)

NISAを始めようとしたら「まず生活防衛資金を貯めてから」と書いてあって…。でも、貯金がほとんどないんです。これが貯まるまで、積立はガマンしたほうがいいんでしょうか?

トリ
トリ(管理人)

その「ガマン」って、どういう感じ?

こねこ
こねこ

何十万円も貯まるまで、何年もかかりそうで…。そのあいだ、自分だけスタートラインに立てない気がするんです。

トリ
トリ

そう感じる人、多いと思うよ。結論から言うと、全部そろうまで待たなくていい。ただ、ゼロのまま投資だけ始めるのもおすすめしない。まず生活費1か月分を預金に置いて、そこから先は貯金と積立を同時に。これが私の答えだよ。

生活防衛資金って、そもそも何?

生活防衛資金は、急な出費や収入が減ったときのために、すぐ使える形で置いておくお金のことです。

家電が壊れた、車が故障した、病気で働けない月が出た。こういう日のためのお金です。

置き場所は、すぐ下ろせる預金が基本です。株や投資信託に入れてしまうと、使う日に値下がりしていても、売るしかなくなるからです。

金融庁のNISA特設サイトにある座談会で、司会の人がこう話しています。

「当面使わないお金は、下がっても投資を続けていれば上がるかもしれない。でも、今使いたいお金は引き出すと損が確定してしまうんですよね」(金融庁「本音が飛び出す!つみたてNISA座談会(第2回)」より)

今回読んだのは、この座談会のページと、同じ特設サイトの「教えて虫とり先生(第4回)」の2つです。どちらも、今の新NISAが始まる前の「つみたてNISA」の時代のページです。制度の金額は今と違いますが、お金を分けて考える話は今も同じだと私は読みました。

目安は「働きながらなら3か月から半年」

じゃあ、いくらあればいいのか。

同じ座談会で、参加者の1人がこう話しています。

「働きながらならば3か月から半年程度が生活防衛資金として目安になるかと思います。人によりますけどね」(同じ座談会ページより)

金融庁が決めた基準ではなく、座談会での1人の目安です。本人も「人による」と言っています。独立している人なら「3年程度」とも話していました。

生活費20万円の人に当てはめると、こうなります。

▼ 毎月の生活費20万円の人の生活防衛資金(計算・イメージ図)
何か月分 金額
1か月分 20万円
3か月分 60万円
半年分 120万円

貯金がほとんどない人にとって、60万円や120万円は遠いよね。

ここで「全部貯まってから」と決めると、こねこの言うとおり何年も積立が始まらないことがあります。

3つの順番を数字で比べてみる

生活費20万円、毎月の余力(貯金か積立に回せるお金)が3万円の人で比べてみます。ゴールは3か月分の60万円です。

▼ 3か月分(60万円)が貯まるまでの比べ方(余力 月3万円・計算・イメージ図)
順番 60万円が貯まるまで 積立を始める月 60万円が貯まった時点の積立額(元本)
A. 全部貯めてから積立 20か月 21か月目 0円
B. 1か月分(20万円)までは全部貯金 → そのあと月2万円貯金+月1万円積立 27か月 8か月目 20万円
C. 最初から月1.5万円ずつ半々 40か月 1か月目 60万円

※Bは、7か月で21万円貯まり、8か月目から月2万円の貯金で残り39万円を20か月で貯める計算。利息や値動きは入れていません。

Aは貯金が一番早く終わります。でも、積立のスタートは1年半以上先です。

Cは積立が一番早く始まります。でも、最初の数か月は預金がほとんどありません。そこで急な出費が来ると、始めたばかりの積立を売ることになるかもしれません。

Bは、その間を取った形です。最初の7か月で1か月分だけ先に作り、8か月目からは両方を同時に進める。私が勧めたいのはこのBです。

金融庁の「教えて虫とり先生(第4回)」にも、始め方についてこう書かれています。

「余裕資金だけをリスク性資産に投資するとか、1~2割だけにしておくとか、毎月1万円からとか、試しにほんのちょっとだけ、なーんてのもOKなのです」(金融庁「教えて虫とり先生(第4回)」より)

月1万円から、で始めていいんです。

急な出費は、予定表にない日に来る

ここは私の話をさせてください。

先月、自宅が床下浸水しました。床下全面に2〜3cmの水です。

水抜きには、お風呂の残り湯を洗濯機に送るポンプを使いました。ホームセンターで2〜3千円でした。止まっていたエアコンの室外機は、メーカーに点検を頼みました。点検は無償で、出張料が5,600円でした。

火災保険に水災の補償を付けていなかったので、全部自分の財布から出ています。

金額は大きくありませんでした。でも、浸水する日を予定表に書いていた人はいないんですよね。

生活防衛資金って、こういう日のためのお金なんだと今は思っています。その24時間の記録は床下浸水、最初の24時間で何をした?に書いています。

もう1つ、投資のほうの失敗もあります。積立を始めて1年ほどのころ、5%ほどの下落で怖くなって全部売ってしまいました。あとで思ったのは「直近で必要なお金まで入れていたら、さらに大きな焦りや損失になっていた」ということです。その話は積立を一度売ってしまった後悔が消えないときにあります。

だから私は、投資に入れるのは余裕のあるお金だけと決めています。

積立を遅らせても、NISAの枠は減らない

「早く始めないと、NISAの枠がもったいない」と焦る人もいると思います。

でも、1年に入れられる枠は翌年に持ち越せない一方で、一生で使える1,800万円の枠は、使わなかった年があっても減りません。

出典:金融庁「NISAを知る」(生涯の上限1,800万円・年間の上限360万円。2026年10月7日確認)、楽天証券 よくあるご質問(年間枠の持ち越し)

なので、毎月数万円の積立なら、1か月分を先に作るために数か月遅れても、あとで枠が足りなくなることはまずありません。ただ、毎年360万円近くを入れるつもりの人は、使わなかった年の分は取り戻せないので、1,800万円を埋め終わる時期はその分あとにずれます。くわしくはNISAの枠を使い切れない、もったいない?で計算しています。

焦らなくて大丈夫だよ。

積立より先に、預金に置いておきたいお金

  • 生活費の1か月分(まだなければ、ここが最初)
  • 数年以内に使う予定のお金(車・引っ越し・学費・家の修理など)。座談会でも「3年後に子供の学費」「2年後に車を買い替え」が例に出ていました
  • 家族構成や仕事で必要な額は変わります。共働きか、収入が安定しているかでも違います

迷ったらこれ

生活費1か月分を預金に置いたら、残りは貯金と積立を同時に進める。理由は3つです。

  1. 全部貯めてからだと、積立のスタートが1年半以上先になることがある(生活費20万円・余力月3万円なら21か月目)
  2. 預金ゼロで始めると、急な出費の日に始めたばかりの積立を売ることになるかもしれない
  3. 生涯の1,800万円の枠は、遅れても減らない。月1万円からでも始められる

まとめ

まとめ:生活防衛資金が貯まる前に積立していい?

  • 生活防衛資金は、急な出費のためにすぐ下ろせる預金に置くお金
  • 目安は、金融庁の座談会で出ていた「働きながらなら3か月から半年」(人による)
  • 全部そろうまで待たず、まず1か月分→そのあと同時に
  • 余力月3万円でBの順番なら、8か月目から積立を始められる
  • 数年以内に使うお金は、積立に入れないほうが安心

最初のこねこの「自分だけスタートラインに立てない」に戻ります。

1か月分の預金ができたら、それがもうスタートラインです。

生活防衛資金は、投資を止めるためのお金ではなく、投資を売らずに続けるためのお金だと私は思っています。今日はここまで。焦らずいきましょう。

※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。表の数字は説明のための計算例です。必要な生活防衛資金の額は、家族構成・仕事・住まいによって変わります。制度は2026年10月7日時点で金融庁のサイト(年間枠の持ち越しは楽天証券の案内)を確認したものです。