下がった日に、積立を全部売ってしまいました。売ったこと自体より、「なんであのとき売ったんだろう」がぐるぐるして止まらないんです。あの日、特別なことがあったわけでもないのに…。
その「ぐるぐる」って、どういう感じ?
…自分が弱いからやったんだ、って思っちゃうんです。それで、次も同じことをする気がして。そこが一番こわいです。
その感覚、私も最初にありました。でも、原因を自分の性格に置くのはやめたほうがいいです。私が売ってしまったとき、変わっていたのは相場のほうじゃなくて、毎日見ていた情報のほうでしたから。
この記事でわかること
- 後悔が消えないときに、先にやるといいこと
- 私が売る前の1週間、毎日見ていたもの
- 「毎日見る」を回数にすると、1年で何回になるか
- 失敗のあとに私が変えた3つ
- お金をかけて情報を買う必要があるのか(私の答え)
下がった日に何をするかで迷っている段階の人は、先に米国株が暴落したらどうする?を読んでください。この記事は、もう売ってしまったあとの話です。
後悔そのものは、消さなくていい
まず、いちばん言いたいことから。
後悔は、消そうとしても消えません。そして消さなくても大丈夫です。
売った日のことを思い出すたびに苦しくなるのは、それだけ真剣にお金と向き合った証拠でもあります。忘れようとするほど、頭の中で回りつづけるんだよね。
大事なのは、後悔が消えるかどうかじゃありません。次に同じ場面が来たとき、注文ボタンの前で1回手が止まるかどうかです。そこだけ変えられれば、今日の後悔は仕事を終えます。
だから今日やることは、気持ちの整理ではありません。手が止まるように、まわりを少しいじるだけです。
私が売る前に、毎日見ていたもの
ここは私の失敗の話です。
投資を始めて間もないころ、一度、全部売ってしまったことがあります。そのあと買い戻したのですが、結局、売ったときより高い値段で買い直すことになりました。
当時をふり返って、いま一番はっきり覚えているのは相場のことではありません。売る前に毎日見ていたもののほうです。
- X(ツイッター)のタイムライン
- ニュースサイト
- そして、毎日ひらいていた動画
とくに動画がきつかった。ネガティブなものほど言葉が強いんです。「暴落」「もう戻らない」「今が底かどうかは分からない」。そこに過去の悪い事例をいくつも並べられる。あれを毎日浴びるのは、正直、メンタルにきました。
…私も、売る前の週は同じようなものばかり見ていた気がします。でもそれって、情報を集めていただけですよね?
私もそのつもりでした。ただ、あとから気づいたことがあって。集めていたのは情報じゃなくて、売る理由のほうだったんです。不安なときに検索すると、不安に合う話ばかりが集まってきますから。
実際の下げ幅は、そこまで大きなものではありませんでした。でも、私の頭の中では、もっとひどいことが起きていた。相場と気持ちのあいだに、情報がはさまっていたわけです。
値段が動いたから売ったのではなく、言葉を浴びたから売った。
数字にすると:1年で251回の「どうしよう」
ここは回数にしてしまうのが早いです。
ニューヨーク証券取引所の2026年の休場日は10日です(出典:NYSE「Holidays & Trading Hours」・2026年9月21日確認)。土日と合わせて計算すると、2026年に市場が開いているのは251日になります。
つまり、毎日チャートをひらく人には、1年で251回「どうしよう」と考える機会がやってきます。
| 見る頻度 | 1年に迷う機会 |
|---|---|
| 毎営業日 | 251回 |
| 週に1回 | 52回 |
| 月に1回 | 12回 |
毎日から月1回にすると、251回が12回。およそ21分の1です。
これ、才能の話じゃないんだよね。251回も「どうする?」と聞かれたら、誰だってどこかで首を縦に振ります。逆に12回しか聞かれなければ、振る回数も減る。ただそれだけの話です。
そして、この回数だけは自分で決められます。相場の向きは決められません。
失敗のあと、私が変えた3つ
売って、買い戻して、痛い思いをしたあとに変えたのは、この3つでした。銘柄は変えていません。
① 毎日の値動きを見ない
これが一番効きました。見る回数を減らすと、判断をせまられる回数が減ります。上の251回の話そのものです。
アプリを消すところまでやらなくて大丈夫。私がまずやったのは、通知を切ることでした。向こうから来るのを止めるだけで、だいぶ静かになります。
② 積立の金額を動かさなかった
下がっても止めず、上がっても増やさない。私はそこだけ触らないようにしました。
金融庁も、積立投資の説明でこう書いています。「積立投資することで安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられます」(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト「資産形成の基本」・2026年9月21日確認)。
金額を自分の判断で動かすと、この「避けられます」が前提にしている積み方から外れていきます。せっかく自動にしたのに、手で戻してしまうわけですね。
③ 指標は「どれだけ動いたか」ではなく「前と比べてどうか」で見る
たとえばCPI(アメリカの物価の指標)。発表の日は「◯◯ポイント動いた」という見出しが並びます。でも私が見るのは、前の年と比べてどのくらい上がったか、その1点だけです。
見る場所を1つに絞ると、同じニュースでも受け取り方がずいぶん変わります。見方はCPI発表の見方にまとめてあるので、当日はそこだけ確認して閉じれば足ります。
お金をかけて情報を買う必要は、ありませんでした
ここは本音です。
買い戻すと決めるまでのあいだ、私はかなり勉強し直しました。ただ、そのとき読んだものは、ふつうのインターネットと動画です。お金をかけて情報を買ったことは一度もありません。
そして今も、私には必要なかったな、と思っています。
高い情報サービスを探す前に、見る量を減らすほうが先です。足りなかったのは情報の質ではなく、浴びる量のほうだった。私の場合はそうでした。
やらなくていいこと3つ
今日やらなくていいこと
- 後悔を消そうとすること。消えないまま持っていて大丈夫です。手が止まればそれでいい
- 売った値段を覚えておくこと。買い戻すなら、値段ではなく日付で決めます。手順は狼狽売りのあと買い戻しは?にまとめました
- NISAの枠のことで自分を責めること。2024年から始まったNISAなら、売った分の枠はゼロになりません。詳しくはこの下に書きます。仕組みはNISAで売った枠はいつ戻る?にもまとめてあります
3つ目は、けっこう知られていません。「一生分の枠を自分でつぶした」と思い込んでいる人がいるけれど、そうではないんだよね。
2024年から始まったNISAの場合、売った分は翌年以降、買った値段(簿価=取得金額)のぶんだけ非課税保有限度額(総枠・1,800万円)が空いて、また使えるようになります(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」・2026年9月21日確認)。
ただし、戻ってくるのはこの総枠のほうです。その年に買える金額は年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)の範囲まで、というのが公式のQ&Aの説明。売った年のうちに使い直すこともできません(出典:日本証券業協会「NISAに関するQ&A」・2026年9月21日確認)。
それと、ここまでは2024年から始まったNISAの話です。2023年までのNISA(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)で持っている分は、1,800万円の総枠とは別の「外枠」で管理されていて、そもそも新しく買い増すこともできない、と金融庁は説明しています(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト「2023年までのNISA」・2026年9月21日確認)。
どちらで買った分なのか、復活した枠を来年いくら使えるのかは、人によって変わります。自分の場合どうなるかは、口座のある証券会社か、お近くの税務署に確認してください。ここを知るだけで、少し呼吸がしやすくなる人もいると思います。
ここだけは気をつけてください
情報の量より先に見直す場所
- 近いうちに使う予定のお金を入れていた場合は、話が別です。学費・引っ越し・車検のように使う日が決まっているお金は、情報の量より先に、自分の中で置き場所を確認しておきたいところです。私も、あのとき生活に必要なお金を入れていたら、もっと大きく動揺したと思います
- 夜、眠れなくなっていたなら、原因は情報だけではないのかもしれません。情報を減らしても不安が消えないときは、自分にとっての金額の重さのほうを、一度考えてみる材料になります(どうするかはご自身の生活とのバランスで)
- この記事は「持ち続ければうまくいく」という話ではありません。この先どうなるかは誰にも分かりません。私は「下落や暴落は当然あるもの」として受け止めている、というだけです
直せるのは、相場ではなく、相場との距離のほう。
まとめ
この記事のまとめ
- 後悔は消さなくていい。次に手が止まれば、それで足りる
- 私が売る前に毎日見ていたのは、強い言葉のニュースと動画だった
- 2026年に市場が開くのは251日。毎日見れば251回、月1回なら12回まで減らせる
- 変えた3つ=毎日の値動きを見ない/積立額は一定/指標は前と比べて見る
- お金をかけて情報を買う必要は、私の場合ありませんでした
- ただし、近いうちに使うお金を入れていたなら、そこは先に直す
売ってしまった日のことは、たぶんこの先も覚えていると思います。私も覚えています。それでも、あの日の自分を責めるより、明日ひらくアプリを1つ減らすほうが、ずっと効きました。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
※この記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。