ちょっと待ってください、金曜のニュースで「利上げ」って言ってました…!? ずっと「次は利下げか据え置きか」って話だったのに、いつのまに逆になったんですか。しかも株価は今週プラスなんですよね。もう何を見ればいいのか分からないです…
結論から言うと、混乱してるのは正常です。今週は「株は上がったのに、金利の見通しは逆を向いた」という、方向がそろわない週だったから。今日も予想はしないし、売買のおすすめもしません。事実と日程だけ、出典をつけて並べていきます。
この記事でわかること
- 今週(8/24-28)の米国株4指数の事実。3指数はプラスなのに、小型株だけ逆を向いた
- 8月28日のジャクソンホール講演のあと、9月FOMCの「利上げ」予想確率が1日で何%動いたか
- 8月26日に出たPCE物価(FRBがいちばん見ている物価指標)の数字
- 8月28日に出た雇用の「予備ベンチマーク改定」──見出しは怖いが、過去平均より小さい
- 円換算だと今週はどうだったか(今週は為替が味方をした側)
- 来週(8/31-9/4)の予定と、この週末に確認すること(1つだけ)
積立を始めたばかりで「そもそも指数って何?」という方は、先に楽天証券で米国株を買う方法を読んでから戻ってくると、この記事の数字が読みやすくなります。
今週の米国株(8/24-28)の事実
まず数字です。カッコ内は1週間の変化です。
| 指数 | 8月28日終値 | 週間 | 年初来 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,711.76 | +37.39pt(+0.5%) | +12.7% |
| NYダウ | 53,559.99 | +282.98pt(+0.5%) | +11.4% |
| ナスダック総合 | 26,402.42 | +221.97pt(+0.8%) | +13.6% |
| ラッセル2000(小型株) | 2,972.37 | -45.50pt(-1.5%) | +19.8% |
出典
先週は3指数そろってマイナスの週でした。今週はそこから反発しています。ただ、金曜1日だけを見るとS&P500は-0.2%、ナスダックは-0.5%で、週の終わりはやや押し戻された形です。
今週いちばん意外だったのは、小型株だけが逆を向いたこと
表をもう一度見てください。S&P500・ダウ・ナスダックが横並びでプラスなのに、**ラッセル2000だけが-1.5%**です。ここが今週の一番の特徴でした。
ラッセル2000って、名前は聞いたことあるけど…S&P500とどう違うんですか?
そもそも:ラッセル2000とは
米国の株式市場から、時価総額が小さいほうの2,000社を集めた指数です。S&P500が「米国の大企業500社」の代表なら、ラッセル2000は「米国の中小企業」の代表にあたります。
この2つは、金利に対する反応が違うと言われます。中小企業は大企業より借入への依存度が高く、金利が上がると利払いの負担が直接効いてくるからです。「大型株はプラス、小型株はマイナス」という並びは、市場が金利の先行きを引き上げる方向で見直した週に出やすい形です。
そして今週、実際に見直されたのが金利の見通しでした。
8月28日、ジャクソンホールで何が言われたか
8月27日から29日にかけて、カンザスシティ連銀が主催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれています(出典:カンザスシティ連銀)。
ここで意外なのは、今年のテーマが金融政策ではないことです。2026年のお題は「Financial Innovation: Implications for Payments and Policy(金融イノベーション──決済と政策への含意)」。決済の話がメインで、「利下げのヒントが出る場」として身構える回ではありませんでした(出典:同上)。
それでも相場が動いたのは、28日のウォーシュFRB議長の講演があったからです。市況を配信するDZHフィナンシャルリサーチは、議長の発言として「インフレ指標はトレンドが有意に改善したことを示唆していない」「インフレ率が速やかに2%へ向かわないなら、なすべきことがある」といった内容を伝えています(出典:ザイFX!「ニューヨーク外国為替市場概況・28日」/DZHフィナンシャルリサーチ)。AP通信も、この講演が「インフレを抑えるために必要なことをFRBはやる」という受け止めを強めたと書いています(出典:AP通信・同上)。
この講演を受けて、市場の見立てが1日で大きく動きました。
9月FOMC(9/15-16)に対する市場の織り込み
- 0.25%の利上げを予想する確率:35.4% → 59.5%
- 据え置きを予想する確率:64.6% → 40.5%
※CMEグループ「FedWatch」(FF金利先物にもとづく算出)。2026年8月28日時点で、カッコ内はその前日の水準。出典:ザイFX!(同上)
ここで大事なのは、これが「決まったこと」ではなく「市場がいま賭けている割合」だという点です。先週この記事で書いたとおり、1か月前の市場の見立てはそのまま正解になりませんでした。今週の59.5%も同じで、来週の雇用統計ひとつで動きます。
正直に言うと、私はこの手の確率を毎日追うのをやめました。数字が動くたびに気持ちが引っ張られて、結局やることは変わらなかったからです。FOMCで実際に何が決まり、何を見ればいいかはFOMCとは?発表の見方に整理してあります。
8月26日:PCE物価は前年同月比3.7%
なぜ利上げの話が出てくるのか。その理由が、週の半ばに出た物価の数字です。
8月26日、米商務省経済分析局(BEA)が7月分の個人所得・支出統計を発表しました。
PCE物価指数(2026年7月分・8月26日発表)
- PCE価格指数:前年同月比 +3.7%(前月比 +0.2%)
- コア(食品・エネルギーを除く):前年同月比 +3.3%(前月比 +0.2%)
- 実質個人消費支出(実質PCE):前月比 ほぼ横ばい(+0.1%未満)
- 貯蓄率:3.0%
出典:BEA「Personal Income and Outlays, July 2026」(2026年8月26日)
そもそも:PCE物価指数とは
米国の物価指標にはCPI(消費者物価指数)とPCE価格指数の2つがあり、FRBが政策目標に使っているのはPCEのほうです。目標は「2%」。
つまり今回の3.7%(コアで3.3%)は、目標の1.5倍以上の水準です。しかも前月比は+0.2%で、そこから減速している気配は数字に出ていません。ウォーシュ議長の「速やかに2%へ向かわないなら」という条件が現実味を持って受け取られたのは、この並びがあったからです。
同時に、実質PCE(値上がり分を除いた実際の消費量)はほぼ横ばいでした。物価は高いまま、消費の量は伸びていない。FRBにとっては、どちらを立てても片方が痛む状況が数字に出ています。
8月28日:雇用の「予備ベンチマーク改定」は-7.9万人
もう1つ、金曜の日本時間23時に地味だけれど重要な発表がありました。米労働統計局(BLS)が年に1度出す、雇用者数の予備ベンチマーク改定です。
2026年 予備ベンチマーク改定(8月28日発表)
- 2026年3月時点の非農業部門雇用者数:-79,000人(-0.1%)
- うち民間部門:-178,000人(-0.1%)
- 過去10年の年次改定:絶対値の平均で0.2%
- 確定値の公表:2027年2月(2027年1月分の雇用統計と同時)
出典:BLS「Current Employment Statistics Preliminary Benchmark (National) — March 2026」(2026年8月28日)
7万9000人も下方修正…! それって大ごとじゃないんですか?
数字を翻訳します。BLS自身が同じ発表文に書いているとおり、**過去10年の改定幅は平均して(絶対値で)0.2%でした。今回は0.1%**です。つまり今年の改定は、例年より小さいほうに入ります。
「7万9000人」という人数だけを見ると大きく感じますが、BLSが同時に示している率は0.1%。1,000人の会社で1人ぶんの誤差にあたる大きさです。
なぜこれが起きるのか。毎月の雇用統計はアンケート調査(標本)にもとづく速報値で、年に1度、雇用保険の税務記録という「ほぼ全数のデータ」と突き合わせて答え合わせをします。そのズレが改定です。仕組みそのものは米雇用統計とは?見るべき3つの数字に書いてあります。
この手のニュースは「雇用が大幅下方修正!」という見出しになりがちです。でも見出しの人数ではなく、%と過去平均と並べて見ると印象が変わる。今週いちばん、そこを覚えて帰ってほしい数字です。
円換算だと、今週はどうだったか
ここまではドル建ての話です。日本から積み立てている人の手元では、為替がもう一枚かぶさります。
- 8月28日のニューヨーク市場のドル円終値:160円09銭(前営業日は159円39銭)。5日続伸で、一時160円20銭と7月31日以来の高値
- 先週末(8月21日)のニューヨーク終値:158円95銭
- 1週間で1円14銭の円安(約+0.7%)
出典:ザイFX!「ニューヨーク外国為替市場概況・28日」(DZHフィナンシャルリサーチ)
ドル建てのS&P500が+0.5%、円が約0.7%安くなったので、**円換算のS&P500はおよそ+1.2%**という計算になります。
100万円ぶんのS&P500インデックスファンドを持っている人なら、今週の増減は約1万2,000円ぶん。うち約7,000円は株ではなく為替が動かした部分です。先週は為替がほとんど助けてくれない週でしたが、今週は逆方向に働いたことになります。
じゃあ円安のほうがうれしい、ってことですか?
短期の評価額だけを見ればそうなります。ただ、これから買う分は同じ1万円でより少ないドルにしか替わりません。すでに持っている分には追い風、これから買う分には向かい風で、積立を続けている人はその両方を毎月同時に受けています。この非対称は円高・円安は米国株の積立にどう効くのかで数字を追って整理しています。
来週(8/31-9/4)の予定
来週は、月初と雇用統計が重なる週です。
| 日付(日本時間) | 内容 |
|---|---|
| 9月3日(木) | 米貿易統計 7月分(BEA・米東部時間8:30) |
| 9月4日(金)21:30 | 米雇用統計 8月分(BLS・米東部時間8:30) |
そのあとの主な日程は次のとおりです。
- 9月11日(金)21:30 ── 米CPI 8月分 → CPIとは?発表日と見方
- 9月15日(火)〜16日(水) ── FOMC(結果は日本時間17日午前3時) → FOMCガイド
来週の主役は9月4日の雇用統計です。上に書いたとおり、9月FOMCの見立ては今週1日で35.4%→59.5%へ動きました。その見立てを次に大きく揺らす材料が、金曜の雇用統計という並びになります。見るべき3つの数字は雇用統計ガイドにまとめてあります。
この週末に確認すること(1つだけ)
確認するのは「積立の設定が動いていないか」だけでいい
証券会社にログインして、毎月の積立設定が予定どおり残っているか(金額・銘柄・引き落とし方法)を見る。それだけです。所要1分。
理由は3つ。
- 今週の材料は、どれも来週書き換わる。利上げ確率59.5%は1日で24ポイント動いた数字で、9月4日の雇用統計でまた動きます。動く数字に合わせて積立を動かすと、往復の手数料と判断ミスだけが残ります
- 雇用の改定は「例年より小さい」側だった。見出しは-7.9万人ですが、%では0.1%で、過去10年平均の0.2%を下回っています。慌てる根拠になる数字ではありません
- 設定が止まっているほうが実害が大きい。カードの有効期限切れや残高不足で積立が止まっているケースは、相場のニュースより静かに、確実に効きます
逆に、やらなくていいこと:利上げ確率を毎日見にいく/評価額を1日に何度も開く/「金利が上がるなら小型株を減らす」といった中身の入れ替え。
今週の相場には「インフレが止まらない」という悲観も、「株は結局上がった」という楽観も、どちらも同じ材料から作れました。両方とも極端だと思っています。私は今週も、来週も、やることを変えずに積み立てます。未来がどうなるかは誰にも分かりませんが、分からないことに合わせて設定を変えないことは、今日決められるので。
急落したときに何をするか(何をしないか)を先に決めておきたい方は、暴落したとき、積立はどうするのが正解かもあわせてどうぞ。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。数字はすべて上記の出典(2026年8月29日時点)にもとづいています。投資の判断はご自身の責任でお願いします。