ニュースで「VIXが30を超えた」って見たんです。これって積立を止めたほうがいいサインですか? 逆に「今が買い時」って書いている人もいて、どっちなのか分からなくて。
その「分からない」って、どういう感じ?
数字が出ているのに、自分だけ何もしていないのが不安なんです。何か動かないと、あとで後悔しそうで。
その感覚、私も最初にありました。私の答えは、VIXが高い日も積立の設定はそのままでOK。それだけだよ。VIXは「投資家が今どのくらい怖がっているか」を映す温度計みたいなもの。温度計を見て、自分の積立のボタンまで押さなくていいんだ。
VIXって何?「これから30日の揺れの予想」です
VIXは、アメリカのCboe(シカゴ・オプション取引所を運営する会社)が出している指数です。
中身を一言でいうと、S&P500がこれから30日でどのくらい揺れそうか、という予想です。S&P500の「オプション」という取引の値段から計算しています。Cboeの資料にも、ニュースでは「fear gauge(恐怖のものさし)」と呼ばれる、と書かれています(Cboe「Volatility Index Methodology」・2026年9月30日確認)。
大事なのは、VIXが予想しているのは「揺れの大きさ」だけということ。上がるか下がるかの向きまでは教えてくれません。
ふだんの水準も見ておきます。Cboe公式の日次データ(1990年1月2日〜2026年9月28日の終値・9,282日分)を数えると、真ん中の値は17.57でした。直近の2026年9月28日は16.07です(Cboe「VIX History」・2026年9月30日取得)。今は、ふだんどおりの温度ということですね。
30以上の日は、36年で約8%
では「VIXが30超え」は、どのくらいめずらしいのか。同じデータで数えてみました。
| VIXの終値 | 日数 | 全体のうち |
|---|---|---|
| 20以上 | 3,433日 | 37.0% |
| 30以上 | 737日 | 7.9% |
| 40以上 | 208日 | 2.2% |
| 50以上 | 75日 | 0.8% |
出典:Cboe「VIX History」(2026年9月30日取得)をもとに当サイトで集計
30以上の日は、全体の約8%。このデータは約36.7年で9,282日なので、1年あたりの取引日はおよそ250日。ならすと1年に20日ほどの計算です。めずらしいけれど、何年も来ないほどではない。
実際、最近の年だけ見ても、終値で30を超えた年は何度もあります。2024年8月5日は38.57、2025年4月8日は52.33、今年も2026年3月27日に31.05をつけています。いちばん高かったのは2020年3月16日の82.69でした(同じCboeのデータより)。
「恐怖指数が30超え」は、長く積立をしていれば何度も出会う日なんだよね。
高い日は、どのくらい続く?
次に気になるのは「いつ落ち着くのか」だと思います。30を超えた日から、ふだんに近い20未満に戻るまでの日数を数えました。
| 30を超えた日 | その間の最高値 | 20未満に戻った日 | かかった日数 |
|---|---|---|---|
| 2024年8月5日 | 38.57 | 2024年8月13日 | 8日 |
| 2026年3月27日 | 31.05 | 2026年4月9日 | 13日 |
| 2025年4月3日 | 52.33 | 2025年5月12日 | 39日 |
| 2020年2月27日 | 82.69 | 2021年2月12日 | 351日 |
| 2008年9月15日 | 80.86 | 2009年12月22日 | 463日 |
出典:Cboe「VIX History」(2026年9月30日取得)をもとに当サイトで集計
短いと1週間ちょっと。長いと1年以上。ばらばらです。
正直、私はこの表を作って少しほっとしました。「いつ落ち着くか」は、誰にも当てられないとはっきりしたからです。当てられないなら、当てにいくための「止める」「買い増す」を考える必要もありません。
止めるのも、慌てて買い増すのも、両方やらない
VIXが高い日には、2つの声が聞こえてきます。
- 「危ないから、積立を止めよう」
- 「チャンスだから、今のうちに多めに買おう」
どちらも極端だと、私は思います。
積立は、そもそも値段を選ばずに毎月同じように買い続けるしくみです。金融庁も、積立で買い続けると「高いときにだけ買ってしまうこと」を避けられる、と説明しています(金融庁 NISA特設ウェブサイト「資産形成の基本」・2026年9月30日確認)。
VIXを見て止めたり増やしたりすると、この「選ばない」しくみに、自分の判断を毎回はさむことになります。上の表のとおり、落ち着くまで8日なのか1年なのかは分かりません。判断の回数が増えるほど、迷う日も増えるんです。
下がった日にやりがちなことと、その日にやっていいことは、米国株が暴落したらどうする?で話しています。
じゃあ、VIXは見なくていいってことですか?
見てもいいし、見なくてもいい。私は見るほうだよ。ただ、見る目的がちょっと違うんだ。次で話すね。
私の場合:VIXは「自分の怖さを外から見る」ために見る
ここは私の話です。
私は積立の初期に、5%ほど下がった日に、SNSやネットの「暴落だ」「まだ下がる」という言葉を毎日浴びて、怖くなって全部売ってしまったことがあります。1か月ほどで買い戻しましたが、売ったときより高い値段でした。その話は積立を一度売ってしまった後悔が消えないときに書いています。
あの失敗のあと、下がった日の過ごし方を変えました。
- 毎日の値動きは見ない
- 積立の金額は一定のまま
- そのかわり、下落のときはVIXとプット・コール・レシオ(オプション市場で、下がりに備える取引がどのくらい多いかを見る数字)を見る
なぜ見るのか。数字で「今、市場全体がかなり怖がっているな」と分かると、自分の怖さを外から眺められるからです。あのときの私は、自分が怖いのか、周りの言葉に怖がらされているのか、区別がついていませんでした。
いまは下落が来ても、正直、わくわくして待っているくらいです。「バーゲンセールが来たな」と思いながら、積立の設定はそのまま。VIXを見て、何かのボタンを押すことはありません。
※これは私のやり方で、VIXを見ることをすすめているわけではありません。見ると不安が増える人は、見ないのがいちばんです。
ここだけは気をつけてください
- VIXは向き(上がるか下がるか)までは予想していません。高い=この先必ず下がる、ではありません
- 「VIXがいくつになったら買う」という話はネットに多くあります。でもいつ落ち着くかは8日のことも1年以上のこともありました。数字ひとつで決めないでください
- VIXそのものに連動する商品(先物など)は、この記事の話とは別ものです。積立の代わりに考えるものではありません
迷ったらこれ
VIXが高い日も、積立の設定は触らない。VIXは「投資家の怖さの温度計」として眺めるだけ。理由は3つです。
- VIXが予想するのは揺れの大きさだけで、向きは教えてくれない
- 30以上は36年で約8%の日。長く続ければ何度も出会う日で、特別な合図ではない
- 落ち着くまでは8日のことも463日のこともあった。当てられないものに合わせて動かなくていい
まとめ
まとめ:VIX(恐怖指数)が高い日、積立はどうする?
- VIXはS&P500のこれから30日の揺れの予想。ふだんの真ん中は17.57
- 30以上の日は1990年からの約8%。ならすと1年に20日ほど
- 落ち着くまでは8日〜1年以上とばらばら。誰にも当てられない
- 止めるのも、慌てて買い増すのもやらなくていい。設定はそのまま
- 今日やることは1つ。「VIXが30を超えた日にやること」を先に1行で書いておく
怖さに名前と数字がつくと、少しだけ落ち着いて眺められます。今日はここまで。焦らずいきましょう。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。VIXの数字はCboeの公開データを当サイトで集計したもので、将来の値動きを示すものではありません。