高配当ETFを調べたら、VYM・HDV・SPYDって3つ出てきました。どれにも「米国の高配当」って書いてあって、違いが分からなくて……。
おはよう。その「違いが分からない」って、いまどういう感じ?
比べる場所が利回りの数字しかなくて。それで決めて、あとから「思ってたのと違った」ってなるのが怖いんです。
その感覚、私も最初にありました。先に結論を言うね。この3本は同じものの値段違いではないんだ。連動する指数が3つとも別で、対象になる会社の数が566と75くらい違う。だから利回りの数字を横に並べても、決め手にはならないよ。
迷ったらこれ:比べる順番
- ①対象の会社の数→②業種の偏り→③経費率の順に見ます。利回りは最後です
- 3本は「同じ指数の値段違い」ではありません。連動する指数が3つとも別ものです
- SPYDは不動産が24.25%。高配当の会社を上から取っていくと、業種は自然に偏ります
- 経費率の差は100万円あたり年200〜400円。月にすると20〜33円なので、ここは順位が最後になります
この記事でわかること
- VYM・HDV・SPYDの公式の数字(指数・経費率・会社の数)
- 3本でいちばん大きく違うのは何か
- 利回りの数字で選ぶと外れやすい理由
- 税金の扱いで3本に共通すること、条件によって変わりうること
そもそも成長投資枠を高配当ETFに使うかどうかで迷っている人は、先に成長投資枠は高配当ETFとインデックス、どっち?を読むと、この記事の話が入ってきやすいです。
3本を公式の数字で並べる
3本は運用会社も指数も別です。まず事実を並べます。
| VYM | HDV | SPYD | |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | バンガード | ブラックロック(iShares) | ステート・ストリート(SPDR) |
| 連動する指数 | FTSE High Dividend Yield Index | Morningstar Dividend Yield Focus Index | S&P 500 High Dividend Index |
| 経費率 | 0.04% | 0.08% | 0.07% |
| 会社の数 | 対象指数の構成銘柄 566 | 保有 75 銘柄 | 保有 79 銘柄 |
出典は3つに分かれます。VYMの経費率はバンガード公式のVYMページ(2026年2月27日時点の数字として掲載)、566という数は同社の目論見書(2025年10月31日時点)です。HDVはiShares公式のHDVページ、SPYDはSPDR公式のSPYDページから取りました(保有銘柄数はどちらも2026年9月10日時点)。
いちばん違うのは「何社を対象にしているか」
3本の差でいちばん大きいのは、経費率ではなく会社の数です。
VYMが追う指数の構成銘柄は566。HDVの保有は75銘柄、SPYDは79銘柄です。566と75なら、7倍以上の開きがあります。
VYMは対象指数とほぼ同じ銘柄・同じ比率で持つ作りです(目論見書の「replication method of indexing」)。だから566社に散っていれば、1社が配当を減らしても全体への影響は小さくなります。75社なら、1社の重みはその分だけ大きくなるよね。
銘柄が少ない=悪い、ではありません
絞るのは、条件を厳しくした結果でもあります。VYMが追う指数の566社には、高配当ではあっても利回りがそれほど高くない会社も入ります。逆にHDVやSPYDは数を絞るぶん、1社あたりの影響が大きくなります。どちらが良い悪いではなく、性格が違うという話です。
SPYDは不動産が24.25%
SPYDは業種の偏りがはっきり出ます。SPDR公式が公開している構成比(2026年9月10日時点)の上位はこうです。
| 業種 | 比率 |
|---|---|
| 不動産 | 24.25% |
| 生活必需品 | 14.97% |
| 金融 | 14.01% |
| 公益 | 10.63% |
| 素材 | 7.71% |
上位2業種で約4割(24.25%+14.97%=39.22%)、不動産だけで24.25%です(出典:SPDR公式のSPYDページ・2026年9月13日確認)。
理由は指数の作り方にあります。SPYDが連動するのはS&P 500 High Dividend Index。S&P500の中から配当利回りの高い会社を取っていく指数です。利回りが高くなりやすい業種に、自然と寄っていきます。
対照的なのがVYMです。目論見書には、対象指数がREIT(不動産投資信託)を除いた指数だと書かれています。同じ「米国の高配当」でも、片方は不動産が4分の1近く、もう片方は最初から入れない。この差はけっこう大きいと思います。
なお不動産の比率は、あとで出てくる税金の話にも関わります。そちらは下の章で。
利回りの数字だけで選ぶと外しやすい
利回りは、株価が下がっても上がります。配当が同じでも、分母の株価が下がれば数字は大きくなるからです。
だから「利回りがいちばん高い1本」を選ぶと、値下がりしている1本を選んでいることがあります。しかも利回りは日々動くので、記事に書いた数字と、あなたが見る日の数字は違うことがあります。
正直、ここは私も昔ずいぶん遠回りしました。利回りの数字を並べた表を作っては、翌月には作り直していたわけです。いま先に見ているのは、指数の作り方と会社の数のほうです。
利回りの数字が見たいとき
証券会社の銘柄ページか、運用会社の公式ページでその日の数字を見てください。ブログや比較サイトに載っている利回りは、書かれた日の数字です。
経費率の差は月20〜33円
経費率は3本で0.04%・0.07%・0.08%。金額に直します。
100万円を1年持ったときに引かれる分は、VYMが400円、SPYDが700円、HDVが800円。いちばん低いVYMといちばん高いHDVの差は、年400円です。月にすると33円だよ。自販機の缶コーヒー1本も買えないよね。
ひとつ、正直に書いておきたい数字があります。VYMの目論見書に載っている0.04%には「現在の手数料に合わせて計算し直した数字」という注がついていて、直近5期の実績は0.06%でした(出典:バンガードの目論見書)。0.06%で計算するとHDVとの差は年200円、月にすると17円です。
どちらの数字で計算しても、100万円規模なら月20〜33円。この金額なら、経費率は「差がないことを確認する項目」にとどまります。ただし金額が大きくなれば差も比例して大きくなるので、そこは持つ額しだいです。
同じ指数を追うETFで持ちコストがどれくらい違うかは、S&P500のETFはVOO・IVV・SPYのどれ?でも金額に直して比べています。
税金の話:米国で原則10%、そのあと日本で
税金の枠組み、つまり「米国で源泉徴収されたあと日本で課税される」という順番は3本に共通です。ただし、適用される米国の税率まで完全に同じとは限りません。
米国株・米国ETFの配当は、日米租税条約にもとづき米国で**原則10%**が源泉徴収されます。ただし楽天証券は「米国での課税は、企業の登記国や業態によって異なる税率が課せられる場合があります」と案内しています(出典:楽天証券「外国税額控除」・2026年9月13日確認)。SPYDのようにREITの比率が高いETFは、実際に引かれた税率を、証券会社から届く配当金のお知らせで確かめてください。
そのあと課税口座(特定口座・一般口座)なら、米国で引かれたあとの金額に日本で20.315%がかかります。課税口座の場合は、確定申告で外国税額控除を受けられることがあります(控除できる額には上限があります)。手取りの計算は米国株の配当、手取りはいくら?にまとめました。
NISA口座でも、米国での源泉徴収はかかります。しかもNISAの配当は日本で非課税なので、国税庁は外国税額控除の対象にならないとしています(国税庁 No.1240「控除の対象とならない外国所得税額」)。課税口座と違って、米国で引かれた分を取り戻す手段がないということです。
受け取り方の選択肢も3本で同じです。楽天証券の場合、変更がなければ米ドルで受け取る設定になっています。初期設定は証券会社によって違うので、自分の口座の画面で確かめてください。くわしくは米国株の配当は円で受け取る?ドルで受け取る?へ。
つまり、税金の枠組みと受け取り方の選択肢は3本で共通です。ただし実際に引かれる米国の税率は中身しだいで変わることがあるので、「完全に同じ」とまでは言い切れません。比べる軸の中心は、やはり中身のほうです。
3本を比べるとき、VYMが基準になりやすい理由は3つ
比べる起点にしやすい理由
- 対象がいちばん広い:追う指数の構成銘柄は566。75銘柄・79銘柄の2本より、1社あたりの重みが小さくなります
- 経費率が3本でいちばん低い:公表値0.04%。HDVの0.08%の半分です
- 対象指数がREITを除いている:目論見書に明記されています。SPYDは不動産が24.25%なので、ここは対照的です
そのうえで、両方とも極端だと思うことを書いておきます。「高配当ETFは配当が出るぶんお得」も違うし、「高配当ETFは非効率だから論外」も違う。配当というかたちで現金が入ってくることに価値を感じる人には意味がある商品で、そうでない人には優先度が下がる商品、という程度の違いだと私は見ています。
なお、これは「私ならこう比べる」であって、買うことをすすめるものではありません。どの銘柄を選ぶかは、ご自身の判断でお願いします。
今日やらなくていいこと
- 利回りの高い順に並べ直すこと。配当が同じなら、株価が下がると利回りは上がります。順位は日々入れ替わります
- 「何本持つか」から考えること。まず指数と会社の数の違いを見るほうが先です
- 今日のうちに結論を出すこと。指数と会社の数の違いは、時間をかけて確かめても遅くないよ
まとめ
まとめ:3つだけ持ち帰る
- 3本は連動する指数が別もの。対象の会社の数は566・75・79で、7倍以上ひらきます
- SPYDは不動産が24.25%。いっぽうVYMの対象指数はREITを除きます(目論見書)
- 経費率の差は100万円あたり年200〜400円=月20〜33円。税金の枠組みは3本に共通(米国で原則10%→課税口座なら日本で20.315%)。ただし米国の税率は業態によって変わることがあります
こねこが最初に言っていた「比べる場所が利回りしかない」は、比べる場所を1つ足すだけで解けます。何社を対象にしているか。それだけで、3本の性格はだいぶ見えてくるんじゃないかな。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。経費率・構成銘柄・業種比率は各運用会社が公表している数字で、時点によって変わります。税金の取り扱いは、口座の種類(NISA・特定・一般)、ほかの所得、確定申告をするかどうかなど、お一人おひとりの状況によって変わります。具体的な取り扱いは税務署・税理士等の専門家、またはお取引の証券会社にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。