積立の設定画面でS&P500を検索したら、似た名前が2本。楽天・プラスと、eMAXIS Slim。ここで手が止まった人、けっこう多いと思います。

こねこ
こねこ(投資1年目)

同じS&P500なのに、どうして2本あるんですか。安いほうを選べばいいんですよね?

結論から言うと、もうどちらかを積み立てているなら、そのままでOKです。

理由は単純で、差が小さすぎるから。公式の数字で計算すると、100万円で年105円か175円。月にすると10円ちょっと。缶コーヒー1本も買えないよね。

ただ1つ、ちょっと面白いことがあります。看板の手数料は楽天・プラスのほうが安いのに、実際に引かれた合計はeMAXIS Slimのほうが安かったんです。「安いほうを選んだつもりが、逆だった」という話。これを知っておくと、次に誰かが「このファンド激安です」と言ってきたとき、慌てずにすみます。

今日はここだけ、いっしょに見ておきましょう。

この記事でわかること

  • 2本の違いは、結局どこなのか(4つだけ)
  • 看板の手数料と、実際に引かれた合計が逆になる理由
  • 100万円を1年持ったときの差額(ポイント還元も込み)
  • 口コミで多い「楽天プラスは楽天証券でしか買えない」という声

違いは4つだけ

まず全体を並べます。細かい話はこのあとで。

▼ 2本の違い(各社の交付目論見書・公式サイトより)
違うところ 楽天・プラス・S&P500 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
① 看板の信託報酬 年0.077%(税抜0.07%) 年0.08140%(純資産1兆円未満の部分)
② 実際に引かれた合計(総経費率) 0.09% 0.07953%
③ 楽天証券のポイント 投信残高ポイント 年0.028%の対象 対象外
④ 運用歴と規模 2023年10月設定・純資産1兆1,805億円 2018年7月設定・純資産11兆2,408億円

逆に、同じところはこうです。連動する指数はどちらもS&P500(円換算ベース)。どちらもマザーファンドを通して運用するファミリーファンド方式。為替ヘッジはどちらもなし。購入時手数料と信託財産留保額もどちらもゼロ。

つまり「選び間違えて、別の相場に乗ってしまう」ことは起きないしくみです。動くのはコンマ以下の費用だけ。ここが分かると、あとは気が楽になります。

出典は楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド 交付目論見書(2026年4月16日)、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)交付目論見書(2026年7月25日)、純資産総額は楽天投信投資顧問の公式ページ(2026年9月7日基準)です。数字は2026年9月8日に確認しました。

そもそも:信託報酬と総経費率は、別の数字

投資信託の費用は2階建てです。

1階が信託報酬。 運用会社・販売会社・信託銀行に払うお金で、率があらかじめ決まっています。商品ページに大きく出ている数字がこれです。

2階がその他の費用。 中の株を売買した手数料、監査費用、書類の作成費などが入ります。取引してみるまで決まらないので、事前には書けません。

この1階と2階を足して、1年ぶんの率に直したものが総経費率です。目論見書の後ろのほうに「(参考情報)ファンドの総経費率」として載っています。買う前に見られるのに、ほとんど読まれない数字でもあります。

看板と実際が、なぜ逆になるのか

こねこ
こねこ

えっ、0.0814%って書いてあるのに、引かれたのは0.07661%…? 書いてある数字より少ないなんてこと、あるんですか。

トリ
トリ(管理人)

あるんだよ。eMAXIS Slimの信託報酬は階段方式なんだ。純資産が1兆円を超えた部分は0.077%、3兆円を超えた部分は0.0759%…と、残高が増えるほど率が下がっていく。
このファンドの純資産は11兆円。だから全体をならすと、看板の0.0814%より低い率が実際に効いてくる。

目論見書には、純資産1兆円未満の部分が0.08140%、1兆円以上3兆円未満の部分が0.07700%、3兆円以上5兆円未満の部分が0.07590%(いずれも税込・年率)と書かれています。残高が大きいファンドほど、実際の負担は看板より軽くなるしくみです。

いっぽうの楽天・プラスは、その他費用が0.01%と、eMAXIS Slimの0.00292%より大きく出ています。設定が2023年10月と新しく、お金の出入りが多い時期のデータであることも効いているはずです。

この2つの総経費率は同じ物差しではありません。対象期間が楽天・プラスは2024年7月〜2025年7月、eMAXIS Slimは2025年4月〜2026年4月と、1年近くずれています。また楽天・プラス側は0.09%と四捨五入した値までしか出ていません(eMAXIS Slimは0.07953%と細かく開示)。差の「向き」は読めますが、差の「幅」は1円単位で信じないでください。

金額に直すと、年いくら違うのか

率のままでは決められないので、100万円を1年持った場合で計算します。

▼ 100万円を1年持ったときの費用(公表数字から計算・イメージ図)
楽天・プラス・S&P500 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
総経費率から計算した費用 約900円 約795円
楽天証券の投信残高ポイント 年0.028%=約280ポイント 対象外
差し引き 約620円 約795円

楽天証券には投信残高ポイントプログラムがあり、楽天・プラス・S&P500の進呈率は年0.028%です(出典:楽天証券 投信残高ポイントプログラム・2026年9月3日確認)。100万円の残高なら年280ポイント。eMAXIS Slimはこのプログラムの対象ファンドに入っていません。

要するに、費用だけを見ればeMAXIS Slimが年105円安く、ポイントまで入れると楽天・プラスが年175円お得。どちらに転んでも、100万円あたり年200円未満の世界です。月にすると10〜15円。缶コーヒー1本も買えないよね。

トリ
トリ

正直、この手のコスト比較は毎回ここで拍子抜けするわ。率で見ると「1割以上も違う!」に見えるのに、金額に直すと年150円くらいなんだ。
それでも比べる価値はあると思ってる。桁の感覚を持っておくと、次に誰かが「このファンドは激安です」と言ってきたときに慌てなくなるから。

口コミではどう言われている?

数字の話が続いたので、実際に使っている人の声も見ておきます。価格.comの楽天証券のレビュー欄には、この2本の選び分けに直結する声がありました。

  • 価格.comの口コミでは、「インデックス投信の楽天プラスの取り扱いがあるのは楽天だけ」という指摘があります(Yosixさんのレビュー・価格.com 楽天証券 レビュー)
  • 別の方も「信託報酬の安い独自投信あり」として楽天オルカン・楽天S&Pなどを挙げ、「これらに投資したい場合は、楽天証券から買う必要があります」と書いています(slimyさんのレビュー・同ページ)
  • つまずきどころとして、「投資信託の金額の反映が遅いと感じる」という声もありました(kky2021さんのレビュー・同ページ)
トリ
トリ

ここが実は、コンマ以下の費用よりよっぽど大きい「違い」なんだ。使っている証券会社で買えるかどうか。買えなければ、年150円の差を比べる前に話が終わってしまう。
ただし取扱いは変わることがあるから、口コミを鵜呑みにせず、自分の口座の「取扱ファンド一覧」で名前を検索して確かめてね。eMAXIS Slimのほうは、ネット証券なら幅広く扱われている1本だよ。

上の3つは価格.comに投稿された個人の感想で、当サイトが検証した事実ではありません。取扱いファンドや反映のタイミングは変わることがあります。最終的には、口座を持つ証券会社の公式ページでご確認ください。

「もう積み立てているなら、そのまま」と言い切る理由3つ

理由1:乗り換えると、NISAの枠が今年ぶん減る。 NISA口座で売って買い直すと、買い直したぶんの枠を新しく使います。売って空いた枠が使えるようになるのは翌年です。年150円のために、120万円や240万円の枠を削る取引になりかねません(NISAの枠は売ったら復活する?)。

トリ
トリ

ここは私自身の失敗も置いておくね。私は積立の初期に一度売ってしまって、そのあと買い戻したんだけど、結局、売ったときより高い値段で買い直すことになった。
そのとき思ったのは、必要なのは高いIQじゃなくて、安定したメンタルだなということ。年150円の差で手を動かしたくなったら、この話を思い出してもらえたら嬉しいです。

理由2:順位は入れ替わる。 今回の逆転が示すとおり、看板の率と実際の合計は別々に動きます。運用会社は競って引き下げますし、階段方式なら残高でも変わります。「今いちばん安い1本」を追い続ける運用は、来年また乗り換える約束をするのと同じです。

理由3:中身は同じ指数。 上で見たとおり、2本ともS&P500に連動して、どちらもファミリーファンド方式、為替ヘッジもなし。違うのはコンマ以下の費用と、買える場所だけです。

こねこ
こねこ

…つまり、私が今積んでるほうを黙って続ければいいってことですね。ちょっと安心しました。

逆に、選び分けていい人

  • これから新規に始める人:楽天証券で買うなら、残高ポイントのぶん楽天・プラスに分があります。楽天証券以外を使うなら、その口座で買えるほうを選んでください(楽天証券で米国株を買う手順で、口座の中の画面の場所をまとめています)
  • 家族や別口座と銘柄をそろえたい人:どちらの口座でも買える1本にそろえたいなら、その事情を優先してOKです
  • 積立の設定を変えるだけの人:今の残高はそのままにして、これから買うぶんだけ別のファンドに切り替えるという手もあります。売らないので、NISAの枠も課税も動きません(オルカンからS&P500に変えたいで同じ考え方をまとめています)

数字の見方から確かめたい方は、投資信託の実質コストの調べ方で自分の1本も同じように確かめられます。

まとめ

  • 違いは4つ。看板の信託報酬・実際に引かれた合計・楽天ポイントの有無・運用歴と規模
  • 看板は楽天・プラス0.077%が安い。でも直近に実際に引かれた合計は0.09%と0.07953%で逆転している
  • 100万円あたりの差は年105円。楽天証券の残高ポイント(年0.028%)を入れると楽天・プラスが年175円お得
  • 口コミでは「楽天プラスは楽天証券でしか買えない」という声が複数。費用より先に、自分の口座で買えるかを見る
  • すでに積み立てているなら乗り換えない。枠が減る・順位は入れ替わる・中身は同じ、の3つが理由

設定画面で止まっていた指は、動かして大丈夫です。今積んでいるほうを、そのまま続けてください。

今日はここまで。焦らずいきましょう。

コストや制度は改定されます。数字は必ず各社の最新の交付目論見書と、口座を持つ証券会社の公式ページでご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。