昨夜のCPI、ニュースを見たら「7月と横ばい」って書いてあるところと「インフレ加速」って書いてあるところがあって……。同じ発表の話ですよね? どっちが本当なんですか?
おはよう。その「どっちが本当か」って、いま何がいちばん気になってる?
……自分だけ見落としてる気がして。みんなは分かってて動いてるのに、私だけ何も分からないまま積立してるんじゃないかって。
その感覚、私も最初にありました。先に結論を言うね。どちらも本当で、積立の設定はそのままでOK。今日やることはありません。ただ「なぜ見出しが割れたのか」を1回だけ見ておくと、来月からニュースに振り回されなくなるよ。
この記事でわかること
- 8月分のCPIで実際に出た数字(総合・コア・前月比)
- 同じ発表なのに見出しが「横ばい」と「加速」に割れた理由
- 発表当日と今週の米国株の値動き(事実だけ・出典つき)
- 積立勢が見る数字は結局どれか、何をしなくていいか
CPIそのもののしくみ(何時に出る・どこを見る・なぜ株が動く)はCPI発表の見方(積立勢向け・保存版)にまとめてあります。はじめての方は先にそちらを開くと読みやすいです。
出た数字:総合は横ばい、コアは低下、前月比は加速
2026年9月11日(金)日本時間21:30に、米労働統計局(BLS)から8月分のCPI(消費者物価指数)が発表されました。数字はこうです。
| 見る数字 | 8月分 | 前月(7月分) |
|---|---|---|
| 総合CPI(前年比) | 3.4% | 3.4% |
| コアCPI(前年比) | 2.4% | 2.5% |
| 総合CPI(前月比・季節調整済) | +0.4% | +0.1% |
| コアCPI(前月比・季節調整済) | +0.3% | +0.2% |
出典: 米労働統計局(BLS)Consumer Price Index News Release(2026年8月分)
見てのとおり、4つの数字が同じ方向を向いていません。総合の前年比は動かず、コアは下がり、前月比は上がった。 見出しが割れたのは、報じる側がこの中のどれを選んだかの違いです。どれも正しい数字なんだよね。
えっ、じゃあ4つとも覚えないといけないんですか……。
そもそも:CPIには「向き」の違う物差しが2組ある
覚えるのは4つではなく、2組の組み合わせだと思ってください。
CPIの2組の物差し
- 前年比と前月比:前年比は「1年前と比べて」、前月比は「先月と比べて」。前月比のほうが直近の動きを拾うぶん、1か月の出来事で大きくブレます
- 総合とコア:総合は全部入り。コアは値動きの激しい食品とエネルギーを外したもの。ガソリンが暴れた月は、この2つが別々の顔をします
今回まさにそれが起きました。8月はガソリンが前月比+3.9%上がり、BLSによれば月間のCPI上昇の3分の1超がこのガソリンぶんです。エネルギー全体も前月比+2.1%でした(同出典)。
だから前月比の+0.4%は、大部分がガソリンの話。そのガソリンを最初から外しているコアは、前年比で2.5%から2.4%に下がっています。「加速した」と「落ち着いた」が同時に成り立つのは、見ている物差しが違うからなんです。
数字の翻訳:自分の財布に置き換える
| 前年比 | 去年 | 今年 |
|---|---|---|
| 総合3.4% | 10,000円の買い物 | 約10,340円 |
| ガソリン27.4% | 月10,000円の給油 | 約12,740円 |
| 航空運賃23.4% | 往復50,000円の旅行 | 約61,700円 |
出典: BLS Consumer Price Index News Release(2026年8月分)
給油代は1か月で約2,740円、1年だと約3万3千円の差になります。家族で焼肉に行ける額が、給油だけで消えるわ。「総合3.4%」という1つの数字を眺めるより、この換算のほうがずっと実感に近いはずです。
ちなみに住居費(シェルター)は前月比+0.3%、前年比+3.0%でした(同出典)。家賃のように毎月必ず出ていくものが3%上がっているので、生活の体感としては「落ち着いた」とは言いにくい月です。
米国株はどう動いたか(当日と今週)
発表当日の9月11日(金)、米国株は上げました。
9月11日(金)の終値
- S&P500:7,656.98(+65.28ポイント/+0.9%)
- ダウ工業株30種:52,573.29(+509.19ポイント/+1%)
- ナスダック総合:26,333.04(+251.31ポイント/+1%)
- ラッセル2000:2,903.94(+13.00ポイント/+0.4%)
S&P500はこれで4日続いた下げが止まりました。原油(ブレント)が3%近く下がったこと、そしてインフレの数字がエコノミストの予想に近い内容だったことが市場を落ち着かせた、とAP通信は伝えています。
出典:AP通信「How major US stock indexes fared Friday 9/11/2026」(ABC News掲載)
ただし、1日ではなく1週間で見ると景色が変わります。
| 指数 | 週間 | 年初来 |
|---|---|---|
| S&P500 | −61.62ポイント(−0.8%) | +11.9% |
| ダウ工業株30種 | −840.96ポイント(−1.6%) | +9.4% |
| ナスダック総合 | −173.95ポイント(−0.7%) | +13.3% |
| ラッセル2000 | −71.70ポイント(−2.4%) | +17% |
出典:AP通信(同上)
※9月7日(月)は米国の祝日(レイバーデー)で休場のため、今週の取引は4日間でした。
つまり今週は「月〜木に下げて、金曜のCPIで少し戻した」週です。金曜だけ見れば反発、週で見ればマイナス。ここでもどの窓で切り取るかによって話が変わります。
積立勢は何を確認し、何をしなくていいか
迷ったらこれ:見るのは「コアの前年比が、前の月からどっちを向いたか」だけ
今回なら2.5%→2.4%で下向き。確認はこれで終わりです。理由は3つあります。
- 総合はガソリンで大きく揺れるから:8月の上げの3分の1超がガソリンぶんでした。ガソリンは翌月に反対方向へ動くこともあり、そのたびに読み方を変えていたらきりがありません
- 1か月の数字では向きは決まらないから:前月比は月ごとにブレます。今年の総合の前月比は−0.4%の月も+0.9%の月もありました(BLS)。2〜3か月ぶんを並べてはじめて向きが見えます
- どちらにせよ積立の手順は変わらないから:毎月決まった日に決まった額を買うしくみは、CPIが2%でも4%でもそのまま動きます
ただし、物価高で生活費を削って積立しているなら、そこは別です。そのとき見直すのは相場ではなく積立額のほう。これは十分ありうる話だと思います。
私も昔は「どれだけ動いたか」ばかり追いかけていました。5%下がっただけで全部売って、1か月後に売った値段より高く買い戻したこともあります。見る点を「前の月と比べてどっちを向いたか」の1つに絞れるようになってから、発表の夜にスマホを握らなくなりました。正直、あのころの自分に一番言いたいのはここです。
今日、やらなくていいこと
- 「インフレ再燃か」「利上げはあるか」の解説を読み比べること(積立勢にとっての次の山は来週のFOMCですし、どちらにせよ積立の手順は変わりません)
- ガソリン+27.4%の見出しだけを見て、インフレ全体が加速していると考えること(コアの前年比は下がっています)
- エネルギー価格を理由に保有商品を入れ替えること(インデックスの中身は自動で入れ替わります)
- 週明けの寄り付きに合わせて何かすること
来週からの日程
これからの主な日程(定点ページで更新中)
来週の山はFOMCです。結果が出るのは日本時間の水曜深夜なので、木曜の朝に1回見れば十分だと思います。
今回のまとめ
- 8月分のCPIは総合が前年比3.4%で7月と同じ。コアは2.5%から2.4%へ低下
- 前月比は+0.1%から+0.4%へ加速。その上昇の3分の1超はガソリン
- 「横ばい」と「加速」の見出しが同時に出たのは、見ている物差しが違うから
- 当日のS&P500は+0.9%で4日続落が止まったが、週間では−0.8%
- 積立勢が見るのは「コアの前年比が前の月からどっちを向いたか」の1つでいい
- 次はFOMC(日本時間9月17日午前3:00)
CPIは毎月出ます。そのたびに読み方を変えていたら、続けられる形ではなくなってしまう。見る数字を1つに決めておくと、発表日がただの平日に戻ります。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。