こねこ
こねこ(投資1年目)

毎月の積立は始めたんですけど、貯金からまとまったお金も入れようか迷っていて…。一度に入れるのと、何回かに分けるのと、どっちがいいんでしょうか?

トリ
トリ(管理人)

その「迷っている」って、どういう感じ?

こねこ
こねこ

入れた次の日に大きく下がったら、立ち直れない気がして。でも分けたら分けたで、損してるって聞いたこともあるんです。

トリ
トリ

その怖さ、私も最初にあったよ。結論から言うと、数字だけなら一度に入れたほうが3回に2回は良かった。でも、怖くて現金のまま置いておくくらいなら、期限を決めて分けて入れればいい。過去の研究では、どっちを選んでも差は大きくなかったんだ。それよりも、始めた積立を途中でやめてしまうほうが、ずっと大きな失敗だと私は思うよ。

一括と分割で違うのは「お金が市場にいる時間」

一括は、まとまったお金を1回で全部入れるやり方です。

分割は、同じお金を何回かに分けて、少しずつ入れるやり方です。たとえば120万円を、3か月かけて40万円ずつ入れる形ですね。

毎月の給料から積み立てるのとは、話が少し違います。ここで比べるのは、もう手元にあるお金を、今すぐ全部入れるか、待ちながら入れるかです。

分割にすると、まだ入れていないお金は、そのあいだ現金のまま待っています。違いはここだけです。

わかっていること(事実):一度に入れたほうが3回に2回は良かった

今回読んだのは、米国の運用会社バンガードの研究「Cost averaging: Invest now or temporarily hold your cash?」(2023年2月・英語)です。

研究の最初に、こう書かれています。

「two-thirds of the time」(3回に2回)。一度に入れるやり方が、分けて入れるやり方に勝った割合です(Vanguard「Cost averaging: Invest now or temporarily hold your cash?」より)。

比べ方は、株100%で、まとまったお金を「1回で入れる」か「3か月で3回に分ける」か。1年後の資産を、何十年分もずらしながら比べています。

▼ 一度に入れたほうが、分けて入れるより1年後に多かった割合(バンガードの研究より・イメージ図)
比べた市場 3か月に分けた場合 6か月に分けた場合
世界の株(1976〜2022年・ドル建て) 67.7% 72.6%
米国の株(1979〜2022年) 66.4% 73.7%

※研究の本文では、世界の株・3か月の結果を「68%」と丸めて紹介しています。表は巻末の付録の数字です。

もう1つ、面白い数字があります。分けて入れるやり方でも、現金のまま置いておくよりは69%の割合で良かったそうです。

要するに、良かった順に並べるとこうなります。

  1. 一度に入れる
  2. 分けて入れる
  3. 怖くて現金のまま置いておく

数字にすると、100万円で1年後に2万円ちょっと

じゃあ、差はどのくらいなのか。

株100%で、真ん中あたりの結果を比べると、1年後の資産は一括のほうが2.2%多かったそうです。

100万円なら、2万2千円くらいです。研究の数字はドル建てなので、円で投資する私たちには為替の動きも加わります。

大きいと思うか、小さいと思うかは人それぞれだよね。私は「思ったより小さい」と感じました。

ただし、いつも一括が勝つわけではありません。3回に1回くらいは、分けたほうが良かったということでもあります。入れた直後に下がった、運の悪い場面などです(ここは私の読み方です)。

それと、分ける期間が長くなるほど、一括との差は開きます。上の表でも、米国の株は3か月で66.4%、6か月で73.7%でした。半年以上かけて少しずつ、は分けすぎかもしれません。

※過去のデータで、これからも同じになるとは限りません。研究では、待っているお金に金利が付かない前提です。金利を付けて計算し直しても、一括が勝った割合は65%だったと書かれています。

私の見方:差を決めるのは、入れたあとに売らないかどうか

ここからは、あくまで私の考えです。

私は積立を始めたのと同じころ、勉強して「早く多く入れたほうがいい」と考えて、まとまった額を一度に入れました。

そこから1年ほどたったころ、5%ほどの下落がありました。SNSやネットの「暴落だ、まだ下がる」を毎日見ているうちに怖くなって、全部売ってしまったんです。

1か月ほどあと、売ったときより高い値段で買い戻しました。その話は積立を一度売ってしまった後悔が消えないときに書いています。

今振り返ると、私に足りなかったのは、一括か分割かの選び方ではありませんでした。下がった日に売らずにいる落ち着きのほうでした。

当時の私に言いたいのは、「高いIQは要らない。安定したメンタルが要る」ということです。

バンガードの研究も、分けて入れるやり方が向いているかもしれない相手を「リスクと損をとても嫌う人」と書いています。大きく下がったときの後悔を小さくして、投資を続ける気持ちを守れるかもしれない、という書き方です。

だから私は、こう考えています。

  • 下がっても売らずにいられそうなら、一度に入れていい
  • 入れた直後に下がったら売ってしまいそうなら、分けて入れていい

どちらも、数年内に使うお金を除いた、余裕のあるお金の話です。過去の研究では、どちらも3つ目の「怖くて現金のまま」より良かった割合のほうが高いんだよ。

NISAで入れるなら、枠の決まりも見ておく

新NISAでまとまったお金を入れるときは、枠の決まりも関係します。

▼ 新NISAの2つの枠(金融庁の案内より・イメージ図)
つみたて投資枠 成長投資枠
1年に入れられる上限 120万円 240万円
金融庁の説明に出てくる買い方 積立投資 一括投資もできる

2つの枠は併用できて、合わせて1年に360万円までです。一生で使える枠は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。

出典:金融庁「NISAを知る」(2026年10月11日確認。「例えば、つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に一括投資することも可能になりました」と書かれています)

つみたて投資枠は、毎月などの積立で使う枠です(細かい設定のしかたは証券会社ごとに違います)。まとめて一度に買うなら成長投資枠で、1年に240万円までです。

なので、たとえば300万円を一度にNISAへ入れることはできません。成長投資枠の240万円と、残りは積立や翌年の枠に分けることになります。その年にすでに使った分も、枠から引かれます。一度に入れられる額には、制度で上限があるわけです。

もう1つ。NISAの中で売って買い直すと、買い直した分はその年の枠を新しく使います。売った分の枠が戻るのは翌年です。くわしくはNISAの枠は売ったら復活する?にあります。

枠の使い分けはつみたて投資枠と成長投資枠、どっちでオルカン積む?にまとめています。

分けるなら、最初に2つだけ決める

分けて入れると決めたら、始める前に2つだけ決めておきます。

  1. 何回に分けるか(例:3回)
  2. 何月までに入れ切るか(例:3か月後の月末)

ここを決めずに「下がったら入れよう」と相場を見ながら入れると、結局タイミング当てに戻ってしまいます。毎日チャートを見ることになって、疲れるよね。

入れる日をカレンダーに先に書いておくと、その日が来たら入れるだけになります。

一括でも分割でも、入れないほうがいいお金

  • 数年以内に使う予定のお金(車・引っ越し・学費・家の修理など)
  • 生活費の数か月分(急な出費の日に、投資を売らずにすむように)
  • 生活防衛資金の考え方は生活防衛資金が貯まる前に積立していい?にまとめています

迷ったら、私ならこうする

下がっても売らずにいられるなら一度に。自信がなければ、3か月くらいで3回に分けて、入れ切る月を先に決める。理由は3つです。

  1. バンガードの研究では、一度に入れたほうが3回に2回は1年後の資産が多かった
  2. 差は真ん中あたりで2.2%(100万円で2万2千円くらい)。過去の数字では、どちらを選んでも差は大きくなかった
  3. 分けて入れても、過去の研究では現金のまま置いておくより良かった割合が69%

まとめ

まとめ:まとまったお金、一括と分割どっち?

  • 違いは、お金が市場にいる時間だけ
  • 過去の数字では、一度に入れたほうが3回に2回良かった
  • 差は1年後に2.2%ほど。3回に1回は分割のほうが良かった
  • 分けるなら、回数と入れ切る月を先に決める。長く分けすぎない
  • 新NISAでまとめて一度に買うなら成長投資枠(1年240万円まで)

最初のこねこの「入れた次の日に下がったら、立ち直れない」に戻ります。

その怖さがあるなら、分けて入れればいいんです。それは負けではありません。

一括か分割かより、入れたお金を売らずに持ち続けられるか。私はそっちのほうが大事だと思っています。今日はここまで。焦らずいきましょう。

※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買や投資のタイミングを推奨するものではありません。バンガードの研究は過去のデータ(米ドルなどの外国通貨建て)にもとづくもので、将来の結果を保証するものではありません。制度は2026年10月11日時点で金融庁のサイトを確認したものです。