朝起きて「FRBが利上げ」の見出しを見て、ちょっと心臓がドキッとした人。けっこう多いと思います。
慌てなくて大丈夫です。結論は上の箱のとおり、今朝やることはありません。
そのうえで、今回の中身を一度だけ見ておくと、次のFOMCの見出しに振り回されにくくなります。
FOMCが何時に何を出すのか、そもそもの話はFOMCの見方(積立勢向け・保存版)にまとめてあります。はじめての方は先にそちらを開くと読みやすいです。
決まったこと:0.25%の利上げ、12人全員が賛成
2026年9月16日(米国時間)、FOMCは政策金利の誘導目標を0.25%引き上げて3.75〜4.00%にしました。発表は日本時間の9月17日(木)午前3時です。
| 見る点 | 7月会合 | 9月会合 |
|---|---|---|
| 決定 | 据え置き | 0.25%の利上げ |
| 政策金利 | 3.50〜3.75% | 3.75〜4.00% |
| 採決 | 9対3(3人が利上げを主張) | 12対0(全員一致) |
出典:FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年9月16日)/同(2026年7月29日)
利上げは2023年7月以来、約3年ぶりです。FRBの政策金利の変更履歴を見ると、2023年7月に5.25〜5.50%まで上げたあと、2024年9月からは下げる一方でした(出典:FRB「Open Market Operations」)。
7月に「利上げすべき」と言っていたのは3人でした。それが今回は全員の賛成になった。2か月足らずで、少数派の意見が全体の結論に変わったということです。
声明で変わった一文
声明文はとても短い文章です。だから、変わった一文がそのまま今回の答えになっています。
インフレについての一文
7月は「インフレの一部はエネルギーのせい」という説明がついていました。9月はその説明が消えています。インフレの原因の一部をエネルギーなどの供給ショックに求める説明を、今回は外した形です。
ドットチャート:18人中16人が「年内にもう1回以上」
今回は経済見通し(ドットチャート入り)が出る回でした。ドットチャートは、FOMCの参加者18人が「年末の政策金利はこのくらいが適切」と思う水準を、1人1つの点で打った表です。
| 年末の水準(レンジの真ん中) | 人数 | 今の3.75〜4.00%から見ると |
|---|---|---|
| 4.375% | 4人 | あと2回の利上げ |
| 4.125% | 12人 | あと1回の利上げ |
| 3.875% | 2人 | 今のまま |
| 見る数字 | 6月の見通し | 9月の見通し |
|---|---|---|
| 政策金利(2026年末) | 3.8% | 4.1% |
| 政策金利(2027年末) | 3.6% | 4.1% |
| PCE物価(2026年) | 3.6% | 3.7% |
| 失業率(2026年10〜12月期) | 4.3% | 4.1% |
出典:FRB「Summary of Economic Projections」(2026年9月16日)
年内のFOMCは、あと10月と12月の2回です。その2回で「もう1回以上上げる」と見ている人が18人中16人(うち4人は2回)。「今のままでいい」は2人だけでした。
もう1つ目を引くのは2027年末です。6月は3.6%だったので、そのころには少し下がっている、という見通しでした。それが9月は4.1%。来年も下げない見通しに変わっています。
ただし、ドットチャートは約束ではありません。FRB自身が「参加者それぞれの見立て」と書いている、ただの予想の集まりです。6月から9月の3か月で、2027年末の中央値が0.5ポイントも動いた。予想はこのくらい動くものだ、と知っておくほうが大事だと思います。
議長会見で言ったこと
ウォーシュ議長の冒頭発言から、言ったことだけを並べます(出典:FRB「Transcript of Chairman Warsh's Press Conference Opening Statement」(速報版))。
会見の冒頭で議長が言ったこと
- インフレは5年以上、目標を上回っている。高すぎる状態が長すぎる
- 雇用の側はよい状態。一方でインフレが長く目標を上回っているので、物価の安定に重心を置く
- 「基調的なインフレが、はっきり、十分な速さで目標に向かっていると確信できる」という基準を満たしていない、とFOMCは判断した
- インフレのリスクは上向き、雇用のリスクはおおむね釣り合っている
AP通信は、株価が下げに転じたのは、議長が会見で「インフレは高すぎる」「経済は強くなっているように見える」と何度も言ったあとだった、と伝えています。
ここで出てくる言葉を1つだけ。タカ派は「金利は高めにしてインフレを抑える」寄りの考え方です。
米国株と金利はどう動いたか
9月16日(水)の終値
- S&P500:7,551.81(−33.92ポイント/−0.4%)
- ダウ工業株30種:51,461.90(−631.21ポイント/−1.2%)
- ナスダック総合:25,978.42(−3.15ポイント/−0.1%未満)
- ラッセル2000:2,858.81(−11.47ポイント/−0.4%)
S&P500は、この日の早い時間の小さな上げを消してのマイナスでした。今週(14日〜16日)で見ると−1.4%、年初からは+10.3%です。
出典:AP通信「How major US stock indexes fared Wednesday 9/16/2026」(The Seattle Times掲載)
米国債の利回りは、2年債が4.67%から4.74%へ、10年債が5.00%から5.01%へ(9月15日→16日。米財務省の日次データ)。2年債のほうが大きく動いています。2年債は、この先の政策金利の見通しの影響を受けやすい金利です(出典:米財務省「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」)。
数字の翻訳:72万円の積立なら約3,200円
毎月3万円を2年積み立ててきた人なら、元本は72万円です。この日のS&P500の下げは、前日の終値7,585.73から33.92ポイントで約0.45%。72万円なら約3,200円です。ランチ2〜3回分くらいだよね。
ダウの「−631ポイント」は大きく見えます。でも率にすると約1.2%。同じ72万円なら8,700円ほどです。ポイントの数字は、指数の水準が高いほど大きく出ます。見出しでは、ポイントより%のほうを見るのがおすすめです。
でも、年内にもう1回上がるかもしれないんですよね……。上がる前に、いったん積立を止めておいたほうがいいんじゃないですか?
その「上がる前に」の気持ち、すごく分かる。ただ、次の利上げがあるかどうかは、18人の見立てでも2人は「ない」と言ってるし、3か月後にはまた点が動くかもしれない。そこに合わせて止めたり再開したりするのは、プロでも当て続けるのは難しい勝負なんだよ。私は今回も設定を触っていません。
積立勢が見ておく1点と、やらなくていいこと
見ておくのは1つ:12月のドットチャートで「2027年末の点」がどこに動くか
今回いちばん変わったのは「来年も下げない」という見通しでした。これが12月にどう動くかで、金利の話が長引くかどうかの空気が分かります。理由は3つです。
- 今回の決定は、もう出てしまった話だから:利上げは決まり、株価も金利もその日のうちに動きました
- 10月会合にはドットチャートがないから:次に「見通し」がそろって出るのは12月10日(木)午前4時です
- 見るのは1年に数回で足りるから:毎日のニュースで利上げ観測を追っても、積立の手順は変わりません
ただし、これは「知っておく」ための1点です。12月の数字だけを理由に積立の設定を変える必要はない、と私は考えています。
正直に言うと、私も「約3年ぶりの利上げ」という見出しには一瞬ドキッとしました。でも、開いてみたら中身は「インフレが高いから、もう少し締める」という、7月から続いていた話の続きでした。こういう日ほど、積立の設定はそのまま。淡々といきます。
今日、やらなくていいこと
- 「次の利上げは10月か12月か」の予想記事を読み比べること(18人の見立ても割れています)
- 利上げを理由に、積立を止める・積立日をずらすこと
- ダウの「−631ポイント」の見出しだけで下げの大きさを判断すること(率では−1.2%です)
ひとつだけ例外があります。数年以内に使う予定のお金まで投資に回している場合です。これは金利の上げ下げとは関係なく、使う時期に合わせてお金の置き場所を考える話です。事情は人によって違うので、ここは自分の予定から考えてください。
これからの日程
これからの主な日程(定点ページで更新中)
- 次回の米雇用統計(9月分):10月2日(金)21:30 → 雇用統計の見方
- 次回の米CPI(9月分):10月14日(水)21:30 → CPIの見方
- 次回のFOMC:10月27〜28日(結果は日本時間10月29日(木)午前3:00・ドットチャートなし)→ FOMCの見方
- その次のFOMC:12月8〜9日(結果は日本時間12月10日(木)午前4:00・ドットチャートあり。11月1日に米国の夏時間が終わるため1時間遅くなります)
出典:FRB公式カレンダー/BLS発表スケジュール(雇用統計)/BLS発表スケジュール(CPI)/NIST(米国の夏時間)
FRBが「インフレは高すぎる」と言っている以上、物価の数字であるCPIは今まで以上に注目されそうです。とはいえ、見る点は8月分のCPIの結果で書いたのと同じ、「コアの前年比が前の月からどっちを向いたか」の1つで足ります。
今回のまとめ
- FOMCは0.25%の利上げで3.75〜4.00%に。約3年ぶりで、採決は12対0
- 声明から「インフレの一部はエネルギーのせい」という説明が消えた
- ドットチャートでは18人中16人が年内にもう1回以上の利上げを見込む
- 2027年末の中央値は3.6%→4.1%。「来年も下げない」見通しに
- 当日のS&P500は−0.4%。72万円の積立なら約3,200円の下げ
- 次に見通しがそろうのは12月10日。積立の設定はそのままでOK
見出しは「3年ぶり」でも、中身は7月から続いていた話の続きでした。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。