昨夜のCPI、「インフレ鈍化」ってニュースになってました!…でも記事の中を見たらガソリンが1年で24.6%高いって書いてあって。鈍化したのに高いって、どっちなんですか!?
おはよう。それ、両方とも本当なんだ。そしてその2つが同時に成り立つ理由が分かると、CPIのニュースにもう振り回されなくなる。今日はそこを1本の記事にしておくね。先に結論を言うと、積立勢がやることは今回も変わらないよ。
この記事でわかること
- 7月分のCPIの結果(総合とコアの数字)
- 「鈍化」の見出しの裏で何が上がっていたか
- 物価が鈍化しても生活が楽にならない理由(CPIの%の正体)
- 当日の米国株の値動き(事実のみ・出典つき)
- 積立勢は何を確認し、何をしなくていいか(既定解)
CPIそのものの仕組み(何時に出る・どこを見る・なぜ株が動く)はCPI発表の見方(積立勢向け・保存版)にまとめています。はじめての方は先にそちらを開くと読みやすいです。
結果:総合3.4%・コア2.5%。どちらも前月より低下
2026年8月12日(米国時間・日本時間21:30)に、米労働統計局(BLS)から7月分のCPI(消費者物価指数)が発表されました。数字はこうです。
| 見る数字 | 7月分 | 前月(6月分) |
|---|---|---|
| 総合CPI(前年比) | 3.4% | 3.5% |
| コアCPI(前年比) | 2.5% | 2.6% |
| 総合CPI(前月比・季節調整済) | +0.1% | −0.4% |
| コアCPI(前月比・季節調整済) | +0.2% | 0.0% |
出典: 米労働統計局(BLS)Consumer Price Index Summary(2026年7月分)
前年比は総合・コアともに前月からわずかに低下しました。ニュースの見出しが「インフレ鈍化」で揃ったのは、この行を見ているからです。
一方で前月比はプラスに戻っています。6月は総合が−0.4%と大きく下がった月でしたが、7月は+0.1%。BLSによれば、この月の上昇のおよそ3分の2は住居費(前月比+0.1%)によるものでした。
見出しの裏で、まだ大きく上がっているもの
同じ発表資料を1年の物差しで開くと、景色が変わります。
前年比で見た「まだ高い」もの(7月分)
- エネルギー全体:+14.7%
- ガソリン:+24.6%
- 航空運賃:+25.5%
- 電気代:+4.2%/都市ガス:+4.3%
- 住居費:+3.2%/食品:+3.0%
総合が3.4%なのにガソリンが24.6%高い。矛盾しているように見えますが、総合CPIは食品・エネルギー・住居費・サービスなどをまとめた平均です。エネルギーのように大きく動く項目があっても、全体では他の項目にならされます。
ちなみに、その動きの激しい食品とエネルギーを最初から除いたのがコアCPI(今回2.5%)です。総合3.4%とコア2.5%の差の大部分は、このエネルギーだと考えると読みやすくなります。
なるほど…!でも、じゃあ「鈍化」って結局なんですか?物価が下がったってことじゃないんですか?
そもそも:CPIの%は「値段の高さ」ではなく「上がるスピード」
ここが一番のつまずきどころなので、3行で整理します。
CPIの%が意味していること
- CPIの「3.4%」は、1年前と比べて何%上がったかという変化率です
- だから3.5%→3.4%への鈍化は、値上がりのペースが少し落ちたという意味であって、値段が下がったという意味ではありません
- 値段そのものが下がるのは、変化率がマイナスになったとき(デフレ)だけです
つまり「インフレ鈍化」は坂道の傾きが少し緩くなったという報告であって、坂を下りはじめたわけではありません。しかも今回の3.4%は、去年の値上がりの上に積み上がる3.4%です。ニュースが明るいトーンなのに家計が楽にならないのは、気のせいではなく、統計がそういう作りだからです。
数字の翻訳:自分の財布に置き換える
| 前年比 | 去年 | 今年 |
|---|---|---|
| 総合3.4% | 10,000円の買い物 | 約10,340円 |
| ガソリン24.6% | 月10,000円の給油 | 約12,460円 |
| 航空運賃25.5% | 往復50,000円の旅行 | 約62,750円 |
給油代なら1か月で約2,460円、1年では約3万円の差になります。CPIの「3.4%」という1つの数字より、この換算のほうが実感に近いはずです。
米国株はどう動いたか(事実だけ)
8月12日(米国時間)の主要指数は、まちまちながら小動きでした。
8月12日(水)の終値
- S&P500:7,748.50(+20.30ポイント/+0.3%)
- ダウ工業株30種:53,770.27(−21.58ポイント/−0.1%未満)
- ナスダック総合:26,588.49(+143.04ポイント/+0.5%)
- ラッセル2000:3,045.48(+18.37ポイント/+0.6%)
S&P500は、8月7日(金)に最高値をつけて以来はじめての上昇でした。AI関連銘柄の決算が市場予想を上回ったことが指数を支え、インフレ指標を受けて米国債の利回りは低下しました。
出典:AP通信「How major US stock indexes fared Wednesday 8/12/2026」
年初来で見ると、S&P500は+13.2%、ナスダック総合は+14.4%、ダウは+11.9%、ラッセル2000は+22.7%です(同出典)。「CPI発表日」と身構えるほどの値動きは、少なくともこの日には起きませんでした。
なお、CPIが株価に効いてくるのは金利を通じてです。その道筋はFOMCの見方(積立勢向け・保存版)で整理しています。
あんなに身構えてたのに、0.3%…。私、昨日の夜ずっとスマホ見てました。
それ、みんな通る道だと思う。「インフレはもう終わった」という楽観も、「まだ全然高いじゃないか」という悲観も、今回の数字を見るかぎりどちらも言い過ぎだと私は思っている。私は寝て、翌朝に確定した数字だけを1回見ることにしているよ。リアルタイムで見ても、積立の設定を変える材料は出てこないからね。
積立勢は何を確認し、何をしなくていいか
既定解:今回のCPIを受けて、積立の設定は変えない
理由は3つです。
- 結果が「前月からほぼ変化なし」だから:総合3.5%→3.4%、コア2.6%→2.5%。前提が動いていないのに設定だけ動かすと、判断ではなく反応になります。
- 物価の水準は積立の手順に影響しないから:毎月決まった日に決まった額を買う仕組みは、CPIが3%でも4%でもそのまま動きます。CPIを見て積立額を上下させる運用は、次の数字を当てにいく作業(=予想)です。
- 市場が動いていないから:当日のS&P500は+0.3%。日常の範囲の値動きで、確認して終わりにできる日でした。
ただし、インフレが家計を圧迫して生活費を削って積立している状態なら、話は別です。その場合に見直すのは相場ではなく積立額のほうです。物価が上がっている局面では、これは十分ありうる話だと思います。
今日、やらなくていいこと
- 「インフレ再燃か」「利下げは近いか」の予想記事を読み比べること(結論は次のCPIまで出ませんし、積立の手順も変わりません)
- エネルギー価格を理由に保有商品を入れ替えること(インデックスの中身は自動で入れ替わります)
- ガソリン+24.6%の見出しだけを見て、インフレ全体が加速していると考えること(総合は前月より低下しています)
- 評価額を1日に何度も見ること
次の日程
これからの主な日程(定点ページで更新中)
今回のまとめ
- 7月分のCPIは総合3.4%(前月3.5%)・コア2.5%(前月2.6%)。どちらも小幅に低下
- 前月比は+0.1%。その上昇の約3分の2は住居費によるもの
- ただし1年の物差しでは、エネルギー+14.7%・ガソリン+24.6%・航空運賃+25.5%と高いまま
- CPIの%は「値段の高さ」ではなく「上がるスピード」。鈍化=値下がりではない
- 当日のS&P500は+0.3%の7,748.50。年初来は+13.2%
- 積立勢の既定解は「設定を変えない」。確認は事実だけで終わらせる
物価の数字は毎月出ますが、そのたびに手順を変えていたら積立ではなくなります。当てにいかなくても続けられる形にしておく——今回のような「見出しと中身が食い違う月」ほど、それが効いてくると思います。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。