※制度の詳細は必ず金融庁 NISA特設ウェブサイトでご確認ください。
積立の設定は終わったんです。それで、次は個別株かなと思って注文画面まで行ったんですけど……怖くて、そこで閉じました。もう3回くらい同じことをしています。
3回閉じたのは、判断が下手だからじゃないよ。「何が決まれば押していいのか」が決まっていないだけ。逆に言うと、そこさえ先に決めれば、押すか押さないかはすぐ決まる。今日はその「決めておくこと」を3つに絞って整理するね。
結論:迷ったらこれでOK
- いま怖いなら、無理に買わなくていい。積立を続けているなら、それだけで「何もしていない人」ではありません
- 買うなら、注文の前に「金額の上限」「買う理由」「売る条件」の3つを先に決める。決まらないうちは押さない
- 判断の順番は「積立の設定は一切変えない」が先。個別株は、その外側に残ったお金の範囲で考えます
この記事でわかること
- 「個別株が怖い」の正体を3つに分解する(怖さは1種類ではありません)
- 10万円で試すとき、実際にいくらコストがかかるのか(出典つきの実額)
- 買う前に決めておく3つの条件と、買わなくていい人の条件
まだ買い方そのものが分からない人は、先に楽天証券で米国株を買う手順を読んでから戻ってきてください。この記事は「手順は分かった。でも押せない」からの続きです。
そもそも:投資信託と個別株は、何が違うのか
- 投資信託=たくさんの会社の株を、運用会社がまとめて1つの商品にしたもの。1本買うと中身の全社をまとめて持つことになる
- 個別株=会社1社の株を直接持つこと。その1社の業績・不祥事・買収が、そのまま自分の資産に届く
- NISAの枠も別扱い:つみたて投資枠で買えるのは一定の投資信託だけで、個別株は買えません。個別株を買うなら成長投資枠(または課税口座)です
つみたて投資枠の対象商品が投資信託であることは、金融庁が対象商品の届出一覧として公表しています(金融庁 つみたて投資枠対象商品)。成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円です(金融庁 よくある質問・2026年8月確認)。
じゃあ、いま積立で持ってるS&P500の投資信託にも、有名なあの会社の株は入ってるんですか?
入ってるよ。だから「個別株を買う」というのは、すでに少しだけ持っているものを、追加でもっと多く持つという意味になる。ゼロから未知のものを買うわけじゃない。ここを勘違いしていると、必要以上に大きな決断に見えるんだ。
ここは意外と見落とされます。積立で米国株のインデックスを持っている人は、有名企業の株をすでに間接的に持っています。個別株を買う行為は「新しい世界に踏み出す」というより、**「持っている中の1社だけ、比率を大きく傾ける」**という調整に近い。そう捉え直すと、怖さの大きさが実態に合ってきます。
怖さの正体を3つに分ける
「怖い」とひとまとめにすると、どれも解決できません。分けると、2つは事前に消せます。
怖さ1:1社に集中することへの怖さ(これは正しい怖さ)
投資信託は中身が分散されているので、1社が沈んでも全体は少し下がるだけです。個別株はそうなりません。**この怖さは間違っていないので、消すのではなく「金額で管理する」**のが答えになります(後述の条件1)。
怖さ2:いつ売ればいいか分からない怖さ(事前に消せる)
積立は「売らずに続ける」が既定の行動なので、売る判断が要りません。個別株にはそれがない。売る条件を決めていない買いは、買った瞬間から毎日判断を迫られます。これが「持っているだけで疲れる」の正体です。売る条件を先に決めれば消えます(条件3)。
怖さ3:積立の土台を崩すことへの怖さ(事前に消せる)
積立の金額を減らして個別株の資金を作ると、うまくいかなかったときに「土台まで薄くなった」状態が残ります。積立の設定に一切手を触れないと決めておけば、この怖さは最初から発生しません(条件1)。
3つのうち2つは、買う前に消せるんですね……。じゃあ残った1つは、どう扱えばいいんですか?
「消す」んじゃなくて「上限を決める」。最悪その金額がゼロになっても生活も積立も変わらない、という額まで下げる。そこまで下げれば、怖さは「リスクの正体」から「ただの金額」に変わるよ。
数字の翻訳:「試しに1社だけ」の授業料はいくらか
怖さの一因は、コストが見えないことです。実額を出します。
米国株の取引単位は1株なので、数千円〜数万円から買えます(楽天証券 米国株式 取引ルール・2026年8月確認)。では10万円ぶん買うと、手数料はいくらか。
| 買付時 | 売却時 | 往復 | |
|---|---|---|---|
| 米国の個別株 | 約定代金の0.495%=約495円 | 約495円+SEC Fee | 約990円 |
| 投資信託(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の例) | 0円(ノーロード) | 0円 | 0円 |
※米国株式の取引手数料は約定代金の0.495%(税込)。約定代金2.22米ドル以下は0円、4,444.45米ドル以上は22米ドル(税込)が上限。売却時はSEC Fee(米国現地証券取引所手数料)が別途かかります(楽天証券 米国株式 手数料・2026年8月確認)。投資信託の例は購入時手数料無料(ノーロード)・運用管理費用(信託報酬)年0.0814%(税込)(三菱UFJアセットマネジメント・2026年8月確認)。このほかに円とドルを交換するコストがかかります(円貨決済と外貨決済のちがい)。
「試しに1社だけ買ってみる」の入場料は、10万円で往復およそ990円。数字にすると、多くの人が身構えていたほど大きくはありません。一方で、同じ10万円を投資信託で買えば買付時のコストは0円です。「試す」こと自体は現実的な金額でできる。ただしタダではない——この両方が同時に本当です。
買う前に決めておく3つのこと
ここからは「こうしなさい」ではなく「私ならこう決める」の話。この3つが紙に書けたら注文して、書けないうちは閉じてOK——という判定に使ってほしい。
条件1:金額の上限を先に決める(積立には触らない)
先に決めるのは銘柄ではなく金額です。判定はシンプルで、その金額がゼロになっても、毎月の積立設定を1円も変えずに済むか。変えなければならないなら、金額が大きすぎます。
積立の増額・減額をこの機会にまとめてやろうとしないこと。土台を動かしながら新しいことを始めると、あとで「何が効いたのか」が永久に分からなくなります。
条件2:買う理由を一文で書けるようにする
「上がりそうだから」は理由ではありません。理由とは、あとで自分が答え合わせできる形の文です。
- ✅「この会社の◯◯という事業が伸びると考えている。だから持つ」
- ❌「SNSで話題だから」「最近下がったから」
一文で書けないなら、それは「買いたい」ではなく「乗り遅れたくない」という気持ちであることが多い。焦りは判断材料になりません。
条件3:売る条件を、買う前に決める
買ってから考えると、値動きに引きずられて決められなくなります。決めるのは価格の予想ではなく、自分の行動のルールです。
- 買った理由(条件2)が崩れたら手放す
- 決めた保有期間が来たら見直す
- 金額が◯◯円を割ったら、そこで一度考え直す
どれを選んでもかまいませんが、空欄のまま買わない。売り時の考え方は米国株はいつ売る?利益確定の考え方で整理しています。
3つが決まったら、あとは口座区分と銘柄コードだけです。どの口座で買うかは米国株はNISAと特定口座、どっちで買う?、銘柄コード(ティッカー)の調べ方は米国株のティッカーの調べ方にあります。
買わなくていい人の条件
作らない選択肢も、同じ重さで書いておきます。次のどれかに当てはまるなら、いま個別株を買わないほうが自然です。
このままでOK(買わない判断も既定解です)
- 積立を始めて1年未満で、まだ下落を経験していない——先に、積立が下がった局面での自分の反応を見るほうが情報量が多い
- 生活防衛資金がまだ貯まっていない——現金が薄い状態の個別株は、一番売りたくないときに売る羽目になりがち
- 3つの条件のうち、どれか1つでも空欄——とくに「売る条件」。空欄のまま買うと、その日から毎日値段を見る生活になります
- そもそも「持ちたい会社」が思い浮かばない——買いたいのではなく「何かしなきゃ」と思っているだけの可能性があります
買わないままだと、みんなに置いていかれる気がして……。
「個別株は危険だから一生やめておけ」も、「インデックスだけじゃ物足りない、個別株こそ本命」も、私はどちらも極端だと思っている。私自身は、積立の設定に触らない範囲で、条件が3つとも書けたときだけ動かす。それ以外の日は何もしない。何もしない日のほうが、ずっと多いよ。
まとめ
まとめ:個別株が怖くて買えないとき
- 怖さは3種類。2つ(売り時が分からない・土台が崩れる)は買う前に消せる
- 残る1つ(1社に集中する怖さ)は正しい怖さ。消さずに金額の上限で管理する
- 10万円ぶんの取引手数料は往復およそ990円。試せる金額ではあるが、タダではない
- 買うなら「金額の上限」「買う理由」「売る条件」の3つを先に。空欄があるうちは買わない
- 積立を続けているなら、買わない判断も立派な既定解です
3つの条件が書けた人は、次に口座区分を決める番です。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。手数料・制度は変更されることがあります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。