こねこ
こねこ(投資1年目)

S&P500の積立、やっと続けられるようになったんです。…なのにSNSで「同じ期間ならNASDAQ100のほうが伸びてる」って見ちゃって。設定画面を開いたまま、指が止まりました。私、遅れてるんでしょうか?

トリ
トリ(管理人)

結論、その指は止めておいて正解。NASDAQ100の85%は、もうあなたのS&P500に入っているから。「これからはNASDAQしかない」も「ハイテクはバブル」も、どちらも未来の断定だよね。私はどちらにも乗らない。でも「なんとなく不安だから変えない」だと次の波でまた揺れる。だから今日は数えた数字で決めよう。

先に結論

  • 分散を増やす目的なら、足す必要はありません。NASDAQ100の102銘柄のうち87銘柄(85%)は、すでにS&P500に入っています
  • 足して起きるのは「会社が増える」ではなく「いま持っている大型ハイテクが濃くなる」です
  • それでも足すなら、積立全体の何割までかを買う前に決めてください

この記事で確定させること

  • 2つの指数が何銘柄・何%重なっているのか(公式の構成銘柄リストで実数を出します)
  • コストの差は、自分の残高でいくらになるのか(金額に翻訳します)
  • 足す・足さないの既定解と、例外に当てはまる人の条件

数えてみた:重なりは102銘柄中87銘柄

まず実数です。2つの公式リストを突き合わせました。

▼ 2つの公式リストを突き合わせた結果
数えたこと 結果
NASDAQ100の銘柄のうち、S&P500にも入っているもの 102銘柄中87銘柄(85%)
その87銘柄が、S&P500の中で占める比率 53.9%
S&P500の上位10銘柄のうち、NASDAQ100にも入っているもの 10銘柄すべて(合計37.8%)

いちばん効くのは真ん中の行です。S&P500を100万円持っている人は、そのうち約54万円ぶんが、すでにNASDAQ100と同じ会社ということ。ここにNASDAQ100を足すと、その54万円ぶんに上乗せする形になります。

こねこ
こねこ

えっ、増やすんじゃなくて「濃くする」ほうなんですね…! 全然イメージが違いました。

トリ
トリ

正直に言うと、私も数える前は「7割くらいかな」と思っていたんだ。実際は85%だった。感覚は当てにならないね。

重ならなかったのは15銘柄。ASML・Shopify・MercadoLibre・ARM・PDD などです。S&P500に足りない15社を買うために、すでに持っている87社をもう一度買う——足すという行動の中身は、そういう形になります。

そもそも「中身の重なり」という考え方に馴染みがない方は、オルカンとS&P500の両方積立は無駄?を先に読むと早いです。

そもそもNASDAQ100とは

3行で言うと、こうです。

  • ナスダック市場に上場している、金融を除いた大きな会社100社で作られた株価指数です(Nasdaq公式のNasdaq-100指数概要
  • 「金融を除く」がルールなので、銀行・保険は1社も入りません
  • 結果として、コンピューター関連・通信・小売・バイオなどの比重が高くなります(同上)

一方のS&P500は、アメリカを代表する主要企業500社の指数です。500社と100社。この差が、さっきの85%という数字を生みます。会社の規模が大きければ、どちらの指数にも顔を出すからです。

▼ 「足す」と何が変わるのか
思っていること 実際に起きること
分散が広がる 85%が重複。分散はほとんど広がらない
成長分野を追加できる すでに持っていたハイテクの比重が上がる
バランスが良くなる 金融・生活必需品などの比重は相対的に下がる

良い・悪いの話ではありません。ただ、**「分散を増やしたつもりが一点に寄せていた」**という取り違えだけは避けたい、という話です。

コストの差は、100万円で年約1,460円

同じ運用会社どうしで並べると、差がはっきり見えます。ニッセイアセットマネジメントの2本を、公式のお申込メモから引きます(いずれも税込・年率・2026年9月1日確認)。

ファンド 運用管理費用(信託報酬)
ニッセイNASDAQ100インデックスファンド 年0.2035%
ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド 年0.05775%

※連動先はS&P500ではなく別の500社指数です。運用会社をそろえないと会社ごとの方針が混ざるため、ここでは指数がニッチになるほどコストが上がるという構造を見るために並べています。ご自分が持っているファンドの数字は、交付目論見書の「ファンドの費用」で確認してください。

パーセントのままだと「どっちも安いのでは」で終わります。金額に翻訳します。

▼ 100万円を1年持ったときの手数料
ファンド 1年あたり
NASDAQ100型(年0.2035%) 約2,035円
米国株500社型(年0.05775%) 約578円
約1,460円

年1,460円は小さく感じます。ただ、残高が増えれば比例して増えます。300万円なら年約4,400円、1,000万円なら年約1万4,600円。しかも成績が良い年も悪い年も、必ず払います。

コストは、唯一「確実に起きること」。

だから足すという判断は、「この上乗せ分を毎年超えて報われる」と自分が信じているという意思表示になります。信じてはいけない、という話ではありません。自覚しているかどうかが分かれ目です。

トリ
トリ

「過去◯年のリターンはこっちが上」という比較は、期間の取り方で結論がひっくり返るから私は判断材料にしていないよ。ハイテクが強かった期間を切り取れば強く見えるし、その逆もある。未来が読めない以上、確実に分かっているコストと自分の性格を見たほうが早いんだ。

使えるNISAの枠が違う

見落とされがちですが、実務ではいちばん大きな違いです。

  • ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、NISAの**「成長投資枠」だけ**が対象です(公式お申込メモ
  • 一方、S&P500の代表的なファンドであるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、つみたて投資枠・成長投資枠の両方が対象です(公式ファンドページ

※どちらも取扱いは販売会社によって異なる場合がある、と公式に注記があります。買う前にお使いの証券会社の画面でご確認ください。

つまりNASDAQ100を足すことは、多くの場合**「成長投資枠を使う」という決定とセット**になります。つみたて投資枠だけで完結していた人にとっては、管理する枠が1つ増えるということ。枠の使い分けそのものに迷いがある方は、つみたて投資枠と成長投資枠はどっち?で整理しています。

迷いどころの既定解

既定解:特別な事情がなければ、主軸は今のまま。足すなら「上限を決めてから」

理由は3つです。

  • 分散は増えないから ── 102銘柄中87銘柄が重複。起きるのは「ハイテク比重が上がる」ことだけ。分散を目的に足すなら、目的と手段が合っていません
  • コストが確実に増えるから ── 年0.2035%と年0.05775%の差は、100万円あたり年約1,460円。相場がどうなっても必ず発生します
  • 積立の設計が複雑になるから ── 成長投資枠を使うことになり、「毎月ほったらかし」の形が一段むずかしくなります

例外は、値動きがS&P500より大きく振れても、絶対に積立をやめない自信がある人。その場合でも「積立全体の何割まで」という上限を買う前に決めてください。上限を決めずに足すと、下がった局面で「どこまで我慢すればいいのか」の基準が自分の中にありません。

「乗り換え」には、見えないコストがあります

いま持っているS&P500を売ってNASDAQ100に買い替える場合、利益への税金だけでなくNISAの非課税枠も消費します。売って空いた枠が使えるのは翌年です。詳しくはNISAの枠は売ったら復活する?で検証しています。
「足す」と「乗り換える」は、まったくコストの違う行動です。

こねこ
こねこ

売って買い替えるつもりでした…。あぶなかった。今の積立はそのままにします。

タイプ別:どう考えると決めやすいか

正解を当てる問題ではありません。自分がどちらの説明に納得できるかで選んで大丈夫です。

  • 「世界の成長の中心はアメリカの大企業全体」と考える人 → S&P500(またはオルカン)1本のまま。足す必要はありません
  • 「技術で世界を変える会社に、より濃く賭けたい」と考える人 → 上乗せは選択肢。ただし上限割合を先に決めてから
  • 「自分がどこまで下落に耐えられるか、まだ分からない」人 → いまは足さないでOK。下落を一度経験してからでも遅くありません

3つ目を選ぶのは負けではありません。耐性が分かっていない状態で濃くするほうが、よほど危ういからです。

まとめ

S&P500にNASDAQ100を足すか:判断の3点

  • 中身:102銘柄中87銘柄が重複(85%)。S&P500の53.9%ぶんと同じ会社
  • コスト:年0.2035%と年0.05775%。100万円あたり年約1,460円の差が確実に発生
  • :NASDAQ100型は成長投資枠のみ。つみたて投資枠で完結しなくなる
  • 既定解:特別な事情がなければ主軸は変えない。足すなら上限を決めてから

「もっと伸びるほうがある」と知った日に、心が揺れるのは自然です。揺れない人のほうが少ない。

ただ、あの日に決めるべきだったのは商品ではありませんでした。

設定画面の上で止まった指——あれは、すでに85%持っている会社を、もう一度買うかどうかで止まっていたわけです。それが分かっていれば、次に同じ投稿を見ても、もう指は止まりません。


※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。