配当が入ったはずなのに口座を見たら、金額の頭に「$」が付いていた。設定した覚えがないのに、なぜ。
先に言っておくと、それで合っています。あなたが何か間違えたわけじゃないんだ。
米国株を買ったら、配当金がドルで入ってました。えっ、私、そんな設定した覚えがないんですけど…!これ、円で受け取ることもできるんですか?
できるよ。というより、そこが今日の一番の話。楽天証券は「変更がない場合は、米ドルで受取が設定されています」と公式に案内している(楽天証券のお知らせ)。触っていない人は全員ドル受取なんだ。先に結論を言うと、配当を使う予定がないなら「円貨で受取り」に変えておけばOK。理由は手数料じゃなくて、確定申告の手間のほうにあるよ。
米国株を買うときの「円貨決済/外貨決済」で迷った人は、先に米国株の円貨決済と外貨決済はどちら?を読むと、この記事の位置がわかりやすくなります。買うときの通貨の話と、受け取るときの通貨の話は別の設定です。
この記事でわかること
- 自分はどちらを選べばいいか(既定解)
- 円貨受取に変える3ステップと、間に合うタイミング
- 何も設定していないと、配当はどちらの通貨で届くのか
- 円で受け取ると、実際いくら引かれるのか(配当1万円あたりの金額)
- ドルのまま貯めると、あとで何が起きるのか(為替差益と雑所得)
結論:あなたの使い道で決まる(30秒の早見表)
この設定が決められないのは、「どちらが得か」を比べようとしているからです。手数料の差はごくわずかなので、受け取った配当を何に使うかで切ってしまいましょう。
| あなたの状況 | 選ぶのは | 理由 |
|---|---|---|
| 配当を使う予定はなく、置いておくだけ | 円貨で受取り | 受け取った時点で円が確定し、あとの手続きが増えない |
| 受け取った配当で米国株・ETFを買い増したい | 外貨で受取り | 円に戻してまた買うと、両替のコストを二度払う |
| 米国株は少額(年間の配当が数千円〜数万円) | 円貨で受取り | 手数料の差は年に数十円。手間ゼロの価値が上回る |
| ドルを使う予定があり、円に替えるつもりがない | 外貨で受取り | 円に戻さなければ、後述の為替差益の話は出てこない |
| よく分からない・いまは決めたくない | 円貨で受取り | 判断を先送りにしないで済むのはこちら |
円貨受取に変える手順(3ステップ)と、間に合うタイミング
※ 画面の名称・並びは執筆時点(2026年8月)のものです。手順の出典は楽天証券のお知らせです。
手順は上の3ステップだけです。見落としやすいのは反映のタイミングのほうです。
今日変えても、直前の配当には間に合わないことがあります
営業日15:30までの変更で、2営業日以降に受け取る配当金から新しい受取方法が適用されます(楽天証券のお知らせ)。
「明日入る配当を円で受け取りたい」と今日あわてて変更しても間に合いません。逆に言えば、配当の予定がない今のうちに設定しておくのがいちばん楽ということです。
設定は「銘柄ごと」ではありません
受取通貨は「外国株式」全体の設定です(楽天証券の設定画面は マイメニュー → お客様情報の設定・変更 → 各商品に関する設定「外国株式」)。この銘柄はドル、あの銘柄は円、という分け方はできません。
※画面の名称は執筆時点(2026年8月)のものです。
円で受け取ると、いくら引かれる?(配当1万円で約16円)
先に1つだけ。配当はアメリカで10%・日本で20.315%の税金を引かれたあとの金額で届きます(楽天証券のお知らせ)。円かドルかで選べるのは「その入金を何の通貨で受け取るか」だけで、税金が増えたり減ったりする話ではありません。税金そのものは米国株の配当、手取りはいくら?にまとめています。
円貨受取を選ぶと、証券会社がドルを円に両替して入金してくれます。このとき1米ドルあたり25銭の為替手数料(スプレッド)がかかります。手数料は配当金額の計算に使う為替レートに含まれる形です(楽天証券のお知らせ)。
「25銭」と言われても大きいのか小さいのか分からないので、受け取る金額に翻訳します。
| 受け取る配当 | かかる為替手数料 |
|---|---|
| 1万円ぶん(約63ドル) | 約16円 |
| 5万円ぶん(約316ドル) | 約79円 |
| 年間20万円ぶん(約1,266ドル) | 約316円 |
率にすると、25銭 ÷ 158円 = 約0.16%です。年に20万円の配当を受け取る人でも、1年で300円ほど。ランチ1回にも届きません。
だから私は、この設定を「手数料をどちらが安くできるか」の問題として考えるのをやめた。年300円の差で30分悩むなら、その30分で別のことをしたほうがいい。本当の分かれ目は、次の話のほうだよ。
ドルのまま貯めると、あとで「宿題」が来ることがある
外貨受取を選ぶと、配当はドルのまま外貨預り金に入ります。手数料はかかりません。ここだけ見ると外貨受取のほうが得に見えます。
ただし、そのドルを自分で円に替えたときに、もう一つの論点が出てきます。
え、円に替えるだけですよね?ただの両替なのに、何が起きるんですか…?
国税庁は、為替差損益は「異なる通貨の交換(往復)」によって発生し、所得として認識する必要があるという考え方を示しています(国税庁・質疑応答事例/令和7年8月1日現在の法令等)。
楽天証券も同じことを、もっと直接的に案内しています。米ドルで受け取った配当金を自分で円に両替すると、為替レートの変動で生じた利益は雑所得の対象となり、確定申告が必要になる場合がある——だから雑所得を発生させずに円で受け取りたいなら「円貨で受取り」がおすすめです、と(楽天証券のお知らせ)。
つまり、こういう非対称があります。
| 受け取るとき | あとで円に替えるとき | |
|---|---|---|
| 円貨で受取り | 1ドル25銭の為替手数料 | 何も残らない(すでに円) |
| 外貨で受取り | 手数料なし | 為替差損益が発生し、雑所得になり得る |
ただし、多くの積立勢はここで慌てなくて大丈夫
給与を1か所から受けている会社員の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年20万円を超えるときに確定申告が必要になります(国税庁 No.1900/令和7年4月1日現在法令等)。配当を数万円ぶん受け取っている段階で、その為替差益だけで20万円を超えることはまずありません。
問題は金額よりも「自分が対象かどうかを毎年考えなければならない」ことのほうです。住民税の扱いなど個別の判断もあるため、金額が大きくなってきたら税務署か税理士に確認してください。
だから、分かれ目は「手数料」ではなく「宿題を残すか」
ここまでを一言でまとめると、この設定の本質はこうです。
選ぶのは、年300円ほどの手数料を先に払ってでも確定申告の心配をゼロにするか。手数料を払わない代わりに、将来の自分に判断を1つ残すか。
私は「使う予定のないお金ほど、放っておける形にしておく」ほうが長続きすると思っています。積立を10年続ける前提なら、毎年ちょっとずつ増える確認作業のほうが、年300円よりよほど重い。だから私なら円貨で受取りを選びます。
私の場合は、事前に調べていて「配当は受け取って使いたい」と決めていたので、最初から円で受け取る設定にしました。
逆に、受け取った配当をそのままドルで再投資する人にとっては、円に替える場面がそもそも来ません。この人が円貨受取を選ぶと、円に替えて → また買うためにドルに替えるという往復が毎回発生します。こちらは迷わず外貨受取です。
「配当が出たら再投資したほうが有利」とよく言われるけど、それは実際に買い増す手を動かす人の話。ドルで貯まっていくのを眺めているだけなら、それは再投資ではなく、ただのドルの置きっぱなしだよ。自分がどちらなのかで決めるのがいちばん確実だと思う。
もうドルで受け取ってしまった分は?→今日やることはありません
ここまで読んで、いちばん気になっているのはたぶんこれですよね。設定を変えるのは分かった。では、すでにドルで入っている配当は?
結論から言うと、今日やることはありません。すでに受け取ったドルは外貨預り金にそのまま残ります。設定の変更は、これから受け取る配当にしか効きません。過去の分がさかのぼって円になることはないし、放っておいて減るものでもない。
そのうえで、残ったドルの使い道は2つに分かれます。
- これからも米国株・ETFを買う → そのドルで買えばいい。円に戻す場面が来ないので、上で見た為替差損益の話も出てきません
- もう買う予定がない → 円に戻すことになります。このとき、はじめて税金の計算の対象になり得ます
正直に言うと、私はこの「口座の隅に少しだけ残ったドル」をいちばん持て余すわ。急いで円に戻す理由もないし、そのまま置いても増えない。私はいま、次に買うときの原資として置いたままにしています。使い道を決めてから動かす、という順番のほうが迷いが少ないよ。
円に戻すかどうかの判断は、往復の手数料と税金の両方が絡むので、口座に残ったドル、円に戻す? ドルのまま置く?にまとめました。この記事より先に読む必要はありません。残ったドルを実際に動かす日が来たら開いてください。
NISA口座なら、ドル受取でも気にしなくていい?
NISA口座で受け取った配当そのものは非課税です。ただし、そのドルを自分で円に替えたときの為替差損益は「配当」ではありません。上で見たとおり雑所得として扱われるものなので、NISAの非課税とは別の話になり得ます。
「NISAなんだから全部非課税のはず」と思っていると、ここだけ想定外になります。NISAでもドル受取のままにしているなら、円に替えるときは為替差益のことを思い出してください。これも、円貨受取にしておけば考えなくて済む項目です。
なお、ここまでの話は米国株の配当を、何の通貨で受け取るかの設定です。投資信託の注文画面で聞かれる「受取型/再投資型」は、名前は似ていますがまったく別の設定。オルカンやS&P500の投資信託でどちらを選ぶかはオルカンの分配金は再投資型と受取型どっち?にまとめています。
そして、投資信託の分配金を再投資したときにNISA枠がどうなるかは、さらに別の論点です。そちらは投資信託の「再投資型」を選べばNISA枠は減らない?にまとめています。
もう少し先の話として、「配当で生活費をまかなう」のと「積み立てた資産を取り崩す」のでは、税金と使い勝手がどう違うのか。こちらは老後の生活費は取り崩し?配当?に整理しました。
ちなみに「ドルのまま買い増す」つもりの人は、その分配金が自動で再投資されるわけではない点だけ先に知っておいてください。楽天証券にその仕組みはなく、自分で買い直すことになります。金額と回数の目安は海外ETFの分配金は自動で再投資される?に書きました。
まとめ
この記事のまとめ
- 何も設定していなければ、米国株の配当は米ドルで受け取る設定になっている
- 円貨受取の為替手数料は1ドルあたり25銭=配当1万円あたり約16円(1ドル158円のとき・約0.16%)
- 外貨受取は手数料ゼロだが、あとで円に替えたときの為替差損益が雑所得になり得る
- 既定解は「配当を使う予定がないなら円貨で受取り」「ドルのまま買い増すなら外貨で受取り」
- 変更は営業日15:30までで2営業日以降の配当から適用。配当の予定がない今のうちに済ませておくのが楽
この設定、今日のうちに済ませておくと楽です。配当の予定がない日ほど、変更は落ち着いてできますから。
そもそも「どの銘柄から配当をもらうか」で迷っている人は、高配当ETFはVYM・HDV・SPYDどれ?もどうぞ。受け取り方の話は3本とも同じで、違うのは中身のほうです。
今日はここまで。焦らずいきましょう。
数字・制度は執筆時点(2026年8月)のものです。税務の個別判断は税務署または税理士にご確認ください。投資の判断はご自身の責任でお願いします。
