私、オルカンを1本だけ積み立ててるんです。でも会社の先輩は3本も4本も持ってるらしくて…。1本だけって、手を抜いてることになりませんか…?
結論:迷ったらこれでOK
- 株のインデックスファンドは1本で十分です。これが既定解
- 増やすとしても2本まで。それも「◯◯の比率を上げたい」と言葉にできるときだけ
- 3本目を足していいのは、株以外のものを入れるときと、口座が分かれているだけのときの2つ
手抜きじゃないよ。むしろ逆で、1本というのは「もう分散が終わっている」という状態なんだ。理由は3つある。ここから先は、数字を見ながら順番に確かめていこう。
この記事でわかること
- オルカン1本の中に、実際に何社入っているのか(公式データ)
- 本数を増やしたときに、増えるもの・増えないもの
- 株のインデックスが1本でいい理由3つ
- 3本目を足していい2つの例外
- 「減らしたい」と思ったときに、先にやってはいけないこと
そもそも:投資信託の「1本」は、会社1社ではありません
投資信託は、たくさんの会社の株をまとめて詰めた「詰め合わせパック」です。1本買うと、その中身を全部、少しずつ持つことになります。
だから「本数」と「分散」は、そもそも別の話です。本数は買い物カゴに入れたパックの数で、分散はパックの中に何が入っているかの話。カゴの数を増やしても、中身が同じなら分散は増えません。
では、その中身は実際どれくらいの量なのか。数字で見てみます。
オルカン1本の中身(2026年7月31日現在)
- 組入銘柄数:2,414銘柄
- いちばん比率が大きいアップルで 4.8%、次のエヌビディアが4.4%、マイクロソフトが3.1%
- 国・地域はアメリカ63.1%、日本5.0%、イギリス3.2%、カナダ3.0%、台湾2.8%…と続く
出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート 2026年7月31日現在(2026年8月28日確認)
2,414社。ひとつの会社が倒れても、全体に対する影響は最大でも数パーセントです。この状態を作るのに、あなたがやったのは「1本を選んだ」ことだけでした。
本数を増やしても、「会社の数」はほとんど増えません
いちばん多い増やし方は、オルカンにS&P500を足す形だと思います。ここで何が起きるかを、さっきの数字で追いかけます。
S&P500に入っているのは、アメリカの大きな会社500社です。そしてオルカンは、すでに63.1%がアメリカ。上位に並んでいるアップル・エヌビディア・マイクロソフトも、当然S&P500の中心にいる会社です。
つまり2本目を足したとき、新しく増える会社はほとんどありません。増えるのはアメリカの比率のほうです。
えっ。本数は1本から2本で2倍になるのに、中身の会社はほぼ増えないんですか…?
そう。だからね、2本目を足すこと自体は悪いことじゃないんだ。ただ、それは「分散を増やす行為」ではなく「アメリカに寄せる行為」。その自覚があるかどうかが分かれ目だと思う。重なり方の詳しい話はオルカンとS&P500の両方積立は無駄?にまとめてあるよ。
1本でいい理由3つ
理由1:分散は、すでにファンドの中で終わっている
2,414社に分かれて持っている状態を、自分で作ろうとしたら何年かかるでしょうか。分散という仕事は、あなたが本数を増やす前に、ファンドの中で完了しています。
理由2:2本目・3本目は、たいてい「重ねている」だけ
さっき見たとおりです。似た指数を足すと、新しく増えるのは会社ではなく比率。本数が増えたぶん、自分の資産の中身は「分かりにくく」なります。
理由3:本数が増えるほど、続けるための判断が増える
ここがいちばん実感しにくい部分です。2本持つと、こういう判断が毎年ついてきます。
- 積立額を何対何で配分するか
- 片方だけ下がった月に、どうするか
- 年末にNISAの枠をどちらへ割り当てるか
- 比率がずれてきたとき、直すかどうか(→ 新NISAでリバランスは必要?)
どれも1回は小さな判断です。でも積立は10年、20年と続けるもの。判断の回数が増えるほど、途中でやめる理由も増えます。
正直に言うと、1本だけというのは「何もしていない感じ」がして落ち着きません。増やしたくなるときの動機は、たいていリターンの計算ではなく、この落ち着かなさのほうです。私はそう理解しています。
まとめ:1本でいい理由3つ
- 分散はファンドの中で終わっている(オルカンで2,414銘柄)
- 似た指数を足しても、増えるのは会社数ではなく比率
- 本数が増えるほど、毎年の判断が増えて続けにくくなる
コストはどれくらい変わるのか
「本数を増やすと手数料で損する」という話も見かけます。ここも数字で確かめておきます。
複数持ったときの信託報酬は、金額の比率で平均した値になります。オルカンの信託報酬は年率0.05775%(税込)以内(出典:同 交付目論見書 2026年7月25日 P11)。100万円を1年持って約578円です。
ここに、仮に信託報酬が年0.5%のファンドを2割だけ混ぜたとします(0.5%は説明のために置いた仮の数字です)。合計は 0.05775%×0.8+0.5%×0.2=約0.15%。100万円で年およそ1,462円になります。
差は年880円ほど。月にすると約73円です。
なお、実際に引かれるのは信託報酬だけではありません。合計でいくら引かれたかは実質コストの調べ方で確認できます。
3本目を足していい2つの例外
ここまで「1本、増やしても2本」と書いてきましたが、本数として数えなくていい場合、足していい場合もあります。
例外1:株ではないものを足すとき
債券や現金は、株と値動きの性格が違います。同じものを重ねているわけではないので、これは「本数を増やした」というより「性格の違うものを1つ入れた」に近い。増える判断も、株どうしを2本持つときほど多くありません。
例外2:口座が分かれているだけのとき
iDeCo・企業型DC・持株会・特定口座と、NISA。口座が違えば商品も別々に並びますが、中身として見れば同じ1本のこともあります。画面に並んでいる数ではなく、中身の重なりで数えるのが正しい数え方です。
じゃあ、もう増やしすぎちゃった人はどうすれば…。整理したほうがいいですか?
そこは急がなくていい。まず覚えておいてほしいのは、本数を減らすために売るのは、まったく別の判断だということ。NISAは売っても、その年のうちに枠は戻らないからね。
まとめ
まとめ:ファンドは何本まで?
- 株のインデックスは1本で十分。オルカン1本の中に2,414銘柄が入っている(2026年7月31日現在)
- 2本目を足しても増えるのは会社数ではなく比率(オルカンはすでにアメリカ63.1%)
- 増やすなら2本まで。「比率を上げたい」と言葉にできるときだけ
- 株以外を足すとき・口座が分かれているだけのときは、本数として数えなくていい
- 減らしたくなったら、売る前に「これから積み立てる先」を寄せるところから
本数を増やしたくなったら、まず「自分は何の比率を上げたいのか」を一言にしてみてください。言葉にならないなら、たぶん今は増やさなくていい合図です。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。掲載しているファンドの数値は執筆時点(2026年8月28日確認)の公表資料によるものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。