こねこ
こねこ(投資1年目)

投信の積立に慣れてきたので、米国株のほうも自動で積み立てようと思ったんです。そしたら設定画面でいきなり「金額指定/株数指定」って聞かれて、手が止まりました……。投信の積立にはこんな選択、なかったですよね?

トリ
トリ(管理人)

なかったね。投資信託は1円単位で買えるけど、米国株は1株単位でしか買えない。だから「金額を先に決めるか、株数を先に決めるか」を、こちらが選ばないといけないんだ。結論から言うと迷ったら金額指定でいい。ただ——今日いちばん伝えたいのはそこじゃなくて、金額指定は「設定した金額どおりに買われるわけではない」という話のほう。ここを知らないと、あとで口座を見て「あれ?」となるよ。

この記事でわかること

  • 金額指定と株数指定の違い(固定するものが違うだけ)と、迷ったときの既定解
  • 3万円で設定したのに2万2,500円しか買われないことがある理由=「掛け目110%」の仕組み
  • その「余り」が金額別・株価別にいくらになるかの計算
  • 株数指定を選んだほうがいい人(逆の既定解)
  • 設定できる最低ラインと、設定前に知っておく4つ(つみたて投資枠では使えない、など)

結論:迷ったら「金額指定」(30秒の早見表)

あなたの状況 選ぶのは 理由
毎月の家計から一定額を出したい 金額指定 株価が上がっても、出ていく金額の上限が動かない
1株が高い銘柄(1株2万円台など)を積み立てたい 金額指定 株数指定だと最低でも毎月1株分の金額が必要になる
投信の積立と同じ感覚で並べたい 金額指定 「毎月○万円」で管理が揃う
1株が数千円の銘柄で、株数をきれいに増やしたい 株数指定 端数の「余り」がほとんど出ない
「毎月ちょうど◯株ずつ」で設計したい 株数指定 株数が目標になっている人はこちら
よく分からない・いまは決めたくない 金額指定 判断を先送りにせずに済むのはこちら

迷いどころの既定解(これでOK)

  • 特別な事情がなければ「金額指定」でOK。理由は3つ——(1)毎月いくら出ていくかの上限が動かないので、家計の側が株価に振り回されない (2)株価が上がった月でも「買う株数が減るだけ」で済み、資金不足で買付がまるごと飛ぶ事故が起きにくい (3)1株が高い銘柄でも、その金額の範囲で始められる
  • ただし、1株が数千円の銘柄で「毎月◯株ずつ」と決めている人は株数指定。後述する「余り」がほとんど出ないぶん、設定額を無駄なく使えます
  • そしてどちらを選んでも、注文は成行で自動発注されます。値段を指定する余地はないので、そこは考えなくて大丈夫です

そもそも:米株積立は「毎月自動で米国株を買う」設定

米株積立は、買付方法と買付日をあらかじめ設定しておくと、指定した銘柄を自動で積立購入してくれるサービスです(楽天証券 米株積立 サービス概要)。買付日は日付指定(1日〜28日)または曜日指定(月〜金)から選べて、年2回までボーナス月の増額も設定できます。

サービスの利用料そのものは無料です。ただし約定すれば通常の取引と同じ手数料がかかります(米国株式の現物取引は約定代金の0.495%・税込、上限22米ドル・税込/同社が別途指定する銘柄の買付手数料は無料)。

違いは「何を固定するか」だけ

楽天証券の説明はこうです。

  • 金額指定:1回の注文金額を指定して、その金額以内で買える株数を発注する
  • 株数指定:1回の注文株数を指定して、その株数を発注する

読み飛ばしそうな言い回しですが、金額指定のほうに「以内」と書いてあるのが今日の話の入口です。

こねこ
こねこ(投資1年目)

「以内」……? え、3万円って設定したら、3万円ぶん買ってくれるんじゃないんですか?

トリ
トリ(管理人)

買えないんだ。米国株は1株単位でしか買えないから、3万円をきっちり使い切ることは基本的にできない。しかも楽天証券は株価を1割高めに見積もって株数を計算するから、余りはもう少し大きくなる。ここを具体的な数字で見てみよう。

【核心】3万円と設定しても、3万円ぶん買われるわけではない

なぜ「余り」が出るのか=掛け目110%

楽天証券は、金額指定の買付株数を次のように計算します。

金額指定の場合、対象銘柄の前営業日終値の110%の価格で買付可能株数を算出し、その価格にて予想受渡代金が計算されます。

(出典:楽天証券 米株積立 サービス概要

つまり前営業日の終値×1.10という、実際より1割高い株価を使って「何株買えるか」を計算します。米国市場は日本の夜に動くので、注文を作る時点では当日の株価が分かりません。そこで値上がりに備えて余裕を持たせているわけです。

その結果どうなるか。1株150ドルの銘柄を、金額指定3万円で設定した場合(1ドル150円と仮定して計算します):

手順 計算 結果
① 掛け目をかけた株価 150ドル × 1.10 165ドル(=24,750円)
② 買える株数 30,000円 ÷ 24,750円 1.2株 → 1株(端数は切り捨て)
③ 実際に約定する金額 150ドル × 1株 約22,500円
④ 使われずに残る金額 30,000円 − 22,500円 約7,500円

3万円と設定して、実際に買われるのは2万2,500円。設定額の4分の1が口座に残ります

トリ
トリ(管理人)

これは不具合でも損でもない。残った7,500円は口座にちゃんとある。ただ「毎月3万円ずつ米国株に入れているつもり」でいると、1年後に投じた額が想定より9万円少ない、ということが起こりうる。知らないと家計の計画がずれるという種類の話なんだ。

株価が高い銘柄ほど、余りは大きくなる

同じ3万円の設定でも、銘柄の株価によって余り方はかなり変わります(いずれも1ドル150円と仮定した概算)。

1株の株価 掛け目後の株価 買える株数 実際の約定額 余り
30ドル(4,500円) 33ドル(4,950円) 6株 約27,000円 約3,000円(10%)
80ドル(12,000円) 88ドル(13,200円) 2株 約24,000円 約6,000円(20%)
150ドル(22,500円) 165ドル(24,750円) 1株 約22,500円 約7,500円(25%)
250ドル(37,500円) 275ドル(41,250円) 0株 発注されない 30,000円

法則はシンプルで、1株の値段が設定額に近いほど、余りの割合が大きくなる。そして1株の値段(の110%)が設定額を超えると、その月は買付そのものが行われません。

対策は「設定額を1株分の値段より十分に大きくする」

余りを小さくしたいなら、設定額が1株の値段の何倍あるかを見てください。3倍・4倍あれば余りの割合は自然に小さくなります。逆に「設定額 ≒ 1株の値段」だと、余りが最大になるうえ、株価が1割上がった月には発注されなくなります。
※株価は執筆時点の例示であり、特定の銘柄を指すものではありません。

株数指定は見積もりが正確。でも毎月の出費が読めない

株数指定のほうは、掛け目が違います。

株数指定の場合、対象銘柄の前営業日終値の103%の価格にて予想受渡代金が計算されます。

(出典:楽天証券 米株積立 サービス概要

金額指定が110%なのに対し、株数指定は103%。買う株数が最初から決まっているので、値上がりへの備えを小さくできるからです。1株150ドルを1株だけ買う設定なら、拘束されるのは約154.5ドル(約23,175円)で、実際の約定額(約22,500円)との差は700円弱。見積もりはかなり正確です。

ただし、株数指定には別の性質があります。

こねこ
こねこ(投資1年目)

正確なら、そっちのほうが良さそうに聞こえますけど……?

トリ
トリ(管理人)

正確なのは「見積もり」であって、「毎月の出費」じゃないんだ。1株150ドルの株が200ドルになれば、毎月の必要額は22,500円から30,000円に増える。株数を固定するというのは、家計から出ていく金額を市場に決めさせるということでもある。積立を長く続けるうえでは、ここがけっこう効いてくる。

同じ「1株ずつ」でも、株価が上がれば必要な資金は増えます。資金が足りなければその月の買付は行われません。金額指定なら株価が上がっても「買う株数が減る」だけで済むのに対し、株数指定は「買えない月が出る」形で表面化します。

だから、株数指定が向いているのは次のような人です。

  • 1株が数千円台の銘柄で、余りをほとんど出したくない
  • 「毎月◯株ずつ増やす」という株数ベースの目標を持っている
  • 株価が上がった月に追加で資金を入れることに抵抗がない

逆に「毎月の家計から出す額を先に決めたい」なら、迷わず金額指定です。積立は続けられることが最優先で、続けやすいのは出費の上限が動かないほうです。

設定できる最低ライン

どちらも、予想約定金額が3,000円(外貨決済は3,000円相当額)を超える設定が必要です。金額指定の場合の下限は明記されています。

  • 円貨決済:3,190円以上で設定可能(株価×購入予定株数×掛け目10%)
  • 外貨決済:22ドル以上で設定可能

設定単位は円貨決済が1円単位、外貨決済が1セント単位。株数指定は1株単位です。なお、円貨決済にするか外貨決済にするかは米株積立でも選びます。差の大きさと選び方は米国株の円貨決済と外貨決済はどちら?にまとめています。

設定の前に知っておく4つ(ここでつまずく人が多い)

1. NISAの「つみたて投資枠」では使えません

米株積立で選べる口座区分は特定口座・一般口座・NISA成長投資枠です。つみたて投資枠は対象外なので、「NISAで自動積立」と考えていた人は、成長投資枠を使うことになります。枠の使い分けで迷う人は先につみたて投資枠と成長投資枠、どっちで積む?を見ておくと設定画面で止まりません。

2. NISAの枠が足りないと、その月は「まるごと」買われません

注文を作る時点で予想約定金額が成長投資枠の買付可能額を超えていると、積立注文自体が作成されません。枠の残り分だけ買う、という動きはしません。年末に枠が埋まってくる時期は、ここで静かにスキップされます。

3. 買われない月が6回続くと、設定そのものが止まります

預り金の不足・最低買付金額割れ・NISA枠の超過などで買付が行われなかった場合、それが6回連続すると以降の定期買付注文の一部または全部が停止されます。「設定したから大丈夫」ではなく、たまに約定履歴を見る必要があるのはこのためです。

4. 締切は日本時間18時。注文は成行です

日本時間18時時点の設定内容をもとに当日の注文が作られ、買付余力が拘束されます。18時以降の新規設定・変更・解除は翌営業日以降の注文に適用されます。発注は現地市場が開くとき(日本時間 通常23:30、サマータイム22:30)で、当日中の成行注文です。指値では出せません(指値と成行の違いは米国株は指値と成行どっちで買う?へ)。
※画面・時刻の名称は執筆時点(2026年8月)のものです。

まとめ

金額指定と株数指定まとめ

  • 違いは「金額を固定するか、株数を固定するか」だけ。迷ったら金額指定
  • 金額指定は前営業日終値の110%で買える株数を計算するため、設定額どおりには買われない。1株22,500円の銘柄を3万円で設定すると、実際に約定するのは約22,500円で、約7,500円が残る
  • 1株の値段が設定額に近いほど余りは大きくなり、1株の110%が設定額を超えると、その月は発注されない
  • 株数指定の掛け目は103%で見積もりは正確。ただし株価が上がると毎月の必要額が増える
  • 使えるのは特定口座・一般口座・NISA成長投資枠(つみたて投資枠は対象外)。枠が足りない月はまるごとスキップされ、6回続くと設定が止まる

「どちらが正解か」で悩んでいた人は、たぶんこの記事で悩みどころが移ったと思います。本当に確認すべきだったのは、金額指定か株数指定かではなく、設定額が1株の値段の何倍あるかでした。そこさえ見ておけば、どちらを選んでも大きな事故は起きません。設定したあと数か月に一度、約定履歴を開いて「ちゃんと買われているか」を見る——今日のところは、それで十分です。


※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資手法や銘柄の売買を推奨するものではありません。記載のサービス仕様・手数料は執筆時点(2026年8月23日)に楽天証券の公式ページで確認したものです。条件は改定されることがありますので、実際の設定前に必ず公式ページで最新の内容をご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。