毎月の積立とは別に、少しまとまったお金ができたんです。せっかくだからNISAに入れたいんですけど……そもそも、いくらまで入れられるんでしょうか?
そこ、意外と知られていないんだ。新NISAの枠は1年に360万円まで。だから生涯の上限1,800万円を全部使おうとしても、どんなに急いでも5年かかる。しかも「どっちの枠を使うか」で、最終的に入れられる総額まで変わるんだよ。
つみたて投資枠と成長投資枠の違いがまだあいまいな人は、先につみたて投資枠と成長投資枠、どっちでオルカン積む?を読んでおくと、この記事がスムーズに入ってきます。
この記事でわかること
- 新NISAの枠を決めている4つの数字(120/240/1,800/1,200)
- 1,800万円を埋めるのに最短で何年かかるか
- 成長投資枠だけを使うと総額が1,200万円で止まる理由
- まとまったお金があるときの、枠の使い方の既定解
新NISAの枠は、4つの数字でできている
まず、制度の全体像を数字だけで押さえます。すべて金融庁のNISA特設ウェブサイト「NISAを知る」に書かれている内容です。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 年120万円 | つみたて投資枠の年間投資枠 |
| 年240万円 | 成長投資枠の年間投資枠 |
| 年360万円 | 2つを併用したときの1年の上限 |
| 1,800万円 | 生涯の非課税保有限度額(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
金融庁の説明では「つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大され、併用により合計で年間360万円まで拡大しました」とされています。そして生涯の上限については「上限は1,800万円ですが、成長投資枠はそのうち1,200万円が上限となります」と明記されています(いずれも出典は前掲の金融庁ページ)。
数字を月額に翻訳すると、こうなる
「360万円」と言われてもピンと来ないので、財布の感覚に置き換えます。
年間の上限を月割りにすると
- つみたて投資枠 年120万円 = 月10万円
- 成長投資枠 年240万円 = 月20万円
- 併用の年360万円 = 月30万円
そして生涯の上限1,800万円を、この年360万円で割ると 5年。つまり、手元にいくらお金があっても、新NISAの枠を全部使い切るには最低5年かかります。「まとまったお金を一気に非課税口座へ」というイメージを持っていた人は、ここで一度計画を組み直すことになります。
えっ、じゃあ「一括投資かドルコスト平均法か」で悩んでたのって……。
そう、NISAの枠の中に限れば、制度がすでに答えを半分決めているんだ。年360万円という上限がある以上、大きな金額は自動的に「数年に分けて入れる」形になる。悩む前に、まず自分が何年計画になるのかを数えるほうが早いよ。
見落としやすい分岐:成長投資枠だけだと1,200万円で止まる
ここが、この記事で一番お伝えしたい点です。
金融庁のよくある質問には、こう書かれています。「つみたて投資枠だけで非課税保有限度額(1,800万円)を使いきることは、可能です。また、つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを利用することも可能です。ただし、成長投資枠の非課税保有限度額は、1,200万円とされています」(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト よくある質問)。
つまり、2つの枠は対称ではありません。
| 使い方 | 生涯で入れられる上限 |
|---|---|
| つみたて投資枠だけを使う | 1,800万円(全額使い切れる) |
| 成長投資枠だけを使う | 1,200万円で頭打ち |
| 両方を使う | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
米国株や海外ETFを買えるのは成長投資枠のほうなので、「個別株・ETF中心でいこう」と考えている人ほど、この1,200万円の壁に先にぶつかります。1,800万円をフルに使いたいなら、少なくとも600万円分はつみたて投資枠(対象の投資信託)で埋める必要がある——これは好みの問題ではなく、制度の構造です。
そもそも:枠は「買った値段」で管理される
もう一つ、計画を立てるうえで知っておきたい前提があります。
金融庁のページには「年間投資枠と非課税保有限度額(総枠)は、簿価をもとに計算されます」とあります。簿価(ぼか)とは、ざっくり言えば自分が買ったときの値段のこと。100万円で買ったものが150万円に値上がりしても、枠を使った量は100万円のままです。
だから、値上がりしたせいで枠が減ることはありません。逆に売ったときに戻ってくるのも簿価の分だけです(この仕組みはNISAの枠は売ったら復活する?で詳しく整理しています)。
迷いどころの既定解
まとまったお金があるときの、枠の使い方(これでOK)
特別な事情がなければ、「年360万円を上限とした複数年の計画」に組み替えて、つみたて投資枠も併用する形にしておく。理由は3つです。
- 理由1:制度上、1年に入れられる額が決まっている——年360万円が上限なので、大きな金額は自動的に数年計画になります。「一括か分割か」を自分で決める余地は、NISAの中では思ったより小さいです
- 理由2:成長投資枠に寄せすぎると1,200万円で止まる——1,800万円を使い切る前提なら、つみたて投資枠を600万円以上使うことが構造上の条件になります
- 理由3:枠は簿価で管理される——値上がりで枠が目減りすることはないので、「早く埋めないと枠が減る」という心配で急ぐ必要はありません
ただし逆になる人:数年以内に使う予定のあるお金(住宅資金・教育資金など)が含まれている場合は、枠の話より先に「そのお金を投資に回さない」という線引きを優先してください。枠は毎年やってきますが、使う日が決まっているお金の締切は動かせません。
私自身は「枠を最速で埋めること」を目的にはしていない。目的は生活を壊さずに続けることで、枠はそのための入れ物にすぎないからね。もちろん相場の先行きは誰にも分からないから、ここで言えるのは配分の枠組みの話だけだけど。
やらなくていいこと
計画を立てるときに、力を使わなくていいところも挙げておきます。
この3つは、考えなくて大丈夫
- 「今年の360万円をいつ入れるか」の日取り選び——タイミングの当てにいく話に戻ってしまいます(この感覚のほぐし方は高値づかみが怖いと感じたらへ)
- 5年で埋めきれるかどうかの心配——1,800万円は上限であってノルマではありません。5年で埋める人も、20年かける人も、非課税の扱いは同じです
- 枠を埋める速さの他人との比較——入れられる金額は収入と生活費で決まるもので、投資の巧拙とは関係がありません
まとめ
新NISAの枠・早見表
- 1年の上限:つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円(月30万円)
- 生涯の上限:1,800万円。うち成長投資枠は1,200万円まで
- 最短年数:1,800万円 ÷ 年360万円 = 5年
- 落とし穴:成長投資枠だけを使うと1,200万円で頭打ち。フルに使うならつみたて投資枠が600万円分必要
- 枠の数え方:買ったときの値段(簿価)で管理される
「まとまったお金をどう入れるか」は、一括か積立かという心理の問題として語られがちです。でも新NISAに限って言えば、先に制度の上限を数えるほうが早い。年360万円という天井を知った時点で、悩みの半分は「計画表を書く作業」に変わります。答えの出ない問いに向き合うより、こちらのほうがずっと手が動きます。
※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度の内容は執筆時点のものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。